私は、これまで数千人の世界のお金持ちたちにお会いしてきましたが、彼らの大半は、本をたくさん読んでいました。彼らの家にお邪魔すると、たいていリビングの隣に、三方の壁一面に本がぎっしり詰まったライブラリーがあったのです。
本好きな人であれば、頷いてもらえると思いますが、良さそうな本を見つけると、つい次から次へと買いたくなります。そうなると問題になるのが、買った本をどこに置くのか、ということです。最近は電子書籍も充実してきていますが、まだまだ紙でしか読めない本も多いですし、何より本好きな人間としては、あの紙の質感がたまりません。特に、家族と一緒に暮らしている人にとって、本の保管場所は、切実な問題と言えるでしょう。
私はメンターから「一人前になったら、自分の書斎を持ちなさい」と言われてきました。そこで、あるとき思い切って、一軒家を借りて、自分の書斎にしたのです。本が大好きな私にとって、書斎は、まさに夢の空間となりました。
書斎の素晴らしいところは、知的なゾーンに入りやすいことです。書斎は、自分の内的な世界そのものであり、その空間に入るだけで、日常の雑事から離れられます。そこで本の表紙を眺めたり、気になった本を手にとってパラパラ見ていると、新しい著作シリーズのアイデアやこれから書きたい本の内容が自然と思い浮かんでくるので
す。
いきなり、書斎を外に持つのは難しい人もいるでしょう。それでも、自宅の一室を書斎にしたり、友人とマンションや別荘を共同で借りることならできるかもしれません。書斎は、その人の知的活動、ビジネスを支える拠点となります。今の自分にも無理なくできることがないか、ぜひ考えてみてください。
本田健