西陣に住んでます -4ページ目

格差問題に関する民主党岡田代表の国会での詭弁

格差問題



国会は国民の生活に大きな影響を与える法律を議論する
極めて重要な場です。
したがって、定量的な根拠に基づく適正な議論を行うことが
要求されます。

そんな中、国民を騙すかのような不当な論拠で
相変わらず党利党略のために政府批判をしているとしか思えないのが
民主党です。

平成27年2月16日の民主党岡田代表の格差問題に関する詭弁は
極めて不誠実で悪意が感じられるものでした。
どこが不誠実で悪意が感じられるのか、以下に説明したいと思います。

民主党岡田代表の格差問題に関する主張の骨子は次の発言にあります。



岡田党首(youtube映像2:26秒)

私は改革の痛みについても、国民に対して正直に丁寧に説明して参りたい。この演説でもそのことを貫きたいと思います。さて、まず内政について質問いたします。私が最も重要だと考える課題は経済成長と格差是正の両立です。

(中略)

岡田党首(youtube映像4:56秒)

安倍政権の経済政策の最大の問題は成長の果実をいかに分配するかよいう視点がまったく欠落していることです。経済のグローバル化が進む中で世界の先進国が格差拡大という困難な問題に直面しています。日本も今や先進国の中でもっとも格差の大きい国の一つとなっています。給与所得者のうち、年収200万円以下の人は1120万人で全体の1/4を占めています。相対的貧困率は近年急上昇し、今や過去最悪の16%にも達しています。特に深刻なのは、子供の貧困であり、ひとり親家庭の子供の貧困率は実に50%を超え、OECDの中で最低です。国家として恥ずべきことです。不安定雇用が多い非正規労働者は増え続け、2016万人となり、雇用者全体に占める割合は38%になっています。いずれも深刻な事態です。これをしっかり変えていく。経済成長と格差是正を両立させることで、先進国の中でも格差が小さい、希望の持てる国にする。そのモデルに日本がなる。そのための新しい経済政策を民主党が打ち出していく決意です。総理に伺います。今私はいくつかの格差拡大を表す数字を指摘しました。総理は日本全体の格差が近年拡大しているという事実をお認めになりますか?また総理は予算委員会で格差が人々にとって許容の範囲を超えているものなのかということが重要だと答弁されました。総理自身、今の格差が人々の許容範囲を超えていると判断しているのですか?それともそうではないのですか?すべての議論の前提ですから、それぞれについてYESかNOかではっきりとお答えください。

「国民に対して正直に丁寧に説明して参りたい。この演説でもそのことを貫きたいと思います。」という岡田代表が、実はこの演説で不正直に国民を欺いています。

まず、日本は必ずしも先進国の中で格差が大きいとはいえません。他国と比較して悪い数値が出ているのは、ひとり親家庭(single parent)の子供の貧困です。岡田氏はこの数値のみをもって日本の格差がひどいと主張して政府をヒステリックに批判しているわけです。

何よりもひどいのは「相対的貧困率は近年急上昇し、今や過去最悪の16%にも達しています。」とありますが、16%に達したのは民主党政権の時代(平成24年)であり、岡田氏は民主党政権が創出した数値をあたかも安倍政権になってからの値であるかのように批判しているのです。こんな理不尽なことはありません。

格差問題

次に、岡田氏が主張している年収200万円以下の人は1120万人で全体の1/4を占めているというのは事実です。ただし、↓このグラフを見てください。

格差問題

年収200万円以下の人は民主党時代(2010~2012年)にもずっと増加していて、マクロに見れば、今と同じ全体の約1/4を占めていました。そして、むしろその伸び率は安倍政権(2013年)になって低下しました。

さらに、本質的に民主党政権と安倍政権を比較すると、年収200万円以下の人が増えている理由はまったく異なっています。↓このグラフを見てください。

格差

民主党の時代(2010~2012年)に年収200万円以下の人が増えたのは、単純に格差が広がっていたと言えるかと思います。それに対して、安倍政権(2013年)に年収200万円以下の人が増えているのは、それまで収入が全くなかった人が収入を得るようになったためであると言えます。つまり、低所得者層の格差は確実に縮まっています。↓拡大図を見ていただければさらにはっきりとわかるかと思います。

格差

ちなみに、年収200万円以下の人が給与所得者に占める割合は、民主党政権と安倍政権ではまったく変わらないと言ってもいいと思います。つまり、所得分配には大きな差はないと言えます。

格差

この図を見る限り、「年収200万円以下の人が増えて格差が広がった」のは消費税が3%から5%に引き上げられてデフレ社会となってからです。新自由主義といえる小泉政権もこの格差をさらに広げるのに貢献したといえるかと思います。

さて、ここからが大事なところです。

民主党は自らをリベラル政党と呼んでいます。しかしながら、私は民主党はリベラル政党ではなく、新自由主義とバラマキを同時に行うハチャメチャ政党であると考えています。

民主党が行った事業仕分けや脱ダム等の政策は、効率化を重視して社会のレジリエンスを破壊する新自由主義です。このような効率化によって、効率性が低い労働者が職を追われました。そして、職を追われた労働者に対して再分配というバラマキを拡大しました。これが生活保護です。今や公共事業費や防衛費とオーダーが変わらない4兆円/年という規模に膨らんでしまいました。以前には、効率性は低くても真面目にしっかりと働いて給与を得ていた人達が、働かないで給与をもらえるようなメカニズムが形成されてしまったのです。なお、維新の会の江田氏と橋下氏も新自由主義政策を前面に出しています。

このようなコンテクストから私の基準で言えば、金融政策と公共事業によって給与所得者を増やし、経済と財政を実際に少しずつ回復させている安倍政権こそ、実はリベラル政権であると言えます。やはり、働ける人がきちんと働いて、不幸にもどうしても働けない人達を支えるというのが適正な社会であると私は思います。

さらに、民主党がよく理解もしないで格差指標として盲信するジニ係数についても私は必ずしも妥当でないと考えます。ジニ係数を算出する際に求められるローレンツ曲線は、ごく一部の例外的大金持ちに大きな影響を受けることになります。また、ピケティの高額所得者に基づく格差表現も必ずしも妥当ではないと考えます。これは格差の影響を受ける貧困層の実情を直接反映するものではないからです。ちょこちょこっと作ってみたのですが、私は、トップではなくボトムの累積で表現する↓こちらの図の方が社会の実情を表していると考えます。

格差問題

さて、岡田党首になって民主党も少しは変わるかと思いましたが、ホントに全然ダメですね(笑)。

とにかく、民主党ができる限り早くつぶれて、真のリベラル政党が生まれることを期待するところです。また、少なくとも現在の野党には真のリベラルに発展できる政党はないと思います。なお、真のリベラルが生まれることを期待しますが、同時に真のコンサーヴァティヴが生まれることも期待します。合理性が高い政策を私たちが選ぶことができる環境が一刻でも早く整備されることを強く望むところです。


実は私もピケティを読んでます 「21世紀の資本」

ピケティー「21世紀の資本」



世界でベストセラーになった

フランスの経済学者トマ・ピケティ「21世紀の資本」

実は、私も読んでいます。



ピケティー「21世紀の資本」


本文が600ページでサプルメントが100ページの

ハードカヴァー本の第一印象は、


「重い!!!」でした(笑)。


本の内容を一言でいえば、まさに帯に書かれている通りです。


ピケティー「21世紀の資本」


資本主義社会において、

金持ちが持っている資本の成長率は、

庶民が手にする所得の成長率よりも大きいので、

格差は広がるばかりというものです。


この本に書かれている図はピケティによって公開されていて、

インターネットからもダウンロードできます。


[Technical appendix of the book « Capital in the 21st century]


