最近様々な事件や事故が起こりすぎているからか、わずか1ヶ月前の出来事であってもかなり昔のことのように錯覚してしまう。備忘録的に2016年7月~9月までに中東地域で起きた事件、事故のヘッドラインをまとめてみた。いずれも私が利用しているセキュリティ会社から自動配信されているものであり、もちろん中東地域すべての事件、事故を網羅しているものではなく、あくまで主要なものに限られる。(たとえば7/4にサウジアラビアのジェッダ、カティーフ、メディナで起こった小規模なテロは扱われていない)。速報ベースであるため、実際の死傷者数についてはここで記載されているよりも多くなっている点に留意されたい。

以下、ヘッドラインを羅列するだけでそれぞれの事件、事故についての価値判断は一切行わない。この一覧を見て、読者は何を感じ、何を考えるだろうか?なお、全ての情報は日本語で、時事通信から配信されていることを強調しておきたい。つまり、決してここで羅列する情報が日本国内で伝えられていないというわけではないのである。

 

2016年7月

7/3 自爆テロで75人死亡=バグダッド首都

7/3 空爆で43人死亡=シリア首都郊外

7/6 自爆テロで16人死亡=シリア

7/6 自動車爆弾で兵士7人死亡=過激派が基地司令部占拠-イエメン

7/8 シーア派施設襲撃、20人死亡=イラク

7/8 空爆で民間人15人死亡=シリア

7/8 反体制派砲撃で25人死亡=政権側も空爆、停戦無視-シリア

7/13 空爆で民間人31人死亡=シリア

7/16 クーデター失敗=軍反乱部隊が決起、死者100人以上-政府、鎮圧へ全力・トルコ

7/21 非常事態宣言を発令=トルコ大統領

7/22 地下から爆破、38人死亡=反体制派、アレッポで反撃-シリア

7/23 自爆テロ、61人死亡=ISが犯行声明-アフガン首都

7/24 自爆テロで15人死亡=シーア派標的か、ISが犯行声明-イラク首都

7/25 ロケット弾で8人死亡=反体制派が攻撃-シリア首都

7/27 爆発で44人死亡=シリア北東部

7/28 攻撃で市民16人死亡=シリア北部のアレッポ

7/29 IS、民間人24人殺害=シリア

 

2016年8月

8/2 反体制派が砲撃、民間人28人死亡=内戦続くシリア・アレッポ

8/3 着陸後、旅客機から煙=UAE

8/9 首都空爆再開、14人死亡=和平交渉中断-イエメン

8/10 病院火災で新生児12人死亡=電気系統の故障原因か-イラク

8/11 爆弾テロで8人死亡=クルド武装組織の犯行か-トルコ南東部

8/12 IS、2000人拉致か=シリア

8/14 空爆で子供10人死亡=イエメン

8/16 ISが反体制派50人殺害か=シリア

8/16 病院に空爆、11人死亡=イエメン

8/17 2日連続でイランから出撃=シリアのIS拠点空爆-ロシア軍機

8/18 PKKの自動車爆弾爆発、3人死亡=トルコ

8/18 警察前でまた爆発、3人死亡=クルド勢力の犯行か-トルコ

8/18 爆発相次ぎ警官ら10人死亡=クルド勢力の犯行か-トルコ東部

8/19 クルド人居住区に空爆、数十人死亡=シリア

8/21 爆発で8人死亡=トルコ

8/24 首都で大学襲撃=爆発後に銃撃戦か-アフガン

8/25 IS支配シリアの町制圧=作戦開始から14時間-トルコ軍主導

8/26 自動車爆弾で警官8人死亡=クルド勢力の犯行か-トルコ南東部

8/28 トルコ攻勢、市民35人死亡か=クルド勢力と衝突激化も-シリア北部

8/29 自爆攻撃で60人死亡=イエメン

 

