kyupinの日記 気が向けば更新 -846ページ目
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エビリファイ(その2)

エビリファイという薬、何が良いかというと、従来の非定型抗精神病薬に比べ体重が増えないこと。それどころか、体重がむしろ減るらしい。うまくフィットすると、10kgくらいさっと減ってしまうなんてことも。このあたりが、現代的抗精神病薬という感じでしょ。


しかし、まだ日本では発売してから1ヶ月程度なので、そんな実感は今のところない。まあ使う側からだけどね。体重に関しては従来の非定型抗精神病薬4剤(リスパダール、ジプレキサ、セロクエル、ルーラン)ではルーラン以外は体重が増加してしまう。ルーランのみ体重に関してはほぼ中立。エビリファイはもう30名近く使う機会があったが、今のところはまだこれと言った感触はない。表情が良くなる、というか目がはっきりするような人はわりと本人の実感も良いみたい。朝起きてからの気分がかなり良いんだそうだ。その人はかなり長く閉鎖病棟にいたんだが、最近久しぶりに開放病棟に転棟した。


しかしな~

陽性症状への効果はその人でさえ、いまいちなんだよね。陽性症状と言っても、幻覚妄想だけでなくて、恐怖感とかそんなのも含むので、広義の陽性症状も改善はしているんだろうけど。エビリファイを使ってみるのは良いが脱落しすぎ。なんだかんだで、3分の1は中止になってしまっている。まぁ中止するほどには及ばないケースでもやめたこともあったけどね。


看護学校

看護学校に教えに行っていたのだが、やっと終わった。あとは試験を出してとりあえず今年は終了。「精神疾患」を教えるならまだ良いよ。科目が精神保健なので最悪。これって、精神科というよりどちらかというと公衆衛生に近いし。日本の自殺数の推移とか、近年、熟年層の離婚が多いとか、全然関係ないじゃん。


「いじめ」は中学校で最も多いのです。決して小学校の高学年ではありません。これは試験のヤマですw 無理すれば関係なくはないけど、少なくとも教えるほどは知らんぞ。こういう科目は皆したくはないので、いったん受けたら最期、替わってくれる人がいない。以前、お世話になった先生から頼まれたので、断るに断れなかったのだ。


今春のの看護師国家試験をみた感想なんだが、わりあい精神科関係の問題は出題されていると思った。ただ精神疾患と精神看護の部分が多くて、「精神保健」の部分は出題も少ないし、ちょっと意地悪な問題が多くて、勉強していても報われないと感じた。全く答えがないようなありえない問題もあって、何を考えて出題しているのやら・・僕が教えていたクラスは2年生なので、卒業まではまだ1年半もある。彼女たちは、結局はまた直前に受験勉強をしなおさないといけないんでしょうなぁ・・これは今年の出題ではないんだけど、例えばこんな風な問題が出る。これはいかにも精神保健的で、しかも精神科にふさわしい問題といえる。


問題 迫害妄想のある精神科病棟入院中の患者。人権擁護に関する行政機関に電話をかけようとしている。看護師の対応で最も適切なものはどれか?


1、電話で話しているうちに興奮する恐れがあることを説明し制止する。
2、看護師が患者に代わって電話をかけて担当者に説明する。
3、担当医師に連絡し、電話をやめるように話してもらう。
4、電話については介入せずに患者のその後の経過を観察する。

セレネースとトロペロンのアンプル

抗精神病薬の注射剤では、持続性抗精神病薬以外は、セレネース、トロペロン、コントミン、レボトミンを置いている。この4剤の使用頻度では、レボトミンが最も低い。セレネースとトロペロンは共にブチロフェノン系のカテゴリーに入る薬物だが、セレネースのアンプルが5mgなのに比べ、トロペロンは4mgである。力価的には、トロペロンが少し高いため(1:1.3)、この2つのアンプルはほぼ同程度の効果のように作られていると言える。カテゴリーも構造式も似ているの、どちらか1つで良いじゃんと思うかもしれないが、トロペロンがないと、それはちょっと困る。なぜなら、うちの病院(というか、僕の処方なのだが)では、静注または筋注する頻度は、セレネースよりトロペロンの方がやや多いくらいだからだ。