この中で特に味わい深い図と言えば、↓こちらの

国民所得に対する民間資本の割合の時系列グラフです。


ピケティー「21世紀の資本」


日本が70年代に努力で手にした資本が80年代後半にバブル資本に変貌し、

バブルが崩壊した90年代初頭からは定常状態を保っているということです。

これは世界の富裕国のトレンドにない現象であり、

つまり、日本は富裕国の中で唯一、必ずしもピケティが指摘する問題を

マクロには寄せつけていないことがわかります。


これは国民所得に対する資本所得が他の富裕国と違って

フラクチュエイションは存在するものの概ね定常であることに

よるのではないかと、私はあくまで想像する次第です。


国民所得に対する資本所得の割合


ピケティー「21世紀の資本」


ところで、ピケティの研究の最大の価値がどこにあるかと言えば、

極めてロングタームにわたる時系列データセットを確定させた点にあることは

疑いの余地もありません。

これによって、私がたまにブログで披露しているような

多変量自己回帰モデルに代表されるような多変量時系列モデルによって

確率統計学的に経済の現象メカニズムにおける因果の法則性を

得ることができるわけです。


多変量自己回モデルの使用例↓

[2011年夏の東京電力需要の直前分析]

[2011年7月頭の東京電力消費の分析]

[2011年夏の東京電力消費量の分析]

[2012年夏の関西電力需要の直前分析]

[2012年夏の関西電力需要の直前分析2]

[アベノミクスを考えるためのマクロ経済の統計分析-1] [2] [3]


私が不思議に思うのは、

ピケティが高等な数学を使うという評判の割には[ピケティのCV]

まったくこの分野に手をつけていない点です。

せっかくのタイムシリーズデータを用意しておきながら、

一番楽しいところをやっていません。


なんだったら私がやりましょうかと言いたいところですが(笑)、

きっとそのうち続編が出るんじゃないかな~って思う次第です。


さて、今回ピケティの論理をいろいろと検証しているうちに

ピケティが収集したデータを含む

[The World Top Incomes Database] なるデータベースを見つけました。


このデータベースを用いて日本の格差に関する図面を作ってみました。

以下に紹介したいと思います。


まず、↓こちらの図は

日本の富裕層10%の所得が日本の国民所得に占める割合

示したものです。

青が資本所得を含むもの、赤が資本所得を含まないものです。


The world Top Incomes Database


これを見ると確かに東京オリンピック前・大阪万博・バブル期などの

チャンスの時期には資本所得の反応が強く、

ピケティが言っているような現象が認められます。

そして資本所得に関わりなく、

バブル崩壊以降、所得格差は広がっています。


日本における富裕層というものが

そもそもどの程度のものかということですが、


10%、5%、1%の富裕層の具体的な所得を示したのが次の図です。

The world Top Incomes Database

この図を見ると10%が1000万円程度、1%が2000万円程度と言えます。

ちなみに、アメリカでは10%程度が2000万円であり、

実際に所得格差もかなり高いと言えます。


↓こちらは、アメリカ(緑)、日本(青)、フランス(赤)の

10%、5%、1%、0.01%の富裕層の所得が国民所得に占める割合です。

The world Top Incomes Database


これを見ると、トップ10%の金持ちはやや増えていますが、

トップ1%以上の大金持ちの所得は全体に比べて

そんなに増えていないと思います。


ちなみに、現在の安倍首相の時代になって、意外にも

民主党時代よりはむしろ所得格差は縮小しているということは

以前にデータで示しました。


[民主党「考えよう日本を」の詭弁をわかりやすく説明します]


アベノミクスによって、これまで収入を全く得ていなかった人たちが

大量に就業して収入を得るようになったからです。


ということで、私も庶民ですが(笑)、

人間の幸せというのはけっしてお金だけではないという価値観を

多くの人が持っているというか、

少なくとも私が持っていることだけは絶対に真実です(笑)。


まぁまぁ、一度しかない人生を楽しく暮らしましょう(笑)



はてなマーク今夜の土曜ワイドの犯人予測はてなマーク[土曜ワイド劇場]


「法医学教室の事件ファイル 40回記念作」


二宮早紀>>>名取裕子
二宮一馬>>>宅麻 伸
望月七海>>>由紀さおり
西脇則子>>>高橋ひとみ
寺沢瑠璃>>>小沢真珠
宮永誠>>>>原田龍二
高野志郎>>>榎木孝明
中川知子>>>遊井亮子
飯島伸一>>>長谷川朝晴
谷村元彦>>>田中幸太朗
二宮愛介>>>佐野和真
伊吹南>>>>中村静香
助手永岡>>>本村健太郎
助手桑田>>>石橋篤史


ホントに土曜ワイドの犯人だけは予測できないんですよね~(笑)

報道倫理を著しく逸脱した古賀茂明氏のイスラム国報道における言説(2)

キャスト


[報道倫理を著しく逸脱した古賀茂明氏のイスラム国報道における言説(1)]

ここでもう一度、今回の古賀氏のテレビ朝日「報道ステーション」における言説を整理してみたいと思います。安倍首相に対する古賀氏の批判のポイントは次の2つです。


(1)安倍首相が中東においてISILを刺激するような発言をして

  人質を危険にさらしたということ。
(2)安倍首相が有志連合に入って軍事行動をしたいと考えているいること。


これらのポイントが真実であるという証拠があるのであれば、ジャーナリズムが首相を批判することは至極公正な行為であると言えます。しかしながら、証拠がないにもかかわらず、憶測で首相を批判しているのであれば、それは明らかに不公正な行為であると言えます。


さて、実際にどうであったかということですが、まず、(1)については、東京大学の池内恵氏の論理的な検証によって、ISILがNHKワールドの映像を使って動画を作成した段階で、日本政府の施策が非軍事の人道支援であることを明確に把握していたという事実が判明しました。つまり、日本の人道支援を理由にして、ISILは日本を十字軍であると認定したわけです。もちろん人道支援がISILを刺激したと考えることもできます。ただし、[前記事]でも示したように、古賀氏自身も人道支援をどんどん行うよう提案していたことから、人道支援発言は古賀氏の言うところの「刺激するような発言」の範疇からは除外すべきであると言えます。ちなみに、パレスチナ・イスラエル・エジプト・ヨルダン・トルコを含めた中東諸国の多くが積極的に安倍首相をの支援策を支持していることからも、人道支援は、倫理上まったく問題はないと思います。以上から、古賀氏が(1)のような理由から安倍首相を批判していたことは、事実に基づかない憶測であったことがわかります。


次に(2)については、安倍首相が「有志連合に入って軍事行動をしたい」などと発言した記録はありません。この場合、安倍首相が「有志連合に入って軍事行動をしたい」と思っていることを知るためには、安倍首相の心の中を覗くことが必要になりますが、超能力でも持っていない限り、もちろんそれは不可能と言えます。むしろ安倍首相は逆に今後の日本政府の軍事支援を明確に否定していますし、警察活動自体も無理であるとの解釈を発表しています。それにもかかわらず、古賀氏は安倍首相の心の中を確信的に語っています。このような不条理な憶測が堂々と公共の電波にのって主張されているわけです。


さて、以上の2点で古賀氏は明らかに憶測による主張によってジャーナリズムに反する行為を行っています。これは、明らかに民放連の放送基準に違反する行為です。そればかりでなく、今回のように刑事事件が進行中で、しかも犯人グループが世論を見据えながら交渉してくるようなケースにおいて、証拠がないにもかかわらず日本政府を憶測で批判して世論を分断する行為は、犯人グループのオプションを広げる一方で日本政府の交渉のオプションは狭めることになる反社会的行為であり、結果的に人質の安全を脅かした可能性すらあります。



ビックリマークビックリマークビックリマークビックリマークビックリマークビックリマークビックリマーク



このような事実関係がある中で、古賀氏は関西ローカルABC朝日放送の情報番組「キャスト」において、「報道ステーション」で主張した自分の言説を2回にわたって堂々と繰り返し、安倍首相に対する批判をさらに強めました。まず最初の放送での発言は次の通りです。



メモ2015/01/27 ABC朝日放送「キャスト」
「イスラム国」邦人拘束 解放は? 複数交渉の可能性 苦悩続く



男の子ABCキャスター


古賀さんは今考えていることをどうお考えになって、今後の展開というのを含めてですね。どうお感じになっているでしょうか?


男の子古賀茂明氏


(1-1)もちろん、テロって言うのは世界中誰も許していないんですね。イスラム教の人たちだって、このイスラム国のテロを許していない。それで今政府は一生懸命やっているので、後藤さんが早く帰ってきてほしいという、これは世界中の人が共有しているんですけれども、やっぱりこれ今、我々は、日本っていうのはどういう国だったんだろうなと。日本人の平和に対する考え方はどういう考え方だったんだろうなっていうのを考えさせられる段階にきているなっていうふうに思いますね。


男の子ABCキャスター


といいますと?