2016年9月

9/5 爆発相次ぎ18人死亡=同時テロの恐れ-シリア

9/5 連続自爆テロで24人死亡=タリバン、国防省標的-アフガン

9/11 イドリブ空爆の死者、50人以上=シリア

9/12 自動車爆弾で48人負傷=トルコ東部

9/16 政権側空爆で3人死亡=停戦発効後初の死者-シリア

9/17 空爆で83人死亡か=シリア

9/20 シリア停戦「終了」=空爆で32人死亡、支援車両被弾

9/21 診療所空爆、医師4人死亡=国際医療組織が非難声明-シリア

9/22 空爆で民間人20人死亡=イエメン

9/23 空爆激化で70人死亡=政権、ロシア軍が攻撃-シリア北部

9/27 トルコ南部ホテルにテロ脅威=米領事館

9/27 シリア軍、地上作戦本格化=アレッポ中心部で進撃

9/28 自爆テロで計17人死亡=イラク

 

冒頭でも書いたとおり、7/4にサウジアラビアのジェッダ、カティーフ、メディナで起きたテロは比較的小規模のものであったことから速報では扱われなかった。過去にテロが起きたことのあるジェッダとカティーフはともかく、メッカと並ぶ聖地であるメディナでテロが起きたことは衝撃であった。メディナにはちょうど同僚のサウジ人の実家があり、彼に聞いた話では、現場は彼の叔父さんの家のすぐ近く であり、叔父さんの家にも警察が訪れたとのことである。

 

また、9/25にはヨルダンのアンマン市内でキリスト教徒の漫画家が裁判所の前で狙撃され、死亡している。私はこの日ちょうどヨルダンからサウジに帰るところでクイーン・アリラ空港でチェックインを待っている時にアル・ジャジーラの速報で事件を知った。すぐに事件現場をGoogle Mapで確認したところ、滞在していたホテルから車から5分ほどの場所であった。中東では「テロ」というものが確実に「日常」に浸透してしまっているのが現実である。

 

最後になったが、私のサウジアラビア赴任は終わりを告げ、来週には日本に帰国することになった。今後も日本から中東を考えることを続けてゆきたいと思う。

7月10日に行われた第24回参議院議員通常選挙について様々な記事や分析が出ているのだが、私にとって特に興味深く共感できたのは哲学者で高崎経済大学准教授の國分功一郎さんの「投票権を失って感じたこと」という論考であった。

國分功一郎さんといえば小平市の都道328号線問題をめぐる市民運動とラジオ番組で英国民主主義に関して話しているのを聞いて知った方である。どちらかと言うと政治意識が高い方だと思っていたので、「投票権を失って感じたこと」というタイトルは少し衝撃的であった。論考を読み始めてすぐに國分さんに何が起きたのかを全て悟った。なぜならば私自身も2014年12月の衆議院議員総選挙において全く同じ経験をしたことがあるからである。「投票権を失った」というのは要するに在外選挙人登録が間に合わずに国政選挙において投票できなかったということである。

日本の在外選挙制度は1998年の公職選挙法改正で確立し、2000年から国政選挙においてのみ施行されている比較的新しい制度である。ちなみに地方選挙と最高裁判所裁判官の国民審査については在外投票制度は実施されていない。

在外投票を行うためには、まず在外選挙人登録を行い、在外選挙人登録証を取得しなければならない。居住地を管轄する在外公館(大使館や総領事館)を通じて、日本国内で最後に住民票があった市区町村選挙管理委員会に届出を行い在外選挙人登録を行う。それぞれの市区町村にもよるが、だいたい申請から交付まで3ヶ月程度を要する。実はこの申請から交付に3ヶ月程度を要することで国政選挙に投票できなかった経験を持つ人は少なくないだろう。私の場合も実際の登録から在外選挙人登録証の交付までにやはり3~4ヶ月を要した)。

