前回、売れなかった頃の缶詰生活についてお話ししました。
今度は、売れてからの執筆生活についてお話ししましょう。
一般的に、本はよほど売れないと、まとまった金額になりません。なので、出版社も作家をホテルに缶詰にする余裕がなくなったという話をしました。ですが、一部のベストセラー作家は、自腹でホテル缶詰生活をエンジョイしているようです。それぞれお気に入りのホテルがあって、セカンドハウスのように使っているようです。鎌倉とか世田谷に自宅はあるのに、都心の便のいいホテルに滞在して、執筆、取材などをやっている人は多くいます。
こうなると、悲壮な缶詰と言うよりは、ホテルエンジョイ派とでも言う感じですね。実際に、何度か缶詰にされているうちに、「これ、いいなぁ」となって、なんとなくホテルに滞在するようになったのではないでしょうか。
僕は、編集者の方と親しくなったら、担当している有名作家の方が、どういうスタイルで本を書いているのか聞くようにしています。実名は出せませんが、大御所と言われる方たちは、20年前に最先端だったホテルに滞在することが多いようです。たとえば、プリンス系のホテル、ホテルオークラ、ホテルニューオータニ、帝国ホテルなど、由緒あるホテルが好きなようです。一方、若くて今売れている人たちは、ペニンシュラ、コンラッド、マンダリンなど、最近出来たホテルで執筆をしているようです。一泊何万もするので、いったいいくらになるんだろう?と余計な心配をしてしまいます。実際に、ある方に恐る恐る聞いてみたところ、その方は「知らない」とのことでした。
やっぱり、ベストセラー作家は、そんなことにこだわらないんですね(笑)。
本田健