八幡宮の祭神は通常、応神天皇、神功皇后、宗像三女神(または姫大神)であるが、知っている限り、九州の八幡宮、例えば筥崎宮、宇美八幡宮、大分八幡宮、、、は宗像三女神に代わって玉依姫を祭神としている。また、豊玉姫を祭神とする神社もある。
すでに、日本書紀や古事記にある宗像三女神は天照大神の荒御魂であることは論証した。さらに、西暦645年以前の沖ノ島は海人族安曇氏が祭祀していたことも明らかにした。
すなわち、本来は海人族安曇氏は卑弥呼に相当する女神を最高神として沖ノ島祭祀を執り行っていた。ところが646年以降、祭祀権が宗像氏に移されて、記紀で作った宗像三女神を沖ノ島祭祀の神とし、天皇家の最高神を天照大神とした。
しかし祭祀権が移管された事情(645年の乙巳の変)を知っている九州の現地の海人族安曇氏をなだめるために、やはり記紀の中で作った女神、玉依姫や豊玉姫を祭神とさせた。また、玉依姫、豊玉姫そして宗像三女神の名前で祀りたくない第三者の神社の為に比売大神または姫大神、瀬織津姫が作られたと考えられる。
すなわち、卑弥呼、天照大神、宗像三女神、比売大神、姫大神、瀬織津姫、玉依姫、豊玉姫はみな同一の最高神としての女神であった。
現在、天皇家が海人族安曇氏の住む伊勢志摩の伊勢神宮で天照大神の一神を祀り、宗像大社の大宮司が瀬織津姫の一神を私祭するのも、海人族安曇氏の真の力、魚介類蛋白と塩の供給力は絶対に無視出来ないからである。
参考
① 玉依姫(タマヨリヒメ)は海人族安曇氏の神であった。
③ 姫大神は通常、宗像三女神を意味しているが、検討が必要