在外公館から遠隔の地に居住している場合、在外選挙人登録のためにわざわざ管轄在外公館まで赴かなくてはならない。私の場合、居住地から管轄の総領事館までは車で片道2時間ほどを要してしまう。それなりにまとまって日本人が住んでいることもあり、管轄の総領事館職員が我々の在外選挙人登録事務を行うためにわざわざ出張して来てくれた。このあたりの便宜供与と公示日以降の複数回にわたる在外投票の呼びかけから、管轄総領事館が在外投票推進にかなり力を入れていること、そして総領事館職員が日本の議会制民主主義というものを非常に重視しているという姿勢がうかがえた。

投票は在外公館に直接赴いての投票、郵便投票、日本国内での投票のいずれかを選択できる。サウジアラビアは郵便事情にやや難があるので、今回私は直接管轄の総領事館に赴いて投票することとした。投票用紙を日本の各地の選挙管理委員会に送らなければならないため、概ね1週間前には投票は締め切られる。投票期限は各在外公館によって異なるため注意が必要である。投票当日は投票用紙の請求手続から始まり、投票方法の説明、投票用紙交付、投票記載、外封筒記載、選挙事務従事者による外封筒記載事項確認、立会人署名、投票用紙入り封筒の提出となり、実に煩雑で投票終了までに15~20分ほどかかったと思う。ただ、公正さを保つためにはこの煩雑さはやむを得ない。いわゆる「民主主義のコスト」というやつである。

投票の際の注意点は候補者指名と政党名リストのファイルはあるが、選挙公報の類は一切置いていないので、事前に調べておかなければならないことである。今はインターネットでいくらでも調べることが可能だけど、インターネット普及以前であれば在外選挙などほぼ不可能であっただろうと思った。実際、在外投票制度が導入されたのは1998年であり、インターネット普及とほぼ時を同じくしていると考えてよいだろう。ちなみに今回私はインターネット配信されているラジオ番組や、各候補者のウェブサイトなどで実績や公約を調べて投票先を決めた。

いざ投票を終えてみると、現地に赴任している人員数と比較して実際に投票を行っている人数が極端に少ないことに気づいた。今回の投票にあたっては会社側もバスを手配するという便宜を図ったが、調べてみたところ実際に投票したのは日本人赴任者の2%ほどであった。この2%という数値は、後に触れる在外邦人の投票率とほぼ同程度のものである。

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在外選挙人登録から実際の在外投票にいたるまでとにかく煩雑なものであったことから、この制度を利用して在外投票を行っている在外邦人がどれだけいるのだろうかと気になり、自分なりに調べてみることにした。おそらく國分功一郎さんやかつての私のように、投票したいのに投票できなかった人もいるだろうし、そもそも投票の意思を持っていない人もいるはずである。

7月11日に外務省が報道発表を行った「第24回参議院議員通常選挙に伴う在外投票(速報:投票者数)」によると、そもそも在外選挙人登録を行っている人が105,194人で、そのうち投票を行ったのが比例区で23,611人、選挙区で23,360人であり、在外選挙人登録を行っている日本人の投票率はわずか比例区で22.45%、選挙区で22.21%であり、これは非常に低い投票率ということになる。だが、この統計を考える上で重要なのは、この投票率が「在外選挙人登録を行っている日本人」に限定されており、「在外在留邦人の投票率」を表していないということである。

外務省が公表している「海外在留邦人数調査統計(2016年版)」によると、2015年10月1日現在の在外在留邦人数は1,317,078人であり、このうち選挙権を有するのは少なくとも1,019,756人である。(統計のくくりが20歳未満でひと括りにされているため、今回選挙権が認められた18歳~19歳の在留邦人数を数えることができない点に留意されたい)。

20代以上の在留邦人数に基づいて便宜的に在外選挙人登録率を算出するとわずか10.3%である。さらに比例区の投票率を算出するとわずか2.3%という絶望的な数値となっている。(偶然にも私の勤務先の投票率がほぼ同程度であった)。海外在留邦人の実に91万人以上がそもそも在外選挙人登録を行っておらず、100万人近くが選挙権を事実上放棄していることになる。選挙権を行使するかしないかは究極的には個人の自由ではあるが、できるだけ多くの在外邦人に在外選挙人登録制度を知っていただき、自らの選挙権を見つめ直してほしいと思った。

