『おっぱいエール』 本山 聖子 著

小説宝石新人賞受賞作家渾身のデビュー作!



 

【amazonより引用】

橘百花25歳。高校時代の同級生と結婚し、妊活を始めた矢先に乳がん発覚。古賀菜都32歳。老舗造り酒屋の嫁として育児に奮闘する最中に乳がん発覚。田中柚子29歳。花嫁検診で乳がんが見つかり婚約破棄。怒涛の三年が経過。闘病ブログを通して出会った三人は、ひょんなことから金沢を旅することに。若年性乳がんを乗り越えた著者が、女性たちの生きる希望と勇気を描く。

 

 

【かんたん感想】

もうすぐ2歳になる三女の断乳を試みた私の目に飛び込んできたこの本。

最初に読みすすめていって妊娠~出産・育児系の話かなと思いきや、20~30代の乳がん患者のストーリー。主人公の女性3人の背景や悩みは、女性なら必ず1つは当てはまるようなものばかり(恋愛結婚、仕事、収入、妊活、子育て、夫婦関係、嫁姑問題等)で、共感の嵐!

それにプラスして乳がんの問題が覆い被さる。普段の悩み×乳がんでそれぞれの感情の起伏や葛藤がリアルに描かれている。また、身体の変化や治療法、副作用なども想像しやすい。それもそのはず、著者は乳がん患者とのこと。

 

3人の主人公のキャラもいいんだけど、彼女らに関わる人々の人柄や対応にも読者の心をつかむし、細々としたそれぞれの名前にも意味や繋がりがあってサイドストーリーも見どころ。

後半は、乳がんブログを通じて知り合った3人が初めて出会い、旅をする。3人の女子旅の楽しさも伝わってくる上に、意外な出来事も起きて(え?!もうすぐページ終わるのに、こんな展開アリ?!というような感じ)、ビックリした。最後はほっこりするけど。

全体的に、クスッと笑ったり、じんわりきたり、深く考えたり、スラスラ~と読めて、本当に良い本でした!

みんなにオススメ!!!

『傑作はまだ』 瀬尾まいこ 著

2019年本屋大賞受賞作家・瀬尾まいこ、待望の最新作!!



【amazonより引用】
「はじめまして」から始まった親子の同居生活。優しい涙が止まらない最高のハートフルストーリー。
そこそこ売れている引きこもりの作家・加賀野の元へ、生まれてから一度も会ったことのない25歳の息子・智が突然訪ねてきた。父は月10万の養育費を振込み、息子は写真を一枚送る、それが唯一の関わりだった二人。真意を測りかね戸惑う加賀野だが、「しばらく住ませて」と言う智に押し切られ、初対面の息子と同居生活を送ることに――。孤独に慣れ切った世間知らずな父と、近所付き合いも完璧にこなす健やかすぎる息子、血のつながりしかない二人は家族になれるのか? その「答え」を知るとき、温かく優しい涙が溢れ出す。

 

【かんたん感想】

ハートウォーミングな本を書く作家を探していたところ、瀬尾まいこさんに遭遇。そういえば、彼女の作品『そして、バトンは渡された』でじんわりきていたことを思い出し、まずはこの作品を読んでみた。スラスラと読める。

父と息子の同居生活の話が少し長くて、ほんの少し退屈したけど、後半からのストーリー展開がドドドときて、じんわり。スラスラ読めるから涙はでなかったけど、ちゃんとハートがウォーミングされました♡

社会福祉士として、“社会福祉協議会”や地域のことが小説に出てきてくれたことが嬉しかった。作者が元国語教師だけあって、地域や学校のことをなんとなく知っていることが伺える。

そして、作者が意図した名前にまつわるメッセージをちゃんと理解できてよかった。ここは、国語力?なぞなぞ力?を試されるところか?!

これまた、前回の彼女の作品同様、捉え方・受け取り方次第で本当に人生変わるんだなと感じる。思い込みってコワイし、どうせ思い込むならハッピーな方向で思い込んだもん勝ちだなと。

人との距離を少し縮めたくなりました。

 

そして、作品に出てきた美味しいコーヒーの入れ方を試したくなった。

 

 

 

瀬尾まいこ 著 『そして、バトンは渡された』

2019年本屋大賞 大賞!!

 

 

 

【概要 amazonより引用】

森宮優子、十七歳。継父継母が変われば名字も変わる。だけどいつでも両親を愛し、愛されていた。この著者にしか描けない優しい物語。 「私には父親が三人、母親が二人いる。 家族の形態は、十七年間で七回も変わった。 でも、全然不幸ではないのだ。」 身近な人が愛おしくなる、著者会心の感動作。

 

【かんたん感想】

本のタイトルだけをみたら、青春・陸上物語?!って思ったけど、想定外の家族物語。しかも、継父継母が関わる複雑系の家族。なのに、温かいし涙が出てくる。

愛情のかけ方・示し方・思いやりって人それぞれだなと思う。

そして、それらをどう受け取るか・・・

物事をどう捉えるかで人との関わり方、人生、幸せが決まるんじゃないかと思わせてくれる。

自分の生い立ちを否定的に感じている人、子育て中の人はぜひ読んでほしいです。

 

音楽にまつわるシーンがあるけど、どんな曲調なのかとても気になる!