Queen 24 | QUEEN考察

QUEEN考察

QUEEN好きの好き勝手です

 


映画「ボヘミアン・ラプソディー」で描かれていたように、フレディ・マーキュリーという人物は、どのような時でも自分のことを必要以上に深刻に捉える性格ではなかったようです。

例えば1976年頃にはフレディは紅白のストライプのタイトな半ズボンに真っ赤なサスペンダー、上半身は裸という奇抜なスタイルでステージに上がって見せ、ステージを盛り上げていました。



その事を問われフレディはこう応えています。
「僕のパワーの原動力になってるのは『自分自身を笑い飛ばせるようでありたい』という気持ちなんだ。
もし、僕らがメッセージや政治的なテーマを訴えるような違うタイプのバンドだったら全く違うと思うけど。
こういうバンドだから、僕はステージではふざけた半ズボンを着て、大げさな演技ができるんだよ。」

全身を包むボディスーツ。
特に胸元をあらわにした白黒の喜劇ピエロを模したようなデザインのボディースーツは、70年代を通じてフレディのおなじみのスタイルになりました。


その時期で最も有名だったのは前回Queen23の記述にあるように、銀のスパンコールで覆われたレオタード風のボディスーツです。


長袖のレオタードは1977年5月のヨーロッパ・ツアーで初めてお目見えし、赤の短いパンツ丈のバージョンは1978年4月のヨーロッパ・ツアーで着用されました。


銀のスパンコールのボディスーツと仮面の取り合わせはフレディが常に自分のパフォーマンスに取り入れている、フレディのバレエへの敬愛を体現しているといえます。

前回Queen 23とQueen⑥でも述べたように、フレディは1979年、英国王立バレエ団との共演も果たしています。



フレディのステージ衣装には訪れる国々へのリスペクトも含まれています。
1976年3月の日本ツアーでは日本へのリスペクトを表し、日本の伝統芸能である歌舞伎の衣装を身にまとい、熱狂を生みました。




訪れる国を理解し、敬愛を表す。
フレディの真面目な性格が良く表れていると思います。


レディガガがQueenを敬愛し、自身の名前やステージ衣装にもQueenを反映しているのは時に触れて来ましたが、クイーンの大ファンであるプロのミュージシャンは星の数ほどいます。


(The Darkness  ザ・ダークネス)

The Darkness(ザ・ダークネス)のJustin Hawkins(ジャスティン・ホーキンズ)は手にQueenのメンバーの顔のタトゥーを入れているほどの大ファンです。

フレディ・マーキュリー風のハイトーンボイスやシャウトを使う歌い方が特徴的でもあり、フレディ・マーキュリーの影響の大きさがうかがえます。

Justin Hawkins (ジャスティン・ホーキンズ)

ステージでのホーキンズは度々フレディの代表的な衣装である肌にフィットしたボディスーツを着用しています。
これはフレディに対して敬意を表しているのだといわれています。



70年代後期になると、フレディは赤い革製のパンツなど、革製の衣装を身に着ける事が多くなります。




フレディの最も有名な革製衣装といえば、イギリスのテレビドラマ「コロネーション・ストリート」をパロディ化したミュージック・ビデオだと思います。

女装したフレディ。
黒革のミニスカートと黒いタイツ。
黒髪のボブ・ヘアーのウィッグにピンクのイヤリング。
ピンクニットのトップスにハイヒールを履き、口ひげをたたえて床に掃除機をかけている。



この1984年発売のシングル「I Want To Break Free」のミュージック・ビデオは物議を醸しました。

映画「ボヘミアン・ラプソディー」ではこのビデオ撮影について活動休止のきっかけと捉えられていましたね。

実際、フレディはこのビデオについてこう語っています。

「僕があのビデオで見せたイメージは、特に計算して作り上げたものではなくて、長年の間に自然に出てきたものなんだ。
あれは僕の生き方に沿ったもので、正真正銘の僕自身なんだ。無理にやれと言われてやったものではなくて、日頃の自分の中から自然に出てきたものだ。
わざと物議を醸すためにやってるわけじゃないんだけど、多くの人がとんでもないと思ったことは、僕にとっては極めて自然なことだったんだよ。」



映画にもありましたが、「I Want To Break Free」の曲はジョン・ディーコン作。
あのミュージック・ビデオの概案はロジャー・テイラーのものです。

まだ多様性について考えられていなかった時代。
このビデオについて物議が巻き起こり、ミュージック・ビデオを専門に扱っていたアメリカのテレビ番組MTVでは実際に放映禁止などの措置が取られてしまいました。

フレディは変態。
フレディはオカマ。
これらは実際に言われた事です。

日本においても一部の音楽雑誌を除き、芸能誌はこぞってQueenやフレディに疑問符をつけ、オカマのバンド、ゲイ = 同性愛者のバンドと扱き下ろしました。

僕たちがQueenのファンであるとはあまり公言出来なくなった氷河期のような時代でした。

「多様性」という言葉がこの頃にあれば・・・

そんなことを、ついつい思ってしまいます。