また、在外選挙人登録制度の登録者自体が少ないことは、その手続が煩雑で長期間を要することによる点もあるだろう。在留登録と同じように簡単にインターネット上で登録できるようにならなければ、そもそも投票者の母数となる登録者数自体増えることはないだろう。また、投票についても居住地や郵便事情を考慮すると在外公館に赴いたり郵便投票では気軽に投票するということが不可能である。情報通信技術が高度に発展していることを考えると、電子投票という制度を早期に導入してはどうかと考える。

この手続が煩雑で時間のかかる選挙を行って、一つだけ得たものがある。それは「選挙権」というものが決して「自動的」に与えられるものではないということである。もちろん煩雑な手続と時間がかかる選挙というものは「非効率的」に思えるし、それゆえに在外選挙人登録率も投票率も高くはならないものと理解している。ところが、自分が「選挙権」を正当に行使するためにはそれだけの手間隙とコストがかかり、それでも「権利」としてきちんと保障されているということを確認できるよい機会であったと思うのである。
最近様々な事件や事故が起こりすぎているからか、わずか1ヶ月前の出来事であってもかなり昔のことのように錯覚してしまう。備忘録的に2016年1月~6月までに中東地域で起きた事件、事故のヘッドラインをまとめてみた。いずれも私が利用しているセキュリティ会社から自動配信されているものであり、もちろん中東地域すべての事件、事故を網羅しているものではなく、あくまで主要なものに限られる。速報ベースであるため、実際の死傷者数についてはここで記載されているよりも多くなっている点に留意されたい。

以下、ヘッドラインを羅列するだけでそれぞれの事件、事故についての価値判断は一切行わない。この一覧を見て、読者は何を感じ、何を考えるだろうか?なお、全ての情報は日本語で、時事通信から配信されていることを強調しておきたい。つまり、決してここで羅列する情報が日本国内で伝えられていないというわけではないのである。

1月

1/2 自動車爆弾テロで2人死亡=タリバンが犯行声明-アフガン
1/2 銃乱射、2人死亡=イスラエル
1/3 群衆、サウジ大使館襲う=シーア派指導者処刑に反発-イラン
1/3 ISが基地襲撃、12人死亡=イラク
1/10 ロシア空爆、57人死亡=ヌスラ戦線拘束施設破壊-シリア
1/10 医療施設にロケット、3人死亡=国境なき医師団運営-イエメン
1/11 学校に空爆、生徒12人死亡=シリア
1/12 首都などで自爆テロ、51人死亡=ISが犯行声明-イラク
1/12 トルコ最大都市で爆発
1/17 爆弾テロ、13人死亡=アフガン
1/21 TV局バスに自爆テロ、7人死亡=アフガン
1/26 自爆テロで23人死亡=シリア反体制派の戦闘員ら
1/26 警官が同僚10人射殺=タリバンの協力者-アフガン
1/29 自爆テロ、4人死亡=サウジ
1/30 難民船沈没、33人死亡=トルコ
1/31 モスク付近で爆発、45人死亡=シーア派巡礼地-シリア

2月

2/1 自爆テロで10人死亡=アフガン
2/6 ホテル火災で19人死亡=イラク・クルド地区
2/8 難民船転覆、33人死亡=トルコ
2/15 国境なき医師団の病院空爆=「狙って攻撃」か-シリア
2/18 首都中枢で爆発、28人死亡=軍のバス標的、テロか-トルコ
2/21 連続テロで46人死亡=シリア中部ホムス
2/21 連続爆発で30人死亡=シリア首都
2/27 相次ぐ自爆テロ、22人死亡=和平協議目前に-アフガン
2/27 空爆で住民ら30人死亡=イエメン
2/28 北部で空爆の情報=シリア停戦、2日目
2/28 シリア反体制派砲撃、住民死亡か=停戦初日でロシア国防省
2/28 爆弾テロで22人死亡=ISが犯行声明-イラク

