あらすじを含みますので、未読の方はご注意を。

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他話の感想も書いてます。

「どうしよう。俺一人でどうすれば‥」
閉まった地下への入口の前に座り込むユン。もう泣いているが、何かに気づく。
「‥あれ。よく見るとこの石像、斬られた首に何か‥、仕掛け‥?」
分断された胴体と首の断面にそれぞれあみだくじのような模様が‥。
「もしかして、このからくりが壊れて、入口が勝手に閉じたのかな。そういえば向こうでも何か音がした‥。気のせいかもしれないけど」
何かを決意したように力強く涙を拭く。
「しっかりしろ、天才美少年!」
暗い森の奥へ進んでいくユンの後姿。

☆☆☆
暗闇で静かに目を開けるヨナ。
「ここは‥」
「ヨナ」
振り向くとシンアが‥。いつもの表情だけど、取り憑かれていたのでは?
「シンア!よかった、探してたのよ」
「ヨナ‥」
これはヨナの夢の中?
「俺のところに来ないで。危ないから」
「シンア‥?」
「強い恨みを持つ魂達がみんなを狙ってる。今、俺は身体を制御できない。ゼノに‥ちからを‥使ってしまった」
「シンア‥」
うつむくシンア。
「一体何がシンアを動けなくしてるの?」
「昔の‥青龍‥」
「昔の青龍?」
「その人の心が伝わって来た。ここには大昔、青龍の里があって、ある日突然賊に襲われたんだ‥」
背景に襲われる青龍の里の人々。
「里人はまだ赤子だった青龍を連れ出し、賊達をこの地下に閉じ込めた。先代青龍を囮にして」
「‥」
言葉がない様子のヨナ。
「その先代は賊と戦って負傷し、二度とここから出られなかった。それが今、俺の身体にいる人」
「その人のことを話してくれたのは、その人の境遇にシンアが心を砕いているから?」
静かに問うヨナ。シンアは答えない。
「シンア、道を開けて。私を眠らせているのはシンアでしょう?」
「駄目だ‥」
「迎えに行くわ。何度でも」
ヨナの言葉がシンアの心に響く。
「大丈夫、シンアが何をしても私やみんなの心は揺るがない」
ヨナはシンア首に手をまわし抱き寄せる。
「一緒に帰ろ、シンア」

☆☆☆
再び目覚めるヨナ。肩には眠ってるアオ。

ー真っ暗‥。また夢のなか?いや違う。これは‥

「ハク‥、ハク⁉︎」
ヨナがキョロキョロするので目覚めたようすのアオ。
「どこ‥」
ヨナの手にハクの手が触れる。
「ハク‥⁉︎」
「姫さん‥気がついたんですね‥」
「ハク‥何も見えない」
「すみません‥」
ヨナの手を少しだけ握るハク。あまり力が入ってなさそう。
「松明が消えて、道がわかんなくなったんで‥どーしたもんかと‥」
「ハク‥」
ハクの様子がおかしいことに気づくヨナ。
「どこか痛いの?声が‥苦しそう」
「え‥?別になんともないで‥」
「うそ」
ハクの頬を両手で挟み、鼻がくっつきそうな程、顔を近づけるヨナ。
「うそ。顔が見えなくてもハクの様子ぐらいわかるわ。シンアが強い恨みを持つ魂が私達を狙ってるって言ってた」
「はあ‥?何すかそれ‥。ちょっと体が重いだけですよ‥」
やっぱり具合の悪そうなハク。
ヨナはハクの頭を自分の胸元に抱き寄せる。
「ハクは渡さない。幽霊だろうが何だろうが。絶対に」
ヨナの腕の中で驚き目を見開くハク。
「‥‥‥え?夢」
「しっかりして、ハクwwwっ」
「や、自分に都合のいい夢みてんのかなって。それとももうすぐしぬ?」
「起きて~~っ」ぺしぺしぺし
「動いて平気?」
「なんかすっげー体重いんだけど」
ふらつきながらも立ち上がる。
「こんな時に顔が見れねェって腹が立って、生きる力湧いてきたわ」
「その調子よ。ハク」
しかし数体の霊に取り憑かれてかけてるハク。
「さて、真っ暗だがどっちへ‥」
「ぷきゅ」
ヨナの肩から飛び降り先導するアオ。
「アオにはシンアの匂いがわかるみたい」
「きゅー」
「白蛇より優秀だな」

ーシンア、必ず行くから一緒に帰ろう


☆☆☆
キジャ「近いぞ。ゼノとシンアの気配だ」
ジェハ「う‥ん‥」
(淀んだ空気‥。何だここは)
キジャの一歩後ろで苦しそうなジェハ。
(痛い‥。身体中が削ぎ取られるようだ。まるで、見えない獣に弄ばれる生贄だ)
ガタッ
「ジェハ⁉︎」
とうとう倒れてしまったジェハ。
「ジェハ!おいっ」

☆☆☆
ジェハとキジャの気配に気づくゼノと昔の青龍。
「そこまできているな。もっとも緑龍は限界のようだが」
気配を探る青龍はゼノに背を向けている。
歌い出すゼノ。

おしあい、へしあい、泣いたら、ダメよッ!(どーん!)

