久しぶりに色づいた季節を過ごして~私立恵比寿中学春ツアー2022 #エビ中ドゥロワー | キミへの想いはなないろ

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これからも、君とここにいる日々

 

気が付けば全通

元々“全部行く”なんて思っていなかった。
全通は目指すものではなく、“結果的に全部行ってしまった”となる考えだったから。
3月2日の段階でこんなことを言っている。

 

「行かない」ところとしては、
新潟 GW初日 この中で一番行こうとしていたが別の予定もあった
大阪 記念日だからこそ行きたいが、GW最終日&Uターンラッシュは避けたい

仙台 本当に迷っていた 新潟→仙台→大阪の公演順なら即決していた 
札幌 遠征費を考えると一番足が遠のく しかし旅の楽しさは群を抜いている
刈谷 大阪と愛知は「遠征として中途半端」ゆえにいつも選択肢から外れていた
川口 この時点で唯一の平日開催 定時退社しても18時はカツカツだったため

 

では、「行ける」会場はどうだったのかといえば、

八王子 救って頂き確保 初日は行きたい

TDC こちらも救って頂く 都民として近いところはマスト

水戸 桜木心菜凱旋!東京からほどよい距離
宇都宮 餃子姉妹凱旋!2016年秋の経験で見やすいホールだと認識
市川 最寄り駅から地下鉄含めて30分ほど ホール改修したので楽しみ
福岡 前日にサッカー観戦ができる&JR九州に乗りたい
川崎 カルッツかわさきは(座席次第で)見やすい 首都圏は外さない
渋谷 千秋楽は絶対行きたい

 

首都圏だけ行けばいい、地方が気が向いたら程度だったのだが、4月3日にその決意がぐらつくことになる。

柏木ひなた2022年12月をもってエビ中を転校――。

推しではない、いや推しだろう…。ひなたのいるエビ中を見られる最後の季節。1つ1つの公演を思い出にしたい…。

 

川口 3/07 友人

刈谷 4/12 リセール

新潟 4/14 友人

札幌 4/14 友人

大阪 4/17 ぴあ公式 八王子&TDC延期決定を受けて

※仙台は中止が決定していた

 

若干前後するが、残りのチケットは譲り受けるなどして、4月下旬で全公演分を確保した。とはいえ、「全通する」なんて言えない。メンバーの健康状態、不安定な社会情勢を考えると無事に千秋楽を迎えられるか分からないし、私自身も13公演を完走できると思っていなかった。

(総括的に書くので以下長文)

 

セットリストが良い

千秋楽だけ突然変異というか公演時間が40分も延長される事態となったが、基本的にアンコールなしの2時間だった。

13公演、固定された曲があった。

7thフルアルバム「私立恵比寿中学」を引っ提げたツアーならそれを中心にすると思うが実際はそうではなく、いくつか旧譜が固定されていた。ただ、個人的には固定されてよかった、寧ろ動かさないでほしい曲があった。それは1曲目の「全力☆ランナー」であり、後半の「靴紐とファンファーレ」「ポップコーントーン」だ。

松野さんが歌い出しを務めていた「全力」は、風見和香ちゃんに引き継がれた。新体制、9人初のツアー1曲目の歌い出しを任されたのは、彼女に対する期待の表れだと思う。

その懐かしさを踏まえつつもライブは進んでいく。

途中で変わったセトリでは、「梅」による小久保柚乃ちゃんのラップが印象的だった。

これ以外で印象に残ったのは「春の嵐」と「愛のレンタル」だろうか。どちらもしっとり聴かせる曲だが、演出含めてその世界に浸った。

 

中盤、ユニットコーナーがある。

そこで小林歌穂ちゃんと小久保柚乃ちゃんの2人が「約束」を歌う。言わずもがなエビ中では「別れ」を連想してしまう曲だが、2人の優しい声は寂しさよりも温かさを感じさせ、ピアノの伴奏と相俟って不思議な空気に包まれる。歌い終わって一礼するとともに肩を寄せ合う姿に拍手が起きる。

1つ前の「でかどんでん」で笑いが起きたりしていたが、ここから会場の空気が変わっていく。

「結ばれた想い」は車に乗った3人がヘッドセットマイクで歌い、モニターに映し出される夜景とともに、さながらドライブしているかのよう。惜しむらくは、運転席にいる2人の顔が遠い席では判別しにくいことだろうか。

そして「海に着いたー」から「夏だぜジョニー」になるのだが、このコーナーは原曲無視のなんでもありで、特に毎回ひなた被りものが楽しみだった。札幌=蟹、水戸=メロン、宇都宮=日光の猿、TDC=東京ヤクルト(巨人の美怜と対決)、市川=ふなっしー、福岡=博多にわかは傑作だった。車を取り囲んだ9人が紙吹雪をまき散らし、前半が終わる。ここまで「動→静→静→動」という流れ。

 

白い衣装に変わる後半、ここからはアルバムメインになる。

良いなあと思いながら見たのは「ナガレボシ」。エビ中は歌のグループだと再認識。9人の立ち位置が美しく、歌声が本当に心地よい。最後、モニターにシューティングスター。いつだったかのクリスマス公演を思い出す。私はこれを“実質スターダストライト”だと言っていた。

 

そして、一呼吸置いてからの「靴紐とファンファーレ」である。

「シンガロン・シンガソン」のカップリングで「あやひな」が手を繋ぐことが印象的だが、楽曲提供者が「スターダストライト」と同じでアンサーソングとも言われている。歌詞に込められたメッセージは、9人で披露するこのツアーに相応しいものとなっている。ひなたは転校するが、今この瞬間は始まりなのだと思わせる。すべては新しい旅路なのだと。