3月

3/1 自爆相次ぎ48人死亡=ISテロ、イラクで連日
3/2 武装集団と衝突、死者多数=対シリア国境近くで-ヨルダン
3/3 自動車爆弾で18人死亡=反体制派幹部ら狙う-シリア南部
3/6 自爆テロで47人死亡=イラク
3/9 パレスチナ人が米観光客刺殺=商都で襲撃事件-イスラエル
3/9 IS幹部空爆、殺害か=ジョージア出身の軍事司令官
3/12 衝突で57人死亡=イエメン
3/12 3歳少女死亡か=ISの化学兵器で-イラク
3/13 首都中心部で爆発、27人死亡=トルコ
3/16 空爆で民間人41人死亡=イエメン
3/18 「日本政府は交渉入りを」=安田さん拘束、仲介男性要求
3/19 旅客機が着陸失敗、55人死亡か=ロシア
3/19 イスタンブールで爆発、2人死亡
3/19 空爆で民間人39人死亡=シリア北部のIS拠点
3/23 イエメンで空爆、数十人殺害=米軍
3/23 IS関係者13人拘束=相次ぐテロで警戒強化-トルコ
3/23 IS参加図った日本人拘束=トルコ当局
3/26 IS自爆テロ、52人死亡=中東で相次ぐ流血
3/29 エジプト航空機ハイジャック=62人乗り、キプロス着陸

4月

4/1 自動車爆弾で警官7人死亡=クルド勢力の犯行か-トルコ南東部
4/2 遺跡都市に集団埋葬地=42人、ISが殺害-シリア
4/7 ISが250人拉致か=シリア首都郊外
4/9 アルカイダが兵士20人殺害=イエメン
4/10 アフガン北東部でM6.6
4/14 4日間で110人超死亡=シリア北部
4/14 イエメンで戦闘続く=停戦発効後も死者
4/16 石油化学工場で火災、12人死亡=サウジ
4/17 民間人11人が死亡=停戦後最大の犠牲-シリア
4/19 バス爆発で21人負傷=テロか、衝突激化の恐れ-エルサレム
4/19 首都爆発7人死亡、300人超負傷=情報機関周辺で銃撃も-アフガン
4/19 空爆で民間人ら44人死亡=シリア
4/22 空爆で民間人18人死亡=シリア
4/23 民間人27人死亡=停戦形骸化進む-シリア
4/24 攻撃応酬、民間人14人死亡=「事実上の停戦崩壊」と監視団-シリア北部
4/28 政権が病院攻撃、14人死亡=シリア
4/28 古都で自爆テロ、13人負傷=20代女の犯行か-トルコ
4/30 自爆テロで23人死亡=シーア派標的、ISが声明-イラク

5月

5/1 トルコで戦闘、兵士3人死亡=PKK掃討中、交戦か
5/1 警察狙い自動車爆弾、2人死亡=トルコ
5/1 ISテロ、33人死亡=イラク南部サマワ
5/2 また自動車爆弾、兵士死亡=トルコ
5/2 シーア派狙いテロ、14人死亡=イラク
5/3 病院砲撃で3人死亡=反体制派が実行-シリア・アレッポ
5/6 避難民に空爆、28人死亡=アサド政権攻撃か-シリア
5/6 交戦で73人死亡=イスラム過激派、要衝制圧-シリア
5/11 自動車爆弾で3人死亡=PKK関与か-トルコ南東部
5/11 車爆弾で50人死亡=首都のシーア派居住区-イラク
5/12 IS攻撃で5人死亡=イラク首都西方
5/14 ISが店襲撃、16人死亡=サッカーファン集う-イラク
5/14 ISが病院襲撃、警備の20人殺害=シリア
5/15 ガス工場で自爆、11人死亡=IS、犯行認める-イラク
5/15 IS自爆で25人死亡=イエメン
5/17 自爆テロなどで44人死亡=IS関与か-イラク首都
5/17 交戦で52人死亡=反体制派系が内紛-シリア
5/18 空爆で一家13人死亡=シリア
5/21 政治混乱収拾めど立たず=デモ隊4人死亡、テロ拡大に懸念-イラク
5/23 爆発相次ぎ46人死亡=シリア
5/23 軍狙い自爆、41人死亡=ISが犯行声明-イエメン
5/28 IS部隊に空爆150回=「首都」攻略戦-シリア
5/30 イエメンで戦闘、48人死亡
5/31 タリバンがバス襲撃、16人死亡=30人以上拉致-アフガン