縄に縛られたまま青龍の背中に体当たりする。ゼノは不意をつかれ、うつ伏せに倒れた青龍の背中に座ってしまう。
「ちょっくらごめんだからっ」
ゼノはシンアの剣を抜き払い、青龍が体勢を立て直すまでに縄を切ってしまった。
「さーて、自由になった」
「どうする?その刀で俺を斬るか?」
「んなことしないから」
「だろうな。こいつを傷つける」
「それもあるけど、ゼノ以外の龍はみーんなアビやシュテンやグエンの子供みたいなもんだから、俺はお前らが可愛くて仕方ねェのさ」
ゼノは剣を肩に担ぎ、優しげな表情。ゼノ、美しい‥。
「よいせっ」
剣を振り上げるゼノ。
ビシャ
「な‥」
驚愕する青龍。ゼノは剣で自分の右腕を斬ったのだ。ちがボタボタ流れ落ちる。
「緑龍もヤバイし、この部屋のろうそくも残り少ないし、ちょっとお見苦しいけど」
グチュグチュと音を立てて再生していくゼノの右腕。
「強行突破でいくから」
再生したゼノの右腕にはウロコが‥。
驚き目を見開く青龍。右腕を振りかぶるゼノ。
「でやあ」

ドゴツ

キジャの背後で壁が崩れる音がした。ゼノが再生した右腕で壁に穴を開けたのだ。
「ゼノ!」
「白龍~。こっちこっち」
「緑龍、生きてるかー?」
「うーん、まあなんとかねー」
まだ起き上がれないジェハ。
「黄龍、お前の能力は一体‥」
ゼノの後を追って壁に空いた穴から出てきた青龍はジェハを背に守って立ちはだかるキジャに気づく。
「はくりゅ‥」
キジャの龍の手が青龍の顔を握り潰す直前で静止している。
「私の弟を返せ」
「弟?四龍同士で兄弟ごっこだと?笑わせる」
「取り憑きたくば私に憑くがよい」
迷いのない目で青龍を見据えるキジャ。
「構わぬ。全て背負ってやる」
顔を掴む龍の指の間からキジャを見返す青龍。
「お前は駄目だ。先代白龍の加護が強すぎる」
青龍が剣を振り下ろし、青龍の顔からキジャの手が離れる。
「ぷきゅきゅー」
「何だ、うるさいリスだな」
身体に登ってきたアオを振り払う。
「邪魔だ!」

「シンア」

青龍の前にあらわれたヨナ。
衝撃を受けている様子の青龍。
「姫様、このような所に‥」
「キジャごめんね、遅くなって。はい、ユンのおにぎり」
「あ、これはどうも‥。っておにぎり?」
キジャにおにぎりを渡し、青龍に視線を戻すヨナ。びくっとする青龍。

ドクン

龍の目に衝撃を感じている様子の青龍。
「どうしたの?」
青龍の目からは涙が流れ落ちている。
「わからない。お前は‥何者だ‥?」
「ただの人間よ。あなたが能力を使っても、取り憑いても、抗うすべはない程には」
「なぜだ。足が震える。涙が止まらない。恐れ多くて、これ以上近づけない」
真っ直ぐに立ってられなくなった青龍を抱き寄せるヨナ。
「シンアから聞いたわ。もっと聞かせて、あなたのこと」

ゆっくり語り出す青龍。
「‥‥恐ろしかった‥‥
幼い頃から忌み嫌われ、戦闘に不慣れな俺を囮にし、朽ち果てるまで暗闇に閉じ込められ、すべてを呪わずにいられなかった」
背景には仮面を手に涙を流す、生きていた頃の青龍。
「俺の味方はここに残された魂達だけだった」
「うん。だからシンアもあなたに少しの間、体を譲った。ゼノ達に乱暴したのはとても心を痛めていたけど」