男の子古賀茂明氏


はい。アメリカとかイギリスというのは、いろんなところで戦争をしているわけですけれども、(1-2)安倍さんが中東に行って発したメッセージというのは、日本というのもアメリカやイギリスのような国と同じなんだと。で、有志国連合が空爆とかいろいろやってるんですれど、われわれもその一員なんだっていうことを強調するような発言を、あえてエジプトやヨルダンでやったんですね。それは、何かって言うと、実際にやることは人道支援なんですね。人道的観点でやるんです。別に戦争とか、政治的目的でやっているわけではないはずなのに、それを(1-3)人道支援ということをわざわざ言わないで、これはイスラム国と闘う周辺諸国のための支援ですよという表現をしちゃったんですね。本当は人道支援なのにいかにも軍事支援のようなことを言って、それは(1-4)安倍さんにはちゃんとした目的があって、私たちはアメリカやイギリスと同じような考え方で、世界でいろんなことを武力で解決しようと、そういう国なんですよという宣伝に使ってしまったといううふうに思うんですよ。


男の子女の子三船美佳氏他、番組組出演者


(1-5)え~(ネガティヴな反応)


男の子古賀茂明氏


それはやっぱりね。日本国憲法の考え方とまったく違う考え方なので、もう一回そこは違いますよということを私は日本人としては発信していかなくちゃいけないなというふうに思ったんですね。ですから私たちは(1-6)後藤さんというのはそういうことを否定する考え方で、戦争なんていくらやったって本当に犠牲者ばかりで女性とか子供とか弱い人が犠牲になるんだと、そういうことを取材して世界中に伝える。我々も伝えてくれるということをやってくれていたわけですけれども、むしろそれが我々日本人の従来の考え方だし、日本の憲法の考え方だと思うんですよ。


女の子三船美佳氏


(1-7)そうですね。


男の子古賀茂明氏


だから、私は後藤さんと同じですよ。で、安倍さんが言ってることはちょっと違いますよということを世界に理解してもらわないといけないんじゃないかなと。


男の子ABCキャスター


その日本人っていうのはむしろ、I am Kenjiって今カードもっていろいろと写真とっている方のそういう意味なわけですね。


男の子古賀茂明氏


そうです。I am Kenjiっていうのは、私が健二っていうのではなくて、後藤健二さんと同じ考え方を共有していますよっていうことを象徴的な言葉としてI am Kenjiと言ってます。私は今度はそれだけじゃなくて、安倍さんがいろいろ発信しているけれども、(1-8)私は安倍さんと違いますよと、"I am not Abe"というのをセットで発信する必要があるんじゃないかなと思いますね。


男の子ABCキャスター


後藤さんのような考えを持っているんだということを、もっとみんなで発信して、世界が理解し、(1-9)イスラム国の皆さんも理解して解放につながるということにはなりますか?


男の子古賀茂明氏


そんな単純ではないんですけど、やっぱりイスラム国も世界に対して自分たちを宣伝したいんですね。(1-10)ただの野蛮人だっていうふうに思われていいとまでは思っていないと思うんですよ。ですから湯川さんは非常に残念なことになっていますが、後藤さんはイスラム諸国の中でも後藤さんを信じて応援していた人もたくさんいて、それが今ネットでもかなり拡散しているので、そうすると(1-11)イスラム国から見れば、後藤さんをただ殺すって言うのはあんまり得にはならないかもしれないぞという配慮が働くかと思うんですよね。


男の子ABCキャスター


はい。そういった考えも含めて、是非しっかりした方針点をしてもらいたいというふうに思います。



(1-1) 「イスラム教の人たちだって、このイスラム国のテロを許していない。」というのは当たり前のことですが、この「だって」という表現は、まるでイスラム教の人達がイスラム国のテロを許容する素地が存在するかのような言い回しで、イスラム教徒に対して大変失礼であると言えます。実は私にはスンニー派イスラム教徒の外国人の友達が何人かいて、この事件発生後に3人と会話しましたが、いずれも明らかにイスラム教徒以外の人達よりも強くISILのことを批判しています。これは一般のイスラム教徒こそがISILの大きな風評被害者であるということを示しています。古賀氏の発言はまさにナイーヴであると言えます。


(1-2) 安倍首相の中東での発言のどこを見ても「アメリカとイギリスのような国と同じなんだ」という言葉がないのはもちろんのこと、そのように解釈ができる箇所はありません。もし、国語の文章読解問題でこんな答えを書いたら、間違いなく誤答であると判定されるはずです。発言してもいないことを安倍首相が発言したかのように話し、そのことをもって安倍首相を批判するのは、「ストローマン論法(the straw man)」という悪質な詭弁の手法です。


(1-3) 安倍首相が実際には人道支援であると言っているにもかかわらず、言っていないと話して批判するのはストローマン論法のヴァリエーションであると言えます。明らかに異常な虚偽報道であると言えます。


(1-4) これも恐ろしいストローマン論法です。安倍首相が「世界でいろんなことを武力で解決しよう」と言っているというのはBPOで審議すべき内容であると考えます。


(1-5) このような古賀氏の明らかに不合理な言説に対して無批判に同調する番組出演者の常識も同時に疑われるべきであると思います。このように同調することによって「バンドワゴン効果(Bandwagon)」が生じ、視聴者が扇動されてしまう可能性があります。非常に危険な放送であると言えます。


(1-6) 古賀氏は、視聴者の心配の対象である後藤氏を利用して自論を展開しています。ここでも何の証拠もないにもかかわらず、安倍首相と後藤氏は考え方が異なると断定しています。極めて卑劣な行為であると言えます。


(1-7) 古賀氏の言説を盲信していると思われる芸能人の出演者が強く古賀氏に同調しました。マルチ商法の説明会会場で最初に騙されて、他の説明会参加者が騙されるプロセスにも貢献しちゃう迷惑な人のような感じです(笑)。詭弁を使う人間はこのような騙されやすい人物を標的にしがちであると言えます。


(1-8) 「スローガン(slogan)」「扇動者(propagandist)」の常套手段と言えます。一部のデモなどがそうですが、扇動者はこのようなスローガンを参加者に繰り返し唱えさせることによってを思考停止状態に陥れ、マインドコントロールします。私たちがすべきことは、スローガンを唱えてなんとなく悪と闘っているかのように錯覚することではなく、言説の真偽を論理的に判断して正当な世論の形成に貢献すること、あるいは不当な世論の形成に与しないことです。スローガンのシュプレヒールコールで論敵を暴力的に説き伏せようとするなどまったくミーニングレスな不合理の骨頂と言えます。


(1-9) 残忍卑劣なテロリスト集団のISILに対して「イスラム国の皆さん」という呼称で公共の電波を使って発信するのは、極めて非常識であると言えます。このようなマスメディアには心底絶望してしまいます。


(1-10) 非軍事の人道支援を掲げる安倍首相に対しては一貫して性悪説を適用する古賀氏ですが、極悪非道のテロリスト集団であるISILに対しては一貫して性善説をを適用しています。


(1-11) 極悪非道のテロリスト集団のISILに対して、事実を曲げてまで悪人に祭り上げた安倍首相を批判することで、許しを請う姿勢を見せるよう日本人に呼びかけた古賀氏ですが、結果的に古賀氏の見立ては見事に外れたと言えます。



そして、この放送から一週間後、後藤氏の殺害が確認された後で、今度は自らの発言について、弁解を始めると同時に、上から目線で首相への誹謗中傷を繰り返しました。



メモ2015/02/03 ASAHI朝日放送「キャスト」
「イスラム国」対応の波紋 日本の今後 古賀氏の提言



男の子ABCサブキャスター


先月23日、古賀さんの発言なんですが、日本は今、「I am not Abe」というプラカードを掲げる必要があると発言されまして、これが大変反響を呼んだんだと・・・


男の子古賀茂明氏


そうですね、(2-1)もう右翼の人中心にものすごい数の批判をいただきまして、「次はお前だ」だとかね、いろいろ言われました。後藤さん亡くなった後にね。官邸からテレビ局にもクレームが来て大騒ぎになったり。でも一方で「よく言ってくれた」と。「がんばれ」って声もものすごくたくさんいただいております。