6月

6/3 政権側の攻撃で31人死亡=民間人のバス被弾-シリア
6/4 政権部隊がラッカ県進攻=クルド民兵とIS挟撃も-シリア
6/6 空爆で民間人17人死亡=シリア
6/7 爆弾テロで11人死亡=トルコ
6/8 警察本部前で爆発、3人死亡=首相「PKKの犯行」-トルコ南東部
6/8 空爆で民間人15人死亡=シリア
6/9 商業施設で銃撃、4人死亡=パレスチナ人2人が乱射-イスラエル
6/9 テロ相次ぎ22人死亡=ISが犯行声明-イラク
6/11 首都近郊でテロ、12人死亡=シリア
6/15 交戦で70人死亡=シリア北部
6/20 自爆テロで14人死亡=アフガン首都
6/21 自動車爆弾で兵士6人死亡=シリア国境の難民キャンプ付近-ヨルダン
6/22 民間人25人死亡=IS「首都」への空爆で-シリア
6/25 空爆で47人死亡=シリア東部
6/28 IS爆弾で42人死亡=イエメン
6/28 自爆テロで9人死亡=イラク
6/28 イスタンブールの空港で爆発、10人死亡=自爆テロか-トルコ
6/30 首都で爆弾テロ、27人死亡=タリバンが犯行声明-アフガン
最近の中東情勢の情報整理をしていたので、その一端を紹介しよう。以下は5月1日以降、本日6月9日までに私が受け取ったリスク管理情報の一覧である。ヘッドラインだけをコピー&ペーストした単純なものである。私は現在サウジアラビアに赴任しているため、主にサウジアラビアや近隣の湾岸諸国の情報でなければ深く掘り下げられない。あまりにも多くの事件が起きるため、湾岸諸国以外まで拡大してしまうととてもではないけど全てを詳細に分析することなどできないのである。

5/1 トルコで戦闘、兵士3人死亡=PKK掃討中、交戦か
5/1 警察狙い自動車爆弾、2人死亡=トルコ
5/1 ISテロ、33人死亡=イラク南部サマワ
5/2 また自動車爆弾、兵士死亡=トルコ
5/2 シーア派狙いテロ、14人死亡=イラク
5/3 病院砲撃で3人死亡=反体制派が実行-シリア・アレッポ
5/6 避難民に空爆、28人死亡=アサド政権攻撃か-シリア
5/6 交戦で73人死亡=イスラム過激派、要衝制圧-シリア
5/11 自動車爆弾で3人死亡=PKK関与か-トルコ南東部
5/11 車爆弾で50人死亡=首都のシーア派居住区-イラク
5/12 IS攻撃で5人死亡=イラク首都西方
5/14 ISが店襲撃、16人死亡=サッカーファン集う-イラク
5/14 ISが病院襲撃、警備の20人殺害=シリア
5/15 ガス工場で自爆、11人死亡=IS、犯行認める-イラク
5/15 IS自爆で25人死亡=イエメン
5/17 自爆テロなどで44人死亡=IS関与か-イラク首都
5/17 交戦で52人死亡=反体制派系が内紛-シリア
5/18 空爆で一家13人死亡=シリア
5/21 政治混乱収拾めど立たず=デモ隊4人死亡、テロ拡大に懸念-イラク
5/23 爆発相次ぎ46人死亡=シリア
5/23 軍狙い自爆、41人死亡=ISが犯行声明-イエメン
5/28 IS部隊に空爆150回=「首都」攻略戦-シリア
5/30 イエメンで戦闘、48人死亡
5/31 タリバンがバス襲撃、16人死亡=30人以上拉致-アフガン
6/3 政権側の攻撃で31人死亡=民間人のバス被弾-シリア
6/4 政権部隊がラッカ県進攻=クルド民兵とIS挟撃も-シリア
6/6 空爆で民間人17人死亡=シリア
6/7 爆弾テロで11人死亡=トルコ
6/8 警察本部前で爆発、3人死亡=首相「PKKの犯行」-トルコ南東部
6/8 空爆で民間人15人死亡=シリア
6/9 商業施設で銃撃、4人死亡=パレスチナ人2人が乱射-イスラエル

