九州の応神天皇の誕生地について | 日本の歴史と日本人のルーツ

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博多湾の周辺に5社もの応神天皇誕生伝承地がある。そして奇妙なことに、熊襲征伐時の根拠地であった橿日宮(香椎宮)は、これらの5社より北東の湾岸に位置して離れてしまっている。既に熊襲を平らげているとは言え、安心して出産出来るのであろうか?大事な後継の出産を橿日宮でしないことが不自然である。


宇美八幡宮  福岡県糸島市長野
糸島市長野は古代の糸島水道の中の海岸線で、外航船で接岸出来そうである。地理的に候補地として最有力と思える。宮内庁の参考地では無いようだが仲哀天皇の殯斂地と云われていた。ちなみに西方に鎮懐石神社がある。
祭神 
上宮  仲哀天皇
本宮  気比大神、応神天皇、神功皇后、清瀧権現、玉依姫、瓊々杵尊
由緒
上宮 長嶽山(前の山)南方に鎮座(周囲45間)丸型山稜、頂上に石祠がある、祭神は仲哀天皇。当社の縁起によれば、神功皇后の摂政元年(仲哀天皇の死後1年)、武内宿禰に命じ、香椎に在った
先帝のお棺を当山に収めて、築陵したとある。

当地が記紀の云う筑紫国の蚊田の一つである筑前國怡土郡長野村蚊田であり応神天皇の誕生地の候補であるが、通説では「宇美」は粕屋郡の宇美町に比定されており、現宮司は竹内宿禰の子孫で宇美町の宇美八幡宮にも別宅があったと主張している。

比売大神(宗像三女神)を祀っていない。

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宇美八幡宮 福岡県粕屋郡宇美町
古代博多湾(弥生時代)の地図で見ても内陸部で宇美川を遡っていくことになる。
祭神
応神天皇、神功皇后、玉依姫、住吉大神、伊弉諾尊
由緒
社伝「伝子孫書」によれば、神功皇后が三韓征伐からの帰途に応神天皇を産んだ地に、敏達天皇3年(575)に応神天皇を祀ったのに始まる。「宇美」の地名も「産み」に由来するものである。平安時代ごろから石清水八幡宮と本末関係となった。鎌倉時代初期から安産の神として信仰されるようになった。別当寺も宇美山誕生寺と称していた。黒田家が1682年、宇美八幡宮に祭田を寄進した。

旧地名はやはり蚊田で、「産み」に因んで「宇美」(古くは「宇瀰」)と呼ばれるようになったという。

しかし、さらに古くは魏志倭人伝では不彌(ふみ)国と呼ばれていた。住吉大神を祀り、比売大神を祀っていない。また、石清水八幡宮と本末関係にあり、宇佐神宮と本末関係に無い。

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王子八幡宮  福岡県粕屋郡志免町
宇美町の隣、古代博多湾(弥生時代)の地図で見ても内陸部で川を遡っていくことになる。宝満また宝満山という地名のそばにある。字金明から遷宮したが、元宮で王子(ホムタワケ命)が生れたという説がある。ただし、蚊田(カタ)と言う旧地名は無い。


蚊田宮 福岡県三井郡北野町
記紀が云う誕生地名である蚊田(カダ)がある。ここにも宝満宮がある。内陸部で有明海に近い。


若宮八幡宮  福岡県小郡市八坂
由緒記によれば、蚊田(賀汰、カタ)郷と呼ばれ、応神天皇由緒の地である。飛鳥時代の創建。内陸部で有明海に近い。


参考

① 古代博多湾

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⑤ 香椎宮

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橿日宮(香椎宮、福岡市) 
仲哀天皇9年(200年)、仲哀天皇が熊襲征伐のため橿日宮(かしひのみや、古事記では訶志比宮)に滞在した。天皇が急逝したため、神功皇后がその地に祠を建て天皇の神霊を祀った。

八幡総本宮である宇佐神宮は、石清水八幡宮や鶴岡八幡宮も同じく、応神天皇、神功皇后の他、比売大神(宗像三女神)を祀っている。筑紫国は豊国の秦氏の勢力外であるためか、宇美八幡宮は宇佐神宮と関係が無く、比売大神を祀つらずに応神天皇をルーツにする古社を謳っている。ただ、八幡宮を名乗るということは実際には比較的新しい神社であり、古事記の成立時期(712年)、日本書紀の成立時期(720年)、宇佐神宮の創建時期(725年)より後で、記紀の記述に合わせて創建、又は改名したものかもしれない。その為に、あちこちに候補の神社が乱立したのであろう。石清水八幡宮の創建は860年と後になる。

また、日本書紀で応神天皇は筑紫の蚊田でお生まれになったと書いたが、蚊田→カタ→潟の場所は博多湾沿岸部にいくらでも有り字名になり易いから、記紀の著者も作文しやすかったが、乱立の元になった。


⑥ 応神天皇の産湯伝承のある福岡県飯塚市、大分八幡宮の嘘