男の子ABCサブキャスター


なるほど。今回この古賀さんの発言の真意を問うのと同時に政府の対応がどうだったのかというのを解説していただこうと思うのですが。まず問題となったのは、このエジプトでの発言ですよね。ただ、ポイントとなるのは、古賀さん、この前の段階にあるんだというふうにおっしゃるんですね。


男の子古賀茂明氏


そうですね。もう11月から12月にかけて、誘拐されているとわかっていたし、身代金要求が来てるってことも知ってたわけですよ。こういうことは役人だったからよくわかるんですけれども、瞬時に官邸まで伝えられます。そんなもの持ってて後で遅かったってことになったらものすごく怒られちゃうんで役人はすぐ上げるんです。それからアメリカにも全部連絡は行ってたはずです。で、そういうみんなが知っていた中で行くとなると、普通に考えると、外務省は「ちょっと危ないんじゃないんですか」というはずなんです。で、確かに言ったらしいんですけれども、これに対して官邸は「いいんだ」と、「行くんだ」という判断をされたんですね。で、こういう発言をされた。で、気を使って弱気の発言をするのはよくないって話がさっき出ていましたけども、(2-2)弱気の発言とかそういうことよりも普段よりも強く言っているんですよ。むしろ。人道支援っていうのは、本当は軍事目的じゃない、政治目的じゃない、経済目的じゃない、本当にかわいそうな人だから助けるんですよ。(2-3)敵、味方なんかないんですよっていうことを強調してやるのが人道支援なんですね。それをまったく逆の言い方をして、いかにもイスラム国と戦うためにやるんだというふうに言っちゃったというのが、非常に特徴的なんですけれども。


男の子ABCサブキャスター


古賀さん、そうするとですね、事前に把握してて、外務省の制止を抑えて行ったならば、この段階で何か別の救出策なりなんなりというのがあったかもしれないということなんですか?


男の子古賀茂明氏


そうですね。(2-4)当然身代金要求は、最初の段階では2億ドルなんて桁違いに大きな金額じゃなくて、まぁ10億とか20億とかですね。そういう現実的な金額だったっと言われているんですけれども、それが後藤さんの奥さんのところにメールで来て、やりとりをしてたんですね。ですからルートがあったんですよ。


男の子ABCキャスター


それは当然のことながら外務省もわかっている。官邸もわかっていると。


男の子古賀茂明氏


官邸にはもちろん一々上がって、相談もされていると思うんですけれども、さっき官房長官はっきり否定していましたけれども、交渉する気は全くなかったと。


男の子ABCサブキャスター


となれば、そう交渉せず、何が一番総理はしたかったのか?ということになりますね。


男の子古賀茂明氏


そうですね。(2-5)結局、アメリカを見てるんですよ。主に。ですから後藤さんの命ということよりも中東に行ってイスラム国に対してこんなに人質取られて大変な状況の中でも「自分たちは負けずに戦うんですよ」と。「イスラム国と戦う姿勢を示すんだ」と。そして、有志国連合の一番下にくっついて行くんじゃなくて、アメリカやイギリスと並ぶかそれに次ぐような有力メンバーとして認めてもらいたかった。


男の子ABCキャスター


古賀さん、ただね。おそらく、僕もそうですし、美佳さんもそうでしょ。イスラム国がやったこと、日本人を拘束して殺害したであろう、これも許されることじゃないですよね。


男の子古賀茂明氏


そうですね。で、もちろん人質になっちゃったのは別に安倍さんの責任じゃないんですよね。それから殺されたのも安倍さんの責任だというのはちょっと言い過ぎだと思います。ですけど、(2-6)じゃあ安倍さんは何をやりたかったのかと言うと、やっぱり後藤さんの命とかそういうことよりも、この有志国連合でアメリカやイギリスに「お前は仲間だ」と認めてもらいたかったというのが大きいと思いますね。


男の子ABCキャスター


と思わざるをえないようなということなんですかね。


男の子ABCサブキャスター


で、ですね。(2-7)人質事件が起こった後の安倍総理の発言をまた見るのですが、1月25日の段階で言っているのは、「このように海外で邦人が危害に遭った時に、自衛隊が救出できるための法整備をしっかりするんだ」ということだったり、「罪を償わせるために」ということも発言しています。で、こういったことを、安倍さん、強気の発言を続けているという傾向がありますね。


男の子古賀茂明氏


そうですね。(2-8)私非常に心配なんですけれども、自然な感情として、イスラム国憎らしいという憎悪の感情が出てきます。それからいつやられるかもしれないっていう恐怖の気持ちも出てきますけども、この二つが合わさって、しかもそれを政府が煽るような形になっていますが、その先に必ず歴史上は、虐殺だとか、戦争に入って行くんですね。で、普通は、自分がやられて自分がやり返すのは仕方ないですけど、もうこういう状況になると、やられるかもしれないから、先にやっておこうというような、やられないのにいじめる人を殺したら普通は殺人ですよ。その殺人が「いやいや同胞を守るための正義なんだ」っていう非常におかしな精神状態になるんですね。


女の子三船美佳氏


(2-9)一番良くないですよね。それは。


男の子古賀茂明氏


で、それは、日本国憲法とは全く逆なんですよ。要するに日本国憲法というのは、「自分が攻撃されない限り、絶対に武力で人を攻撃したりしませんよ。みんなで仲良くして、そういうネットワーク広げていくことが、日本を守るんですよ」っていうのが平和主義なんですね。で、(2-10)それはよく考えてみると、後藤健二さんがやっていることなんですよ。戦争しているところでも、けっしてどっちかにつくんじゃなくて、「どっちの犠牲者であっても等しく自分たちは寄り添いますよ」と。で、「仲良くしましょうね。」それによって後藤さんのことを世界中の人達が賛美、応援してくれるというふうな国に日本はなりたいので、だからそういう意味では、「私たちは後藤さんと同じですよ」ということが大事だし、それから「安倍さんがちょっと違う方向に行ってるんじゃないんですか?」と。「力でとにかく正義を実現するんだ」と、「俺達が相手を叩きのめしてやる」と、これは日本国憲法とまったく逆方向に行っているので。


女の子三船美佳氏


そう、平和こそ一番強いと思うんですけどね。私はそう信じたい。


男の子ABCキャスター


あと、古賀さん、本当に僕しつこいですけど、イスラム国がやったことを絶対に許せないんですよ。もう絶対に許せない。ただ、だからと言ってお互いにいわゆるその憎悪の叩きあいをやってほしいと多くの日本人は思っているとは僕思えないので、だったら今一番やらなきゃいけないことは何なんですかね?


男の子古賀茂明氏


まず、引いて後藤健二さんの気持ち、それを自分たちの気持ちです。そして(2-11)「安倍さんが言っているような「世界に出て行って軍事力を行使するんです」っていうのは日本の姿じゃありません」よということを世界中に発信しないと、(2-12)今、逆のイメージがどんどん広がっています。日本の平和ブランドがなくなって、「日本というのはアメリカやイギリスと同じなんだ」と、「そういう国んなんですよ」という宣伝を何か自らしているようなところがあるんですね。ていうか、それがしたいのかもしれないんですけれども、だったら「我々はそうじゃない」と。ですから"I am not Abe"いうプラカードが必要だという。単純に何か安倍さんを批判するという話じゃなくて、私たち日本人の生き方を示していく必要があるということだと思いますね。


男の子ABCキャスター


はい。ありがとうございました。




(2-1) 古賀氏は、右翼の人中心に批判され、官邸からテレビ局にもクレームが来たと述べています。ここで、注目すべきことは、批判されたという行為のみを述べ、その批判の内容についてまったく言及していない点です。これは「井戸に毒を入れる論法(Poisoning the well)」である可能性があります。この発言によって、視聴者に、あたかも古賀氏が右翼や国家権力による言論弾圧を受けているような印象を持たせている可能性があります。また、通常、右翼を名乗って批判するはずがなく、古賀氏に対する批判者を右翼であるかのような「レッテル貼り(labeling)」も同時に行っている可能性があります。言論は誰が行っているかで評価されるものではなく、言論の合理性で評価されるものです。そのような中で、右翼と首相官邸から批判を受けたことのみを言及するのは、ジャーナリズムの精神に依存するアンフェアな行為であるといえます。