おそらく上記のリストを見た人の多くはこう思うだろう、「日本では伝えられていないが、これが中東の現実だ」と。それははっきり言ってしまうと間違っている。上記のリストの情報源のほとんどは日本の時事通信社によるものであり、時事通信のニュースサイトを見ればきちんと掲載されている。中東の現実は、少なくとも時事通信という大手メディアが日本において日本語できちんと発信をしている。また、AFP通信やBBCといった海外メディアの日本語版でもきちんと発信されている。

つまり、正確を期するのであれば、多くの日本人は中東情勢に関心がないだけである。もし中東情勢を知りたいというのであれば、まずは時事通信やAFP、BBCなどの日本語サイトでもよいから目を通してみることだ。それらに目を通すだけで、少しくらいは「中東で何が起きているか?」を知ることができるはずだ。
昨年5月に「宗教ビザ・商用ビザ編」「就労ビザ編」について執筆していたのだが、「家族帯同ビザ編」を書いていなかったので書いておきたい。なお、以下に書く情報は2015年12月現在のものであり、予告なく申請方法が変更されることがあるという点をご留意いただきたい。最新の情報については駐日サウジアラビア王国大使館にお問い合わせいただきたい。

サウジアラビアに家族が帯同するためには、配偶者が就労ビザを取得し、居住許可証(旧称イカマ、2015年10月に「ムキーム」に改称された)を取得していなければならない。赴任者の場合、スポンサーは現地企業ということになるが、帯同者の場合は赴任者(世帯主と言い換えてもよい)がスポンサーとなる。まずは赴任者本人が居住許可証をとる必要があるため、赴任者本人と同じタイミングでサウジに入国できるわけではない。赴任者本人の居住許可証の取得には早くても入国から2週間、通常は入国から1ヶ月程度を要する。赴任者本人の居住許可証の発行がなされた後、家族帯同ビザの取得には日本側の手続とサウジ側の手続を合わせて通常3~4ヶ月を要する。

赴任者が居住許可証を取得後、帯同者は戸籍抄本(日本以外の国の場合は婚姻証明書)、健康診断書、犯罪経歴証明書(無犯罪証明書)、スポンサーとなる赴任者の最終学歴の卒業証明書を準備する。戸籍抄本については英文で発行されていないため、英文翻訳を取得した後、公証役場において公証人の認証を行う。その後、取得済み書類を日本の外務省領事局に提出して認証を得る。日本側の手続を終えるまでに概ね1~1.5ヶ月程度を要する。

以上の書類のうち、戸籍抄本と卒業証明書をサウジの現地担当者に送付し、日本大使館・総領事館に提出し、アラビア語翻訳を入手する。その間に赴任者はサウジ内務省のオンラインシステムの初期登録を行い、その後内務省のオフィスなどに設置されている指紋認証システムに指紋を登録、手数料の2,000SAR(約64,000円)を現地所属企業を通じて支払う。