 

さらに、「ポップコーントーン」で畳みかける。

前奏で真山さんが感謝の気持ちを伝える。あなたがいるからこそ私たちはアイドルでいられるといったことを言う(ライブ中なので記憶は朧気)。

このツアーが完走できるのも、そもそも2年半ぶりにきちんとしたライブができるのも色々な人のおかげであって、あらゆる感謝がこの曲に込められていると思う。

好きな人に囲まれながら 旅は終わらない――そう、実際ツアーは旅ではあるけれど、エビ中の新しい旅は終わらないんだとこの2曲で痛感する。形は変われど好きなものは変わらないし、昔からあるもの、これから作り上げていくものをともに楽しめるのがエビ中の魅力なのだ。

 

ひとしきり感傷に浸ったあとは「イヤフォン・ライオット」で盛り上がり、「COLOR」で締めくくる。後者は、当初ももクロとコラボしたときはそれほどピンと来る曲ではなかった。結成10周年で作られたが、今の方がしっくり収まっている気がする。「drawer」というテーマで「色」が着くのは必然。

「いろいろあるく」は「色々ある」だと思うし、「君が大好きだから」は「大好きだCOLOR」に掛かっているし、真山さんも言っていたが「衣装は白だけど、色んな色に染めてね、染まってね」というのは、メジャーデビュー10周年のツアーに相応しいものになっている。歌詞ひとつをとっても、過去、今、未来のエビ中を描いているかのよう。

今回のツアーはアンコールがないが、2時間があっという間に過ぎ去っていった。

 

 

ミニ大学芸会

これまでも春ツアーではセットが作られてきた。2015年は異国の洋館?2016年はカフェ、2017年は学校、2018年は図書館といった具合。それぞれのコンセプトとセットは楽しかったが、今回はそれに映像の演出が加わった。

先述した「結ばれた想い」は車を走らせている背景であり、「Anytime,anywhere」では1日の流れ、変わっていく空の色が印象的だった。「靴紐とファンファーレ」ではレッスン映像からのSSA8分割「フユコイ」を思わせる9人演出があった。また、「イエローライト」では舞台からのレーザー照射が綺麗だった。「ポップコーントーン」ではメンバーカラーの歌詞が添えられた。

これは今までなかったことで、本当にミニ大学芸会を毎回見ている気持ちになった。

前半部分ではモニターに「中人」からの歴代ジャケットが映し出され、次の曲がレコードともに紹介されるのもよかった。

 

3人の成長とファミリーの変化

ココユノノカにとって数を重ねる経験は大事だと思っていた。3人ともゼロからの出発だったが、肝心のお披露目公演は中止だった。アットジャムなどのアイドルフェスは尺が短い。また、ちゅうおんと大学芸会はよい経験ではあるものの、単発且つ特殊である。やはり週に1回以上、数か月間のツアーはよい経験になるはず。メンバー、スタッフと長く過ごす時間も大事。そうやって姉メンも成長してきたのだから。

実際、心菜は歌がうまくなったし、歌に合わせた表情も変化してきた。柚乃はいい意味での必死さが抜け、余裕が出てきた(それが「約束」で引き出されている)。和香は元から素直に歌う方だったが、アイドルとして笑顔が増えてきた。

ファミリーにも変化があった。昨年末だと「ファンがつく」母数は少なかったが、公演を重ねるごとに3人のファンが増えている。1推しじゃない、2推しかもしれない。それでもペンライトの光に赤、ライトグリーン、白が目立つようになった。ツアー中にオンライン特典会をやっていたのもよかったのだろう。ファン同士の交流も盛んになりつつあるようだ。

この先ひなたが抜けて新しいメンバーが入っても、同じ流れになればいいなと思う。

 

邂逅

全国各地に行ったおかげで、色々な人に会うことができた。推しかぶりさんだったり、現場では会う割にきちんと話をしたことがなかった方々。また、こちらの勝手な思い込みで距離を採ってしまっていた方。そして、初めてお会いする方。

“現場が生きている”からこその賜物だと思う。いくらオンラインが発達してもライブに勝るものはないし、人との関わり合いも文字だけでは伝わらない。対面から生まれるネットワークは無限だとあらためて思った。

 

1971日と未来

気が付けば全通していた。

推しが健在だったときでもホールコンは全通しなかったのに。

2015年春は13分の10、2016年春は15分の14。 いや、2016年はほぼ全通に近い割合で行っているが、今のモチベーションなら大宮→高松だって回したと思う。2015年は「GWは嫌だ」という理由で2か所を欠席した。

全通できたのは「次も見たい」公演が続いたため。昨年のMOVEでひなたが「最新の私立恵比寿中学が最強の私立恵比寿中学」と言ったが、毎回それを実感した。セトリ、演出、成長、どれも楽しくて、モチベーションにつながった。

 

ところで、私が初めてエビ中を見てもうすぐ丸11年となる。それはフェスなので、自分の意思でイベントに参加したのは9月なのだが、そこから起算して2017年2月8日までが1,971日。推しが実在してファンとして過ごした時間より、2月9日から日々の方が長くなった(神奈川公演の翌日に逆転した)。それでも現場に足を運ぶのは、 変わらないものを大事にしつつ、常に進化するメンバーがいるから。この先もそうやって見ていくのだと思う。

 

5年経ってRebootされた私は、新しい色を見つつある。

 

(長文を読んで頂き感謝申し上げます)