近江毎夕新聞 -5ページ目

感染症治療薬開発に道筋 バイオ大がウイルスをゲノム解析

 長浜バイオ大学の池村淑道(としみち)客員教授ら五人の研究チームがエボラ出血熱やインフルエンザ、中東呼吸器症候群(MERS)など、感染力と症状の深刻さから、人類の脅威とされる感染症のウイルスをコンピュータ解析し、ゲノムの変化に一定の規則性や再現性があることを突き止め、十一月三日発行の「ネイチャー」姉妹誌「サイエンティフィック・レポーツ」に論文を掲載した。
 バイオ大の研究メンバーはほかにコンピュータバイオサイエンス学科の和田健之介教授、同、和田佳子(よしこ)特任講師ら。
 これまで感染症のワクチンはウイルスの絶え間ない変性で効果が次第に薄れ、次々と新ワクチンを開発する必要があったが、ゲノム変化の法則性が解明されれば、「核酸医薬」など、薬効の持続性が高い「待ちかまえ型医薬」開発につながることから、バイオ大では、池村教授らの基礎研究が創薬開発に道筋をつける可能性が高いとしている。
 深刻な感染症を引き起こすウイルスは、ゲノムとしてRNA(リボ核酸)をもち、 ゲノムRNAからDNA(デオキシリボ核酸)を介さずに遺伝情報が発現するタイプのウイルスと、ゲノムRNAを一旦、逆転写酵素を介してDNAとしてコピーしそのDNAから遺伝情報を読み出すタイプ(レトロウイルス)のものがあるとされる。
 研究チームは公開された約千株のエボラウイルスのゲノム配列から、連続塩基の出現頻度を採取日ごとに調べ、時系列の変化から一定の規則性や、再現性があることを突き止めた。そのメカニズムからRNAウイルスの変異の特性がある程度予測でき、待ちかまえ型の治療薬開発につなげることができるという。
 【核酸医薬】DNAとRNAを使った将来の医薬品で、疾患に関係するタンパク質に直接作用する低分子薬や抗体医薬と異なり、遺伝子に作用するのが特色。不治の病とされた難病の特効薬として開発が期待されている。

石田さんの切子ガラス 1月15日まで、ギャラリーあみす

 大阪府出身のガラス作家、石田慎(まこと)さん(30)の作品展が十七日から、長浜市元浜町のギャラリーあみすで始まる。企画展「石田慎ガラス展」で、ガラス溶融から吹きガラス成型、カット、銀箔貼りなど製作工程のすべてを一人で担う石田さんの精緻で華やかな切子ガラス約百点を展示し、一部を販売する。来年一月十五日まで無休で展示する。初日の今月十七日と翌十八日は同ギャラリーで制作の実際を披露する。
 石田さんは江戸切子を学んだあと、理化学医療用のガラス器製造の老舗、イサミ硬質硝子(株)=東京=に六年勤務。この間、江戸切子職人展や、日本現代工芸美術展、テーブルウェアフェスティバル、現代ガラス展などに出品し入賞。昨年「shin glass工房」を設立して独立した。
 開館は午前十時から午後五時まで。三十、三十一日と元旦午前中は休廊。入館無料。

来院者に安全啓発 夕暮れの交通事故防止など

 長浜市と長浜署、長浜地区交通安全協会などは十二日、長浜市宮前町の長浜赤十字病院玄関前で夕暮れ時の交通事故防止を呼びかける街頭啓発に取り組んだ。市立わかば幼稚園の園児十八人がジュニアポリスの制服とサンタ帽姿で参加。サンタ姿の藤井勇治市長とともに、園児手作りの「反射材お守り」やキーホルダーなどを詰め合わせた「安全・安心セット」を来院者に手渡し、無事故を呼びかけた=写真。
 日没が早い年末は夕暮れや夜間に重大事故が発生しやすいとされ、飲酒運転が増える恐れもあることから、滋賀県交通対策協議会では十二月中を「年末の交通安全県民運動」期間とし、高齢者と子どもの交通事故防止を基本に▽夕暮れ時と夜間の歩行中・自転車乗用中の交通事故防止(特に、高齢者の反射材着用の推進と自転車前照灯の点灯の徹底)▽後部座席を含めた全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底▽飲酒運転の根絶―を重点事項として啓発活動に取り組んでいる。
 なお、県内では今年一年間(十一月末現在)、四千七百十七件の交通事故が発生し、死者は四十八人、負傷者は五千九百十四人で、いずれも昨年に比べ減少しているが、事故で死亡した人を年齢別にみると六十歳以上が二十四人で全体の半数を占めている。また死亡事故の事故種では、人が車にはねられるなど人対車両が十二件、出合い頭衝突が十一件と多い。発生時間帯は午後六時から同八時までが十一件で、他の時間帯に比べ突出して多い。

本で振り返る今年 浅井図書館で約200冊

 今年四月十四日の熊本地震や、ノーベル医学生理学賞を受賞した大隅良典・東京工業大栄誉教授(71)など今年注目されたニュース、話題など約二十テーマに関連した図書を紹介する企画展示「本でふりかえる2016年展」が十六日から、長浜市大依町の浅井図書館開架フロアで始まる。
 同図書館年末の企画で今年四回目。一テーマ約十冊、計二百冊余りの展示図書は貸し出し可能。一月十六日まで。開館は午前十時から午後六時。火、水曜日と今月二十九日から一月四日までは休館。

けやきっ子読書カード 市内の6図書館で小学生に

 自身が図書館から借りた図書のタイトル、貸し出し日などをプリントしたカードを貸し出し時にプレゼントする小学生向けのサービス「けやきっ子読書カード」=写真=のサービスが二十四日から、長浜市内の六図書館で始まる。
 希望する児童にA6版サイズのカードを配るもので、裏面には、本や図書館に関する豆知識、クイズがプリントされ、カード表紙や、カードを束ねる金属リングも添えた。豆知識などは全百タイプ。自身が読んだ本を日時とともにカード化することで、自身が好む本の傾向や変遷、成長や様々な出来事と本との出合いの時期を振り返ることができる。県内の図書館で初の試み。長浜市の木ケヤキのようにすくすく成長することを願って市立図書館では「つなごう!子どもと本~けやきっ子プロジェクト」事業に取り組んでおり、読書カード配布もその一つ。カードを欲しい児童は、本の借り出し時にカウンターで。