『ヅカメン! お父ちゃんたちの宝塚』 宮津太蔵著




【amazon bookより引用】

内容(「BOOK」データベースより)

「女なのに男の格好をして…一体どこがいいんやろ?」鉄道員一筋だった多々良源蔵は定年直前、それまで全く関心のなかった宝塚歌劇団の“生徒監”に任命された。突如娘たちの“お父ちゃん”となったことに戸惑いつつも真摯に向き合ううち、その眼差しに変化が―。大道具、プロデューサー、演出、父兄…タカラヅカを支える男たち=ヅカメンが織りなす、七つの奮闘物語。

 

【かんたん感想】

男女共同参画センター内の図書館内に展示されていた本。

宝塚に関わる男たちの話。

華やかな宝塚ジェンヌの裏側には、こんな役割をもつ人がいるんだー!と目から鱗がいっぱい。
舞台に出ている人・主役にスポットライトが当たりがちだが、それはやはりスポットを当てる人の主観によるものだと思う。人間、生き物、植物、物体、目にミエナイモノすべてにそれぞれのストーリーがあるわけで……。
主役の影になってしまいがちの人やそれに悔しく悲観的に思っている人にも読んでもらいたい。
そして、宝塚音楽学校入学&宝塚ジェンヌを目指すにあたり、想像を絶するような努力を継続している彼女たちを尊敬するし、その一途さが羨ましい。
主役・一流を目指す人にも読んでもらいたいな。
7つのヅカメンストーリーに出てくる女性が全体を通じて繋がっているので面白みが増す。
女性同士のバチバチドンッドロドロもなく、さわやかで、ほっこり、少しうるっな小説。
スラスラ読めます!
 

『おしまいのデート』(2011) 瀬尾まいこ 著




【amazon bookより引用】

内容(「BOOK」データベースより)

中学三年生の彗子は両親の離婚後、月に一度、父の代わりに祖父と会っていた。公園でソフトクリームを食べ、海の見える岬まで軽トラを走らせるのがお決まりのコース。そんな一風変わったデートを楽しむ二人だったが、母の再婚を機に会うことをやめることになり…。表題作のほか、元不良と教師、バツイチOLと大学生、園児と保育士など、暖かくも切ない5つのデートを瑞々しく描いた短編集。

 

【かんたん感想】

著者の温室デイズに裏切られつつも、これはどんな作品だろうとワクワク感がでてきてしまい、今回手にとったこの作品。

5つの短編集で構成されており、最初の一作目と二作目は「おじいちゃん」がいい味を出している。こんなかわいくて、温かくて、おもいやりのある老人になりたいとおもった。

二作目は、食育の題材としてもいいとおもう。

 

この作品は、上記の通り、2人の関係性(+α)が織りなす作品で、その関係性がなかなかない組み合わせでおもしろい。そして、最後に意外な展開が待ち受けているのが意表を突かれてなお良い。

スラスラ、サラサラと読めます。ちょっと気分転換したいときに読むといいです。

 

最後に、園児と保育士の話があるのですが、普段これらの人と深く関わっている分、現実との違和感があり、腑に落ちない面が多くて、しかも、これが最後に収録されているのもあって読了感がイマイチでした。

しかし、園児と保育士の話も含めて、ドラマ化してくれたらきっと楽しい感じになると思う。

日曜日のお昼~夕方くらいに家族みんなで鑑賞したい感じの作品たちです。

 

 

 

『温室デイズ』瀬尾まいこ著




【amazon bookより引用】

内容(「BOOK」データベースより)

みちると優子は中学3年生。2人が通う宮前中学校は崩壊が進んでいた。校舎の窓は残らず割られ、不良たちの教師への暴力も日常茶飯事だ。そんな中学からもあと半年で卒業という頃、ある出来事がきっかけで、優子は女子からいじめを受け始める。優子を守ろうとみちるは行動に出るが、今度はみちるがいじめの対象に。2人はそれぞれのやり方で学校を元に戻そうとするが…。2人の少女が起こした、小さな優しい奇跡の物語。

【かんたん感想】

これまでの作品を読んで、瀬尾まいこ=ハートウォーミングという公式ができていた中、温室というタイトルに緩みを感じ手にとった本。

しかし、読み進めていくと全然ハートウォーミングじゃない。いじめ、不良、学校崩壊…残酷な感じがたくさん出てきて、心がずどーんとなる。
他の方のレビューにも「詐欺」という言葉が出てきていたほど作者のイメージが崩された感じ。
 
後半、だんだん良い方向に変化していく様子もみれるけど、あまりスッキリしない結末。
 
いじめや学校崩壊が起きている中で、加害者にも被害者にもならないためには、こんな風に行動すればいいのかと何となく知恵をもらった感じもする。キーワードは距離感?!
 
そして、周りの大人、もっとしっかりしろよー!と突っ込みたくなる。スクールサポートとして登場する吉川先生も頼りない感じで描写されていたけど、本当は力を発揮するんでしょ…?!と期待していた分(瀬尾まいこ=ハートウォーミングの公式が染み付いてるのもあって)、最後の対応は期待外れというか…論外!!  
斉藤くんの言動のほうが数段賢くて有能!!
 
そして、改めて、傾聴や話をすることって大事だし、その中で自分の心の奥底が分かるんだなと感じた。
そしてそして、やっぱり、親や家庭環境って、子どもへの影響力が半端ないんだなと痛感。

 

 

 
でも、登場人物も言っていた言葉↓その通りだと思う。
「親と子どもだって違う。いろんなものが、自分を作っていくんだから。自分は自分で変えられるでしょう?この先出会うものとか、自分が体験することとかさ、……」(本文引用)
 
色々悩むけど、何だって自分の力で変えられるとおもう。
 
この本は思春期の子どもたちやそれに関わる人たちに読んでもらいたい。もがいているモノから抜け出すヒントが載っているかもしれない。
 
また、瀬尾まいこさんのこれまでの作品と少し違う味を楽しみたい方へもオススメ。
 
 
 
【参考:瀬尾まいこさん作品の読書記録】