(2-2) 普段よりきつく言っているというのは古賀氏の主観であるといえます。具体的な比較例を示すべきです。


(2-3) 人道支援に敵味方などないはずです。ただし、人道支援が必要となる原因を作っているISILに支援金を拠出するなどということが極めて不合理であることは自明です。難民を受け入れることによって「ISILのテロリズムと闘う周辺諸国」にという制約条件をつけるのは、国民の税金を使う代表者としては、至極当然の発言であるといえます。

(2-4) 古賀氏は、テロリストととのルートがあれば、身代金を支払うことを前提にして話しています。もし身代金を日本が支払えば、海外に在住あるいは渡航している日本人の生命を危険にさらすことになるのは自明です。極めて無責任に政府を批判する言説に対して強く抗議します。

(2-5) ここでも証拠がない憶測で政府を批判しています。もしもこのような言説を許容していたら、日本は不合理なイジメが蔓延るとんでもない国に変貌していく可能性があります。公共の福祉を著しく損なう言説に対して強く抗議します。

(2-6) キャスターによる「イスラム国がやったことも許されることじゃないですよね?」という質問に対して、古賀氏はあいまいに答えながら、いつのまにか「安倍さんは何をやりたかったのか?」という質問にすり替えています。これは「質問のすり替え(Rephrasing the question)」という「回答回避(Evasion)」のテクニックです。そして、その自らすり替えた質問に自ら答えることで安倍首相を攻撃しているのは、もはや常軌を逸しています。根拠ない憶測で確信的に他人を批判するのは、ヘイトスピーチと本質的に変わりありません。このような発言を垂れ流しするABCテレビの姿勢に強く抗議します。

(2-7) サブキャスターが、まるで言いつけ魔のように、先生に理不尽な進言をして、先生に怒ってもらうような集団いじめの形態とよく類似しています。まさに言論の暴力と言えるかと思います。

(2-8) 古賀氏は、政府が「武力攻撃に参加することはない」と明言しているにもかかわらず、「日本がイスラム国に先に戦争を仕掛けて殺人を犯すのは歴史の常である」と言っています。ここまで来ると、完全に常軌を逸した発言であるといえるかと思います。


(2-9) このような古賀氏の常軌を逸した明らかな扇動に真剣に賛同する人物がいるというのもビックリです(笑)。


(2-10) 後藤氏を偶像化して利用することで自論を展開しています。扇動家が多用するテクニックです。


(2-11) 不当な言説であっても「繰り返し(repetition)」用いると、騙される人が出てきます。これも扇動者が多様するテクニックです。


(2-12) 安倍首相の中東における演説、特にエジプトでの演説は、基本的に各国から高く評価されています。それに対して「逆のイメージがどんどん広がっています」という情報にはまったく行き着きませんし、もしそんな言説があるとすれば、古賀氏をはじめとする一部の日本人が世界に発信している根も葉もない憶測に基づく言説のみです。



以上のように一つ一つ検証すれば、古賀氏の言説が、証拠に基づくことのない憶測によって不当に安倍首相を貶めるものであると言えます。これは「言論」と呼べるものではなく、表現の自由にあぐらをかいた単なる誹謗中傷と言えるものです。そんな単なる誹謗中傷の言説を繰り返して公共の福祉を損ねている古賀氏が、表現の自由が侵害されているとして、他者とともに共同声明を発表しました。


メモマスメディアに広がる政権批判「自粛」の空気に抵抗する

~言論人たちが声明 [リンク]


古賀茂明さん(元経産官僚)


「現在のようなマスコミを中心にした自粛は、いまに始まったことではない。私は官僚を辞めて以降、いままでもたびたび、いろいろな圧力や迫害を感じたことがある。経産省を辞めて、東京電力の破たん処理というのを、おそらく日本で一番早く唱えたが、それ以降は、(3-1)動物の死体を玄関に置かれるなどの嫌がらせを受けた。それに対して、警察が『気をつけてください』とアドバイスをしにきたりした。
今回は、私が『報道ステーション』で『I am not Abe.』と言ったのがいけなかったと思う人がいるようで、数日前に、神奈川県警から二人の巡査部長がきて、『古賀さん、危ないから、警備を強化させていただきます』と言われた。『どんなささいなことでもいいから、おかしいと思うことがあれば、すぐに電話をしてくれ』と。
そういう意味で、私はいろいろなことを敏感に感じているが、いまは相当に危機的な状況に立っていると思っている。昨年12月2日にツイートした内容だが、『報道の自由』が失われていくのには3段階があると考えている。
第1のホップは、『報道の自由への抑圧』。第2のステップは、『報道機関自身がみずからが体制に迎合』。第3のジャンプは、『選挙による独裁政権の誕生』。そして、(3-2)いまは、ステップの段階まで来ている。
第1段階では、政権の側から圧力や懐柔をかけてくる。たとえば、放送局に放送後、官邸から『あの放送はなんだったのか』と電話がかかってくる。そういうときに対応するのは、記者としてはめんどくさくて、仕事にならない。そういうことが続くと、『ちょっと自粛しておこう』ということになり、第2段階に進んでいく。そして、政権がなにか言わなくても、報道機関みずからが体制に迎合したり、自粛するようになる。
いまはそういう状況と言えるが、そうなると、(3-3)国民に正しい情報が行き渡らなくなる。(3-4)どんなに賢明な国民でも、日々の正しい情報を得られなければ、間違った判断をしてしまうことは、十分にありうる。そして、最後の段階。選挙という最も民主的な手続きで独裁政権が生まれるというパラドックスが生じることになる。
このように、いまはステップの段階に来ていると思うが、その一方で、非常にうれしく思っているのは、こういう中でも、大手の新聞社やテレビ局の中に『名前を出してくれ』という人がいること。いまも問い合わせを寄せてきている人がいる。(3-5)逆にいえば、そこまで、危機に感じているということだ



(3-1) 古賀氏に対して脅迫するような行為があったとしたら、それは社会が排除すべき蛮行であると言えます。法治国家である日本において、暴力で人の行動をコントロールすることは絶対にあってはなりません。ただ、古賀氏が脅迫されたと言っていることと、古賀氏の言説の評価とはまったく別のことです。古賀氏の言説が批判を受けているのは、古賀氏の言説が憶測で他人を貶める極めてオソマツなものであるからであって、言論弾圧であると考えていたら、思いあがりであると考えます。なお、圧力や迫害などという言葉を用いて異論を封殺すると同時に、被害者意識を前面に出して他者を攻撃するのは、カルトの常套手段でもあります。

(3-2) 古賀氏が発する公共の福祉を破壊するような言説が堂々と放送されている現状を見ると、報道機関自身が体制に迎合している段階まで来ているとは到底思えません(笑)。むしろ報道機関が、古賀氏のような公共の福祉を破壊するようなグループに操られていると考える方が合理的であると思います。


(3-3) 正しくない情報を国民に提供しているのは、むしろ古賀氏です。


(3-4) 「賢明な国民」というのは、国民の自尊心を刺激する「おせじ論証(Appeal to flattery)」です。これも扇動者が多用するテクニックです。


(3-5) 危機を感じていると結論付けるのは典型的な「性急な一般化(Hasety generalization)」です。同調してきた人達が、勘違いしていたり、マインドコントロールされていたり、他の利益を追及していたり、つきあいで行動していたりする可能性もごく普通に考えられます。何でも自論に都合のよいように解釈する古賀氏は、ジャーナリズムに関わるべきではない人物であると言えます。



さて、ISILは機関誌ダビク(Dabiq)の6号を発刊して安倍首相を猛烈に批判しました。



メモイスラム国機関誌 ダビク(Dabiq)6号


安倍晋三が軽率にも十字軍への支援を誓う前には、日本はイスラム国の攻撃目標のリストに入っていなかったが、愚かな安倍晋三によって、今ではすべての日本国民が、どこにいようとイスラム国の戦士と支援者の攻撃目標となってしまっている。今、日本は複雑な窮地に追い込まれている。どうしたらこの脅しから逃れることができるのか?無謀にも危険にさらしてしまった国民を守るため安倍晋三はイスラム国に歩み寄ることができるのか?イスラム国に敵対して忌わしく賢くない支援発表をしてしまった安倍晋三が、イスラム国に対する戦争の支援をやめるという勇気ある発表をできるか?非常に疑わしいといえる。