ゼノとキジャはふたりの会話を見守っている。

「わざと譲ったと?」
「シンアは優しい人よ。とても優しい人なの。

青龍、シンアが許すならそこに居てもいいわ。でも気持ちが落ちついたら、その体、シンアに返してね。

シンアもようやく暗闇から太陽の下に出られた人だから」

ヨナの言葉に心を動かされた様子の青龍。

「‥‥もういい。わかっていた。どれだけ足掻いても、俺の時は戻らない。

なぜだろう。お前が来るのを待っていたような気がするのは」

ゼノとキジャも青龍の気持ちがよく分かる。自分もずっと待っていたのだ。

「‥‥ヨナ」

はっとするヨナ。

「シンア?」
「ただ‥いま‥」

キジャ「おおシンア!戻ったか」
ハク「ん‥なんか体、軽くなったな」
ジェハ「僕も」
ゼノ「やー、年寄りには骨の折れる仕事だったから」

シンア「みんな、ごめん」
キジャ「気にするな。そなたが無事で何よりだ」

はっとして目を隠すシンア。仮面を探している様子。

ハク「面なら外にあったぞ」
ヨナ「まだ‥必要?」
シンア「‥ううん。でもあれは、形見だ。付けてると安心する」
ヨナ「‥そう」

ヨナ「じゃ、帰りましょう」
ハク「入口、閉まってんぞ」
ジェハ「うわあ」
キジャ「私に任せよ」

ゼノ「わー。ロウソク消えたから」
ハク「松明も、もう駄目だ」
ジェハ「いよいよ、これはみんな仲良くガイコツ?」
ヨナ「困ったわねー」

シンア「大丈夫。俺、見える。捕まって」

シンアにくっつくヨナ、キジャ、ゼノ。
ヨナにくっつくジェハ。
そんなジェハの耳をひっぱるハク。
シンア「あ、いや、一列に‥」

ヨナ「シンア、頼りになる」
アオ「ぷきゅー」
シンア「あ、ここ上、ぶつかる。よけて」
キジャ「うむ。ぐあッ」
ジェハ「キジャ君、本当君はそそっかし‥あだッ」
ゼノ「ふはっ。バカだな二人共。あいてッ」
ハク「お前ら、飽きねーわ」

うおおおああい

ヨナ「え?何?」
ゼノ「変な声、聞こえたから」
ジェハ「まさかまた亡霊?」

うおああおあい

ハク「こっちに来るぞ」

「いたーっ、バカ珍獣共、遅いんだよ、バカっ、世話かけさせんなよ、バカっ、もっ、めんどくさっ」

暴言の限りを尽くしながらあらわれたユン。めちゃくちゃ泣いてる。

ヨナ「ユン、どうやってここに?」
ユン「遠くから音が聞こえたから調べてみたら、別の入口見つけたのっ」
ユン「遠いし、独りだし、持ってきたおにぎり冷めちゃうし‼︎」
みんな「お母様‥っ」
ユン「産んだ覚えないよ‼︎」

ヨナ「ユンごめんね」
キジャ「すまぬユン。おにぎりは有難く頂くぞ」
ハク「ユン、別の入口はどこだ」
ユン「こっち」

シンアは地面の頭蓋骨に気付く。拾い上げ額と額を合わせつぶやく。
「おやすみなさい」

シンアを呼ぶ仲間の声。

後に残されたのは仮面を傍らに置いた頭蓋骨‥。


☆☆☆感想‥
シンアに取り憑いた昔の青龍との決着はついたけど、ますます青龍の里の人たちが嫌いになりました‥。これで良かったのかしら。

ゼノ、早速出してきましたね!ヨナの前ではあまり使えないだろうなと思うけど。きっと嫌がるから。

不死身キャラとしては『七つの大罪』のバンがいるけど、あのひとは痛くないらしい。ゼノは普通に痛いからつらい‥。

キジャは強メンタルぶりを発揮しましたね。ゼノの言った通りです。ちょっとカッコ良かった‥。

今回はお兄さんたちふたりがちょい情けなかったですね。前編はネタバレ読んだだけで、詳しくわかんないんだけど、中、後編はいいとこなし‥。次回に期待!

次回といえば、次回からは本筋に戻るのでしょうか。剣と盾探し?以前はハクが剣で、ゼノが盾かななんて思ったりもしましたが、ヨナは仲間を盾になんかしないですよね‥。漫画の第1話でヨナが持っている剣、あれがそうなのかな?アニメでは持っていませんよ。剣と盾のイベントはまだ先かな?

箸休め編が続くとしたら、ぜひ風牙の都に行ってほしいな‥。みんなに会いたいし、四龍たちも紹介したいじゃないですか。どうせスウォンたちにはバレちゃってるんだから、風牙の都に行くぐらいどってことないでしょ。

あとはテジュンのその後が見たいな~。彩火城を抜け出して、村のお手伝いやってたりしたら嬉しいな。


次回は7月18日発売とのこと