量的には、1日量では0.5~6Aくらいだが、さすがに6Aは滅多にない。(僕は1日量としては、やはり3Aまでが多い) トロペロンは僕が26歳になるまでほとんど使ったことがなかった。ある病院で仕事をしていた時に、セレネース5Aしても全然良くならないので、部長にどうしたら良いか聞いたことがあった。トロペロンを4Aしてみたら? と言われた。結果だけど、トロペロンが全然良かった。同じように見えても違うのである。それ以降、選択肢としてトロペロン静注または筋注はわりとするようになった。副作用については、セレネースとあまり変わらない。欠点はトロペロンはセレネースより1Aの量(ml数)が多いのだ。アンプル数次第では筋注しにくい。あと薬価が意外に高いこと。トロペロンの錠剤もそうだけど、随分前からある古い薬なのになぜか薬価が高い。

去年ぐらいに病院内でトロペロンが不足して、しかも卸にも在庫がないことがあった。こういった場合、他の病院から融通してもらうことがある。しかし、トロペロン(アンプル)自体を置いてない病院があるんだな。そんなことを初めて知った。ちょっと驚きだった。僕は幻覚妄想などの陽性症状に対しトロペロンを3Aして、なおかつ全然改善する気配が無い時、これはかなり手ごわいと感じる。そんな人なんて、あまりないだろうと思うかもしれないが、それが案外そんな事態に遭遇するのだ。まぁ、非定型抗精神病薬で一発で片付く人は、それはそれですごく幸せなことだったり。なぜかというと副作用で悩むことが旧来の薬より少ないから。



 

エビリファイ

エビリファイは2006年6月の初め頃発売された新しい非定型精神病薬。

この薬物、既にアビリファイとしてアメリカで発売されていたが、今回晴れて本邦でも発売となった。名前が異なるのは、アビリファイにしてしまうと間違えることがあるため。近年、直訳すると既発売の薬物に似ている場合、少し変えるようになってきている。アビリファイだと、アビリットに似ているらしい。

剤型は3mgと6mgで、うちでは今は3mgのみ採用している。最高30mgまで。薬価は3mgで100円弱なのでそう安くはない。大塚製薬の薬で、もともと偶然に近い感じで出来たんだろうけど、消化管の薬物から派生したものらしい。(詳しいことはあまり知らない) 

ちょっと使ってみた感想だけど、時々嘔気や嘔吐の副作用が出るね。特に精神科薬物の服用歴の短い人。若い人など。しばらくすると治る人もいるけど、何度でも吐き気が出てきて増量できない人もいる。陽性症状(幻覚・妄想、興奮)などには、効果が弱い印象もある。なんというか、ジプレキサのようなスーパーパワーが不足しているのは感じる。ジプレキサは、最初いきなり20mgくらいから始めることも推奨しているみたいだけど、エビリファイは吐き気がひどい人はひどいので、少量から始めないと仕方がない感じ。

効果だけど、「目に効く」

キラリーン。と言ったところか。目が生き返るとでも言いましょうか・・ 

こういう無形の効果というか、抽象的な効果が出るのが、いかにも非定型薬物っぽい。今、そこそこ使い始めたところなので、もう少し時間が経たないと評価はできないね。

ブログ始めました。

今回、ブログを始めることにしました。日々の精神科医療について、思いついたことなど。ずっと続くか自信なし。だから、「気が向けば更新」というのを付けてみたり。

けっこう毎日忙しいので、負担になったらやめるかもしれません。実は、他にもう1つのハンドルネームでブログを既に持っていて、これは真面目に毎日更新している。もう1年半以上くらいかな?

続いているけど、あまり人気なくて、日々の訪問者も100くらい。精神科とは無関係の内容。では、このブログ周りもボチボチ整理していく予定です。
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