荒唐無稽なISILの主張が、荒唐無稽な古賀氏の主張と本質的にほぼ一致していることがわかるかと思います。この一致の解釈として、二通りの解釈を行うことができます。


まず、一つは、古賀氏がISILの考え方を事前に見事に言い当てたという解釈です。そして、もう一つは、日本のテレビ番組をチェックしていると言われるISILが日本の代表的なニュースショウである「報道ステーション」における古賀氏の荒唐無稽な首相批判に興味をもって、これを利用しているということです。


このどちらかが合理的であるかは、賢明な日本の皆さんの良識に委ねたいと思います(笑)





報道倫理を著しく逸脱した古賀茂明氏のイスラム国報道における言説(1)

古賀茂明氏



民放連の放送基準には、報道の責任において「ニュースは市民の知る権利へ奉仕するものであり、事実に基づいて報道し、公正でなければならない。」と規定されていますが、今回のISILによる邦人殺害事案に関するテレビコメンテイターの古賀茂明氏の言説の一部は、個人の憶測に基づくものであり、報道倫理を著しく逸脱した危険な扇動が含まれているものと考えます。以下、4つのテレビ番組におけるその言説を2回にわたる記事で検証したいと思います。まず、この記事では、最初の2番組について詳しく見ていきます。



メモ2014/09/26 テレビ朝日「報道ステーション」
国境に迫る「イスラム国」 トルコから見た”その姿”



男の子古舘伊知郎キャスター


古賀さん、クルド人の方々は、トルコにもシリアにも国境関係ない状態で暮らしていらっしゃるから、ああいうふうに親せきがシリアにいる、イスラム国がどんどんどんどん侵攻しているというところで、クルドの人達が駆けつける場面があるんですね。


男の子古賀茂明氏


我々が普通考えている「国と国」っていうような感じではないですね。前提を変えて見ないといけないと思うんですけど、(1)今我々はヴィデオにあったように「悪魔のようなテロ集団、イスラム国に対してアメリカがヨーロッパとアラブの有志と集って連合して空爆する正義の戦いをやってます」というのを我々は見せられているわけですよね。そこには一貫して「これはアメリカがアメリカの敵と戦っているんじゃないんですよ」、あるいは「アメリカがキリスト教の敵と戦っているわけでもないですよ」、「そこには地域と宗教を超えた全世界の敵、イスラム国と戦う地球連合軍」みたいな、そういうストーリーを見せられているわけですね。それでこういう戦いっていうのが、そういうふうに見えるというのは、実はちょっと注意して見なければならなくって、(2)これはかなりの部分がアメリカの世論対策っていう性格があるわけですね。そうしないとアメリカとしては国内で選挙もあるし、国際的にもそういう世論対策が必要であるということで、そこに相当気を使ってやっているということだと思います。で、中東のメディアであるアルジャジーラとか、ああいうもの見ていると、かなりちょっと違った絵が見えるんですけれども、特に今よく考えてみると、世界中で言われている「国家の枠組みを超えた戦い」っていうようなこと言ってますね。で「そういうテロが出てきた」と。で、ただよく考えてみたら、「国家の枠組みを壊したっていうのは誰なんだろうな?」と。


男の子古舘伊知郎キャスター


(3)アメリカじゃないですかね。


男の子古賀茂明氏


ええ、そういうふうに私には思えるんですね。(4)イラクで間違ってっ戦争してフセイン政権倒しちゃって国の枠組みが壊れちゃっていると、あるいはリビアのカダフィーもいなくなっちゃったし、今シリアで同じようなことが起きているんですけれども、国家が流動化しているみたいなところまでやってしまうと。結局今起きていることっていうのは、実はなんだかんだ言ってもアメリカの戦争なんじゃないんですか?というふうに私には見えるんですね。で、今日本は集団的自衛権っていうのは使えませんから、ある意味ラッキーという感じもするんですけど、(5)もし集団的自衛権が来年実現してアメリカから要請されたらどうなるのかな?と、断れないんじゃないかな?とちょっと心配があります。こういうふうに正義の戦いだと、アメリカが造っているんですけど、でも世界の正義の戦いに来ないんですかといわれて、断れるのかな?と。やっぱり単純に正義というのをこれだというふうにつかまえてそこに乗っていくということはやっちゃあいけないと思うんですよね。でも何もしなくてもいいのかというとそうではなくて、やっていいことは、(6)例えば難民に対する支援ですね。これはケチケチしないでできることはどんどんやってもいいと思います。だけど、アメリカの正義っていうものに乗っかって戦いに行くと何が起きるかというと、おそらく日本もテロの対象国となって、東京ももちろん危なく、日本人も危なくなりますし、世界中の日本人が狙われる。テロに日本人がそんなに強いかっていうと、とてもそうも思えませんので、そういうこともよく考えないといけないんじゃないかなって思いました。



ちなみに以上の発言は、ISILのテロの犠牲となって殺害された湯川氏がISILに拘束されたことが既に報道された後に放映されたものです。これらの古賀氏の発言について(1)~(6)の下線で示した個所を中心に詳しく見ていきたいと思います。



(1) 古賀氏は、事実の報道に対して「悪魔のイスラム国に対して有志連合が正義の戦いをしている」というストーリーを見せられていると主張しています。これは陰謀論者が批判対象の反論を無力化するために頻繁に用いる「井戸に毒を入れる論法(Poisoning the well)」という手法です。この手法によって、「悪魔のイスラム国」「正義の有志連合」というのは有志連合が造ったストーリーであり、このストーリーを支持する人物は、ストーリーを造る側に与する人物であるという印象を視聴者に持たせます。この手法の最も有名な例としては「アメリカ政府は宇宙人の存在を隠している」「アポロ11号は月に行っていない」などがあり、視聴者がその事実を直接確認できない場合に特に有効となる手法です。つまり、ストーリーを合理的に支持する報道をすべて陰謀であると言えばよいわけです。ここで重要なのは、少なくとも、ISILが繰り返している極悪非道の人権侵害自体は明らかに悪魔の行動であり[→記事] 、少なくともこれを抑制するための活動が必要であるということは自明です。それに対して、このような古賀氏の言説は、ISILのプロパガンダにとって非常に歓迎されるものであり、ISILの人的資源の増強に貢献する方向のものであることは間違いありません。


(2) 古賀氏は、井戸に毒をもった上で何を主張しているかといえば、アメリカが世論対策を目的として空爆を実行しているということです。まず、この古賀氏の主張は、完全に古賀氏個人の憶測ですが、これをあたかも事実であるかのように堂々と話しています。これは「自信満々の憶測(confident speculation)」という扇動家・詐欺師・カルト教団などが多用する方法で、視聴者を心理的に騙して自論に誘導するものです。一連のコメントを見ればわかりますが、古賀氏は自論を説明するための合理的な根拠をまったく示していません。ここで基本に戻ってみると、政治家は国民の代表であるので国民が支持する政策を実現しようと努力します。そしてその政策が実施された場合、当然世論はその政策を支持します。つまり、選挙時の公約に含まれていないようなISIL問題のような新しい事案に対して、国民の意向を汲んで政策を実現した場合でも選挙対策で政策を実施した場合でも見かけ上はまったく違いはなく、これをどちらか判断すること自体がまったくミーニングレスであると言えます。また「世論対策」という理由で合衆国政府を批判すること自体、論理的に間違っています。減税や高速道路無償化(笑)などの措置とは異なり、今回のテロリズム対策は市民に対する直接的な利益の供与にはならないため、仮に世論の支持が上昇すれば、それは合衆国市民の意思に基づく自発的選択の結果であると言えます。すなわち、古賀氏が批判すべき対象は、合衆国政府というよりはむしろ合衆国市民と言えます。


