近江毎夕新聞 -3ページ目

湖北の事件・事故簿

はねられ女性死亡
 十八日午後五時ごろ、米原市柏原の国道21号線で、道路を横断していた同所の無職女性(56)が、三重県松阪市の会社員男性(44)の運転する軽乗用車にはねられ、搬送先の病院で死亡が確認された。失血死とみられる。
 米原署で事故原因を調べている。死亡した女性は近所に届け物をする途中、はねた会社員は単身赴任先の岐阜県へ戻る途中だった。

ひき逃げで逮捕
 長浜署は十八日、過失運転致傷と道交法違反(ひき逃げ)の容疑で、長浜市内在住の派遣社員男性(20)を逮捕した。
 調べによると、同男性は十七日午後八時二十五分ごろ、長浜市山階町の県道を普通自動車で東進中、交差点の信号が赤だったにもかかわらず進入し、前方右側道路から右折進入してきた普通乗用車に衝突。同車を運転していた長浜市木之本町の無職男性(23)に首と腰の骨を打つ軽傷を負わせておきながら、そのまま逃げた疑い。その後、長浜署に出頭して、逮捕となった。

害獣捕獲申請を市が門前払い 申請団体が提訴直前に受理、許可

 今年一月に県内で初めて県の鳥獣捕獲等事業者に認定された「NPO法人湖北有害鳥獣対策協議会」が今年七月初旬、急増するニホンジカの捕獲を長浜市に申請したものの、長浜市は県猟友会北部有害鳥獣捕獲組合に発注するシカ駆除と対象エリアが重なり、安全性に問題があるとして受理せず、NPO法人の再三の申し入れに五カ月後の十一月二十一日に受理すると態度を一転していた。
 申請書類の不備から十二月二日に受理し、今月八日には許可するスピード決済となったが、業を煮やしたNPO法人が長浜市を相手取り提訴を準備した直後の「許可」に、同法人では怒りが収まらない様子いる。
 NPO法人は「許可権者の市に無報酬の害獣駆除を申請した。本来なら補助金でシカを捕獲する猟友会との調整を取り持ち、我々の活動を支援しても良いはず。しかし利害が相反する猟友会との協議を整えてから申請するよう指導するだけで、事実上の門前払いだった」と市の態度を批判している。同法人は害獣駆除で過去に市のプロポーザル方式の業者選定に応募していたが、組織規模が大きい猟友会がことごとく受注するため、一昨年から応募を取りやめていた。
 長浜市が許可を渋った背景には有害鳥獣の駆除を請け負う団体はこれまで猟友会以外にはなく、県、市ともほとんどの害獣駆除を猟友会に発注していた経緯があり、同会から脱退した人々らで構成するNPO法人は猟友会と「対立関係」にあると認識していたためとみられる。このため両団体の協議が整った段階で申請を受理すると回答していたが九月下旬に行われた両団体の協議は猟友会の事実上の拒否で物別れとなり、結果的に市と猟友会がNPO法人を排除する形となっていた。
 市では猟友会にシカ一頭の駆除に対し、二万円を交付しているが、NPO法人の捕獲には補助はない。同法人ではシカ肉の販売拡大などで活路を見出したい考えだが、捕獲許可が遅れたことから、今期の狩猟解禁期日(十一月十五日~来年三月十五日)の捕獲では一般のハンター同様に「狩猟税」を負担したうえでの作業となり、採算ベースには乗らないという。

韓国総領事と市長懇談 朝鮮通信使の世界記憶遺産登録で

 駐大阪韓国総領事館の河泰允(ハ・テユン)総領事が十四日、長浜市役所を訪問し、藤井勇治長浜市長と約四十分懇談した。江戸時代の二百年間に十二回来日した朝鮮国の文化使節「朝鮮通信使」の記録文書をユネスコ記憶遺産に登録するため、市長に協力を要請したもので、河総領事は「記憶遺産登録でこれまで以上に両国の交流促進を。平昌(ピョンチャン)冬季五輪、東京五輪でも両国の関係を深めていきましょう」などと語り、藤井市長は朝鮮通信使に随行するなど朝鮮外交に貢献した長浜市高月町雨森出身の儒学者、雨森芳洲に触れ「郷土の偉人として現在も顕彰活動が続いています。芳洲の文献が登録されるのは大変すばらしい。市では多文化共生社会の実現やインバウンド促進などに取り組んでおります。共に協力して登録を目指しましょう」などと応じていた。
 日韓両国に残る朝鮮通信使の記録文書のユネスコ記憶遺産登録は、日本のNPO法人朝鮮通信使縁地連絡協議会と韓国の釜山文化財団が来年の登録に向け共同提案しているもので、「記録は両国の歴史的経験に裏付けられた平和的・知的遺産であり、恒久的な平和共存関係と異文化尊重を志向する人類共通の課題を解決するものとして、顕著で普遍的な価値を有している」などと登録の意義を強調している。
 記録文書の登録申請リスト百十一件三百三十三点中、日本側資料は四十八件二百九点。登録リストの一部は芳洲の顕彰団体、芳洲会が所有し長浜市が管理している「雨森芳洲関係資料」(重文)と、「雨森芳洲文庫資料」(長浜市指定文化財)など。三十六点が芳洲会所有資料という。
〔写真〕藤井市長と握手する河泰允・総領事