アラビア語翻訳を入手後、エンジニアは内務省のオンラインシステムにて申請書を入手し必要項目を記載し、商工会議所の公印を得た後、内務省に申請を行う。概ね2~3日で内務省の認証が完了し、その後2~3日で外務省の認証が完了する。

非エンジニアの場合は、オンラインシステムでの申請ができないため、大都市の内務省オフィスに持ち込み、直接内務省の担当者に認証を行ってもらわなければならない。通常はオンラインシステムでアポイントメントを取らなけばならないのだが、このアポイントメントを取るのが非常に難しい。私はこれまでに数名の非エンジニアの帯同ビザ取得に携わったが、いずれもオンラインシステムでのアポイントメントを取ることができなかったため、内務省担当者とコネクションのあるサウジ人従業員の協力を得て内務省認証を得たが、結局認証を得るために1ヶ月程度を要した。サウジでの手続が全て終わるまでに1~1.5ヶ月程度を要する。

サウジ側の内務省と外務省の認証を得た後、認証完了済みの書類と戸籍抄本、健康診断書、卒業証明書、所属企業からのサポートレターを添えて駐日サウジアラビア王国大使館の認証を得る必要がある。サウジ大使館の認証が完了後、ビザセンターに申請を行うことができる。特に問題がなければ、申請から概ね1週間程度で家族帯同ビザが発給される。再度日本で行う手続には概ね1ヶ月程度を要する。

さて、めでたく(?)家族帯同ビザが発行され、サウジアラビアに入国できたとしても、就労ビザ同様家族帯同ビザの有効期限は90日以内であるため、居住許可証を取るための手続きに入る。サウジに到着し、まずは空港で指紋登録と入国管理番号の取得を行う。よくあるトラブルとしては、入国時に入国管理官が入国管理番号を記載するのを忘れたり、書き間違いをしたりするものである。入国管理番号がなかったり、間違っていたりするとその後の全ての手続を行えなくなる。

空港を出た後は、病院にて血液検査とレントゲン検査、検便・検尿の提出を行い、医師の問診を受ける。この検査で特に異常が見られない場合は、その後の手続を行うことができる。この検査で異常が見つかった場合(主に感染症など)、居住許可証申請の手続を行うことはできず、出国のためのビザを取得して、家族帯同ビザビザ期限内にサウジ国外に退去しなくてはならない。

居住許可証取得のための健康診断を無事終えると、社会保険と医療保険の手続を行う。居住許可証を取得する場合は必ずスポンサーが社会保険と医療保険を提供することが原則となっている。ちなみに医療保険に登録された場合、医療費の実費負担は無料である。以上の手続を終えて初めて居住許可証の申請を行うことができる。サウジ入国から居住許可証申請までに要する期間は早ければ入国から1~2週間、通常は1ヶ月程度である。

なお、「就労ビザ編」でもふれた通り、居住許可証を取得している人間は別途取得するExit Re-entry Visaというビザがなければ、たとえ居住許可証を持っていても自由に出入国をすることができない。Exit Re-entry Visaは1回使いきりのSingleタイプと、複数回出入国ができるMultipleタイプの2種類がある。Singleタイプは取得から3か月以内に行使をしなければならない。行使しない場合はキャンセル手続を取らねばならず、キャンセルを行わなかった場合は罰金が発生する。Multipleタイプは3か月以内に初回出国を行い、初回出国日から180日間有効となる。こちらも取得から3か月以内に出国を行わなければ、キャンセル手続を行わなければならない。

居住許可証で最終出国を行う場合は、Final Exit Visaと呼ばれるビザが必要となる。サウジアラビア国内で犯罪履歴があったり、交通違反の罰金を支払っていなかったりという場合はFinal Exit Visaが発行されることはない。

以上、3回にわたってサウジアラビアの各種ビザを見てきたが、いずれのビザを取得するにしても様々な手続が必要であり、時間もコストもかかる。一言で言ってしまうと「非常に面倒くさい国」なのである。ただ、この面倒臭さが様々なドラマを生むというのもまた事実である。