(3) 日本の一部マスメディアの報道にありがちなのは、一言「ISILも悪いが」という文言を入れた後で、それを作った責任は大義なきイラク戦争を行ったアメリカにあるとして延々とアメリカをヒステリックに批判するという論調です。例えば、テレビ朝日「報道ステーション」では、2014年6月のイスラム国樹立宣言から日本人人質事件が発生するまでの間、ニュース解説でISILを取り上げたのは、6/16, 8/12, 8/18, 9/15, 9/23, 9/24, 9/25, 9/26, 12/15の計9回であり、このうち湯川氏が拘束された8/18とアメリカを名指ししないで間接的に批判した9/25を除く計7回でアメリカを名指しで延々と批判しています。これに対してISILを明確に批判したのは、驚くべきことに、計21分間の時間のうち計30秒程度であり、具体的には、「もちろんイスラム国がやっていることはひどいわけですが、・・・(6/16古館氏)」「イラクやシリアで残虐な行為をしているだけじゃなくて、VTRにもありましたけれども、欧米からきている兵士達がパスポート持って元の国に戻れば溶け込めるわけですから、そういう人達が元に戻った国でテロをするんじゃないかという恐怖感があって・・・(09/15恵村氏)」「こうやって5日間で14万人(難民)と、まぁ数字に表しても、一人一人の壮絶な悲しみと理不尽、こういうものはなかなか伝えづらいという、とんでもないことが国境を越えて起きているわけですが、・・・(09/24古館氏)」「イスラム国がやっていることはとんでもないことだと思います。一方で・・・(09/25古館氏)」という言葉のみであり、これらは、この後に続くアメリカ批判を心置きなく行うためのアリバイのように使われています。何よりもこのISIL批判とアメリカ批判の圧倒的な量差は著しくアンフェアであると言えます。おそらく、報道ステーションの報道は、ISILのメディア戦略が最も成功している事例であると思います。ISILが極悪非道なことを実行するたびに、この番組によってアメリカがコテンパンに批判されるからです。ごく普通の素直な目で見れば、ジャーナリズムのプライオリティーが、よく知られている「アメリカが過去に犯したイラクでの過失」ではなく、あまり知られていない「ISILの現在進行中の人権侵害」にあるべきことは明白です。


(4) アメリカ合衆国が、イラク戦争の理由として大量破壊兵器に固執したことについては、批判されるべきであると考えます。ただし、恐怖政治で長期間にわたって大量虐殺と人権侵害を行っていた独裁者のフセインが政権から退場したことは悪いことではないと考えます。古賀氏の言説は、イラクが安定するためには恐怖政治が必要であるとも受けとれるものであり、極めて無責任であるといえます。


(5) 集団的自衛権が法制化されてアメリカから要請されても、今回のように一般の日本国民に明白な危機がない事案で、日本が有志国連合の空爆に参加することは実際上考えられません。よく石油供給の停止による自衛権行使のハードルが低いと言われていますが、日本の石油備蓄量として6ヶ月分、LPG備蓄量として100日分の輸入量が確保されていること、ホルムズ海峡以外の依存度が少ないとはいえ20%あること、IEAの国際協調放出枠組を利用できることなどを勘案すると、概ね1年間は時間稼ぎをすることができます。ちなみに、経産省の官僚であった古賀氏がこのことについて認識していないはずがありません。このようなセキュリティ環境が確保されている中で、日本にとって最悪のケースであるイランによるホルムズ海峡封鎖を考えると、NATO軍による海峡奪還については1週間程度、機雷除去については1ヶ月程度のオーダーで可能であると分析されています[→分析例] 。このオーダーの経済リスクであれば、日本が集団的自衛権を行使することの合理性はまったくありません。そもそも、日本の議会で集団的自衛権の行使が承認される前に、それを行使する必要性がなくなっているものと推察されます。中東を対象とした日本の集団的自衛権のアジェンダは、あくまでセキュリティホールを埋めるためのカードとして権利を行使できる状態にしておくというのが実質的な目的であると私は思っています。古賀氏の想定には何の合理的根拠もなく、ひたすら「恐怖に訴える論証(Appeal to fear)」で国民の恐怖感を煽り、政府に反対する自論に導いているものであると言えます。


(6) 日本政府が行なった人道支援を曲解して批判している古賀氏が、この段階で、難民に対する支援はケチケチしないでできることはどんどんやればいいと発言しているのには不条理を感じます。古賀氏は人質事件発覚後に、テレビ朝日「報道ステーション」で明らかに難民支援であることを表明している安倍首相[→記事] の言葉を曲解し、イスラム国と戦うんだぞっていうのをすごいアピールしていると発言しました。夜の全国ネットのニュースショウ「報道ステーション」でのこの発言は、その後のISILの日本人人質に対する対応に誤った根拠を与えた可能性があります。


ここで、もう一度、[過去記事] で紹介した2015年1月23日の古賀茂明氏の「報道ステーション」での発言を再掲したいと思います。



メモ2014/01/23 テレビ朝日「報道ステーション」
「72時間」期限過ぎた今 政府の交渉の行方は



男の子古舘伊知郎キャスター

古賀さんに伺いたいのですが、古賀さんはイスラム国の悪逆非道な犯罪と、しかし一方で背景の問題と分けて考えることが必要だと、強く訴えられています。その辺りからちょっときかせていただけますか。


男の子古賀茂明氏


イスラム国がやっていることはとんでもないことなんですけれども、言っていることには結構共鳴する人たちが多いんですね。それは、例えば第二次世界大戦後にイギリスとかフランスが勝手に国境線決めちゃって民族が分断されたとか、あるいは最近であれば、アメリカのアフガンとかイラクとかの戦争でアメリカに罪のない女性や子供を含む民間人がたくさん殺されているぞと、そういうことに報復するんだと言うような主張というのは、一面では嘘じゃなくて、イスラムの中にはそれに共鳴する人がいる。で、イスラムの人も「だから人を殺していい」という人はほとんどいないんですけれども、でもその思想自体は結構共鳴する人がいるからこそ、人はまだまだどんどん入って来るということがあるというのは、一つ事実として押さえておかなくちゃいけないと思うんですね。で、私は、ただそれよりも今回一番驚いたのは、安倍さんがずっと中東歴訪してですね、エジプト・ヨルダンなどでいろいろスピーチされていました。私聞いていた感じは、「ああ、すごいパフォーマンスだな」と。要するに自分はイスラム国と戦うんだぞっていうのをすごいアピールしているなと見てたんですよ。(7)ところがこの事件のことが明るみに出て、よく聞いてみたら、実は後藤さんが人質に取られて身代金を要求されているなんて状況を政府は知ってたって言うんですね。で、これはちょっと私、でも人命第一と今言っているんですけれども本当なんだろうかと。というのは、普通人質取られて身代金の交渉なんていうことになっていたらですね、一番大事なことは犯人に対して刺激をしないとか、そういう常識的なことがあるのに、今回わざわざ現地の方に近くに行って「私はイスラム国を批判しますよ」と。で、「イスラム国と戦う周辺国に2億ドル出しますよ」っていう、まるでいかにもイスラム国に宣戦布告するかのようなことを言ってしまったと。で、これ普通に考えると、イスラム国は「交渉できたらいいな」ってもしかしたら考えていたかもしれないんですけれども、そんなことを公の場で言われちゃったら「もう日本政府だって今更お金払いますなんてできないよな」と。「じゃあこれ交渉できないんじゃないの、だったら、宣伝に使っちゃおう」、あるいは「もう思いっきり吹っかけてやろう」と、いうふうになってしまったんじゃないかなという気がしていて、私は、そこは、「安倍さん、官邸は、「そういうことで後藤さん犠牲になっちゃうかもしれないけど、でももっと大事なことがあるんだ」っていう判断をして一連の発言をしたんだろうね」というふうに思うんですね。


男の子古舘伊知郎キャスター


古賀さんこれはどうなんですか?古賀さんのお考えとしては、今日の動きを見ても、あるいは昨日あたりからを見ても、やっぱり総理、あるいは防衛大臣、有志連合のイギリス・アメリカをはじめとして、あるいはオーストラリア、それはいけないって言うんじゃなくて、空爆を敢行している人たちの方向に向いていて、これで交渉が進むだろうか、人質解放の、ということを、ちょっと気をもむ方は多いんじゃないかなというところはどんなふうにとらえますか?