鳥が描かれた曳山や襖絵など 来年の干支「酉」で曳山博企画展

 長浜市元浜町の長浜市曳山博物館で十二日から年末年始恒例の企画展「シリーズ干支『酉(とり)』」が始まった。近年国際的に評価が高まる江戸時代中期の絵師、伊藤若冲(一七一六~一八〇〇)の双鶏図を織物にした曳山まつりの曳山の胴幕(曳山両側面に吊るす飾り幕)や、京都から長浜に移り住んだ絵師、山縣岐鳳(一七七六~一八四七)や、その弟子で、浅井郡下八木村(現長浜市下八木町)出身の絵師、八木奇峰(一八〇四~一八七六)が描いた鶏図など十件を展示する。一月二十九日まで。
 展示品には、長浜の豪商・浅見又蔵が明治天皇の行在所として建てた迎賓館「慶雲館」の襖絵「群鶴図」が初めて館外展示された。同図は明治二十年の館完成当時にはなかったとみられ、作者は不明。狩野派や土佐派の描法と異なることから、地方の絵師が描いたとみられている。同襖は今月二十八日までの展示。また山縣岐鳳の旭鶴図、八木奇峰の「鶏図」は一月四日から同二十九日までの展示となる。
 曳山博のシリーズ干支展は平成二十五年の巳(み)から始まり今回で五度目。「酉」は干支の十番目、方角では西、時刻では午後六時前後、動物では「鶏」を指す。曳山博によると、鶏は飼育鳥として古代から日本人の生活と密接に関係し、各地に吉兆を告げる瑞鳥伝説や、鶏が神の使者とされる伊勢神宮など、鶏を尊ぶ風習があるという。 
 また館内無料展示コーナーでは長浜曳山まつりのユネスコ無形文化遺産登録を記念した特別陳列「山組のシンボル カンバン・扇・提灯」を同時開催中。
 開館は午前九時から午後五時。入館料は六百円。小中学生三百円。長浜、米原両市の小中学生は無料。二十九日から一月三日までは休館。
 展示の一部は次の通り。
 ▽諌皷山胴幕「紫陽花双鶏図」「旭日双鶏図」=若冲の精緻な描法で描かれた雌雄の鶏、アジサイ、岩、太陽、フヨウなど絵を綴(つづれ)織り錦地に、約三百色、合糸色約千色の絹糸、金糸で織り上げた作品。
 ▽慶雲館襖「群鶴図」=明治~大正時代の作品。作者不詳。金砂子を散らしたなかに、タンチョウヅル、マナヅル、ナベヅルなど二十羽が様々な姿態で描かれている。慶雲館完成の明治二十年当時の写真では確認されず、のちに制作、設置されたらしい。
 ▽八木奇峰筆「鶏図」=江戸時代後期、八木奇峰壮年期までの作品とみられる。大きな雄鶏、一回り小さい雌鶏が向き合い、手前にヒナ三羽、背景に朝顔を配して、独特の安定した構図としている。緻密な描写と抑制された彩色が特徴。県立美術館所蔵品。
〔写真〕八木奇峰の「鶏(とり)図」

原発被災者に義援金 月宮殿若衆が6万円

 長浜曳山まつりの山組の一つ、田町組月宮殿の若衆組織「若キ中」(中村豊筆頭)がこのほど、福島第一原発事故で福島県会津若松市の仮設住宅に避難している同県大熊町の避難所自治会に義援金六万円を送った。同自治会に義援金を送るのは平成二十三年九月のシャギリ演奏慰問時と、翌平成二十四年十二月の六万円送付以来、三度目。義援金は昨年の市街地商店街イベント「ハマジャズ」の飲食模擬店出店収益と、今年二月に曳山博物館の「山組マンスリー企画」に伴い館前で行った飲食模擬店の収益の一部。
 同山組では東日本大震災発生の約一カ月後に執行されたまつりの出番山だったことから、祭礼のあり方をめぐり山組内で様々な議論があったという。若衆らが祭礼中に義援金を募り、江州音頭の団体とともにこの年の九月に現地を訪問し、義援金を手渡すとともにシャギリ演奏を披露して交流していた。送付した義援金には「クリスマス会などに役立ててください」などと記した手紙を添えた。