いつ頃だったかは。はっきりとはしていませんが。
多分、初代BIG-1(SC30)を購入したあたりからだったのではないかと思います。
バイクに性能を追い求めなくなったのは。
バイクブームだった80年代初め、もうこれ以上の性能があっても公道では活かしきれないのではないかと、750の2倍の値段がする逆輸入車を買った先輩たちが口にしだしていました。
それなのに、その数年後には、あのレプリカブームがやってきて、さらに加熱していきました。
どんないいバイク買っても、その1年後にはもっといいものが出てくる。
レーサーでもないのに、毎年100万円以上するバイクを買い換えていかないといけないのか?
性能に惚れて買ったバイクは、新型が出たとたんにその魅力、いや存在価値まで
消えうせてしまうのか?
そんな性能の無限上昇スパイラルに嫌気がさしてきたころに現れた、
絶対性能を売り物にしていないのに強烈な魅力を放つネイキッドたち。
「足るを知る」
という言葉がまさにぴったりのバイクに出会ったことで、性能からの呪縛から解き放たれ、ひょっとしたらスキマは「命びろい」をしたのかもしれません。
レースでは
「誰よりも速く」
ツーリングでは
「誰よりも遠く」
誰かと比べることを、無意識に口にしていたのが
「バイク乗りとしてどうありたいか」
に変わりつつある転機が、このころ自分の中に訪れたのではないかと思います。
あれから20年…
色々な価値観を持った人がいるから、世の中は面白い。
心の底からそう思えるようになったのは、実はここ数年のこと。
それぞれのゴールを目指して、
いやゴールさえ定めずに彷徨うことを人生とする人たちと出会い。
バイクはますます面白くなっていったのです。
性能も排気量も年式も…
そんなこと、今となってはそれほど重要なことではなく、
バイクを愛する気持ちがあれば、もうそれだけで
いいじゃないかと最近は思っています。
素晴らしい景色に出会い
素晴らしいバイク乗りに出会えれば
それだけで、もういいなと。