男の子古賀茂明氏


ですからそこは、人命第一ですって言うのは、私は少なくとも向こうに行くまではそうじゃなかったんじゃないかなと思うんですけれども、じゃあ何が大事だったんですか?っていうと、やっぱり今おっしゃったようにですね、イスラム国と戦っている有志連合の仲間に入れてほしいと。正式なメンバーまではなれないけど、仲間と認知してほしい。そのためには、本当は空爆したりとか、あるいはイラクに武器を供与したりとかできればいいんですけれど、これできないじゃないですか。だからもともと安倍さんが願っている目標と言うのは、本当はできないことなんですよ。でもそれをやりたい。で、それをやるために何ができるかというと、人道支援しかできないと。人道支援をあたかも「イスラム国と戦うための支援なんです」というふうに表現してしまう。で、それをおもいきり宣伝してしまうということをやっちゃったんだろうなというふうに思います。で、ある意味目標は達成したと思うんですね。アメリカやイギリスは多分、「安倍さんはもうテロなんかに屈しない」と、で、「テロと戦う人のためにお金を出します」と言ってくれるのは非常に評価していると思いますし、今はまさに「あなたは仲間ですね」と、「じゃあ最後まで屈しないで身代金なんて払わないで頑張ってくださいね、みんなで応援しますからね」って、そっちにどんどんどんどん今引き込まれている感じがするんですよ。ですけどこれは後藤さんのお母さんが憲法のことを言ってましたよ。「日本は戦争をしない国なんだ」と。で、やっぱりちょっと一回我々はそこに立ち返らないといけないと思うんですね。安倍さんは「有志連合に入りたいんだ」あるいは「そういう国なんだ」って言いたいかもしれないけれども、でもそんなことは日本は憲法もあるし、できないはずなんですよ。で、世界の人たちに今回は非常に変な宣伝になってしまって、イスラム国にうまく利用されてですね。いかにも日本というのは「アメリカの正義というのを日本の正義だと思い込んでいるんじゃないか」と、あるいは「アメリカやイギリスと一緒なんだと、そういう国だぞ」って言うふうに思われてしまいつつある。それを世界に発信されていると。それに対して私たちは「いやそうじゃないんです」と、「だって日本は今まで戦後ずっと戦争をしてませんよ」と、「憲法では、日本のことを攻めてこないような人たちのことを一方的に敵だなんて絶対思いませんよ」と、「なるべく多くの人と仲良くしたいんですよ」と、「こういう国が日本なんですよ、日本人なんですよ」っていうことを、もう一回ここで世界にアピールしていく必要があるだろうなと。今回は、そういう日本のイメージの全く逆の方に、まあ安倍さんの発言もそうなんですけど、それをイスラム国にうまく利用されてですね、そうするとみんなイスラム諸国の人たちも「いや、なんか日本って結局アメリカなのか」みたいな「Japan is the United States」みたいなですね。それに対して我々は、例えば「いや、安倍さんはそういう印象を与えちゃったかもしれないけども違うんですよ」と。「Je suis Charlie」っていうプラカードを持ってフランス人が行進しましたけど、私だったら「アイ・アム・ノット・アベ(I am not Abe)」というプラカードを掲げて「日本人は違いますよ」と、「そんなことじゃない、本当に皆と仲良くしたいんです」と、「決して日本は、攻めてない国に対して攻撃するとか敵だっていうそういうことは考えない国なんです」っていうのをしっかり言っていく必要があるんじゃないかと思いましたね。



以上の報道が「ストローマン論証(the straw man)」を中心とする誤謬によって構成されていることは[過去記事] に示した通りですが、ここでは下線部(7)に着目したいと思います。


(7)[東京大学の池内恵氏の論理的な検証] により、ISILは日本の支援が「非軍事的」であることを明確に認識していながら人質の殺害を決行したことが判明しました。つまり、極悪非道なISILは日本が人道支援のアクションを起こす段階を待っていて犯行に及んだと考えられます。したがって、ISILを刺激したということで古賀氏が安倍首相を批判するのであれば、すでに湯川氏が人質となっていることを認識した上で「人道支援をどんどんやれば」と公言していた古賀氏も同時に批判されなければなりません。ISILにとっては、「人道支援」自体が反ISILであるとの口実になるからです。


さらにISILが最初から2人の人質の殺害を前提にしていた可能性が高いという分析を含めて考えれば、その目的はメディアによる宣伝と関係国の分断にあったと考えるのが合理的であり、"I am not Abe" アイ・アム・ノット・アベというスローガンをテレビ番組で呼びかけた古賀氏はまさにISILからみれば、日本における最高殊勲選手であると言えます。


この時点で(おそらく現在も?)古賀氏にはそのような危険な発言を行った認識がまったくなく、さらにプロパガンダを続けることになります。その内容については次の記事で書きたいと思います。




ボブ・ディランによるフランク・シナトラ曲のカバー・アルバム「シャドウズ・イン・ザ・ナイト」

ボブ・ディラン
Shadows in the Night by Bob Dylan


アメリカン・フォークのシンガー・ソングライター、ボブ・ディランの選曲によるフランク・シナトラのスタンダード・ポップの新作カヴァー・アルバムです。

何ともミスマッチすぎる組み合わせです(笑)。
[前記事]で紹介したダイアナ・クラールのアルバムは、
フォークソングを歌ったジャズシンガーのアルバムでしたが、
このアルバムは、
ジャズスタンダードを歌ったフォークシンガーのアルバムと言えます。

世間による「プロテスト・ソングの伝道師」というレッテルを毛嫌いするボブ・ディランですが、私もボブ・ディランは「ただのオッサン」だと思います(笑)。誤解を恐れずにさらに続ければ、はっきりいって歌唱はめちゃくちゃ下手と言えるかと思いますが(ファンの方、本当にごめんなさ~い・・・笑)、いつもどこからともなくひょっこりと現れて(笑)、先入観を除けば極めて素直な歌詞を、ハーフ・トーキング&ハーフ・シンギングのヴォーカル・スタイルで聴かせてくれるのは、究極にナチュラルな最高のオッサンだと思います。そしてこのようなオッサンこそ、現代最高峰の吟遊詩人と言えるのではないかと思います。

その吟遊詩人が、その対極の存在と言えるセレブリティのフランク・シナトラをどのようにカヴァーするのか、めちゃくちゃ興味があったのですが、その内容は完ペキにぶっとんでいました(笑)。

シナトラ・ミュージックの大ファンというボブ・ディランが選んだ曲は、アルバムタイトルから連想される"Strangers in the Night"とか"The Shadow of Your Smile"などのシナトラの定番曲ではなく、ぼちぼちマニアックな曲が多く、よせばよいのに(笑)、それなりの歌唱力が要求されるバラッドの連続でした~!!!しかもバックがシンプルなフォーマットなので、バックで誤魔化すことはできず、退路を完全に断ったシチュエーションでのシナトラ曲へのチャレンジです。バラッドということで、持ち前のハーフトーキングを発揮できず、無理やり全部シンギングするもんだから(笑)、ところどころ声は上ずり、結果として生まれた作品は、大きな純白のキャンバスの端っこにクレヨンでチューリップの絵を書くような現代アートのような感じ(笑)と言えます。もちろん、音楽に対してぼちぼちオプティミスティックな私は全然くよくよしていません。オノ・ヨーコ「ダブル・ファンタジー」のようなちょっと次元の異なる聴き方で末永く楽しんでいこうと思っています(笑)。


Bob Dylan - Full Moon And Empty Arms


Bob Dylan - Stay With Me



なお、ボブ・ディランが選曲したシナトラの曲は
あくまで私の趣味ですが、
「それを選ぶ?」って思うくらい
なかなかいい曲を選んでくれています。

特に私が大好きなトミー・ドーシー楽団時代のシナトラが歌った
"Full Moon and Empty Arms"が選ばれていたのは
ハッキリ言って目頭が熱くなりました~。


1. I'm a Fool to Want You


2. The Night We Called It a Day


3. Stay with Me


4. Autumn Leaves


5. Why Try to Change Me Now


6. Some Enchanted Evening


7. Full Moon and Empty Arms


8. Where Are You?


9. What'll I Do


10. That Lucky Old Sun



ちなみに、このボブ・ディランのアルバムは、
合衆国の辛口の批評家からぼちぼち高評価を受けています。
やっぱり聴く人が聴くと違うんだと思います(笑)。
確かに言われてみれば、
"Some Enchanted Evening"や"That Lucky Old Sun"は
最高に味がある作品と言えなくもないと思います!


ボブ・ディラン