団塊Jrのプロレスファン列伝 -4ページ目

至極の黙示録~東京女子プロレス観戦 その3~

その2からの続きです。

 

ということで、ここからは特典会へ突入です。

 

その1でも書きましたが、特典会は試合が早く終わった順から各レスラーが特典会場に立ち、そこにファンが並び行われていく流れなんだそうです。間もなく最初に特典会を行う選手名がアナウンスされ、並ぶように指示が入りました。

 

ボクが並ぶのはKazuさんの推しである角田奈穂選手です。どんなレスラーなのか、ちょっとご紹介しましょう。

 

角田奈穂こと奈穂さん(と呼ばれるのがご本人いいそうです)は1987年3月20日、千葉県は、あのMi-Keの名曲"想い出の九十九里浜"も程近い東金市出身。出身中学校、高校は不明ですが最終学歴は専門学校のようで、なんと最初の職業は公務員で保育士さん。先生をやっていたということなんですね。

 

取得資格は保育士、幼稚園教諭2種免許、社会福祉主事任用資格、英検準2級、レクリエーションインストラクター、キャンプインストラクターと保育関係に特化したものが並ぶ。ご両親も公務員にして、幼き頃から習い事や塾も多くやっていたという、まさしくエリート。インテリジェンス・ガールだった

 

しかし就業先の人間関係において、強烈な"いじめ"にあってしまい約2ヶ月で保育士を退職。フリーターをしながら自己啓発をと習い事を探すと、ピンと来たのがなんと殺陣(たて:剣や体を使って行う格闘シーンの立ち回り)だったそうです。こうしてこの殺陣を習いだすと、そこでアイドル関連を扱っていた事務所に声をかけられ、2008年末に芸能の道に活路を見い出しアイドルとしてデビュー。2009年からはアイドル活動と併用し舞台に出演。舞台女優として踏み出すことになります。ですが職業としての安定度は乏しく、年齢のことも考え表舞台からは身を引き、制作へ回ることを決意します。

 

こうして裏方として再スタートを切りますが、女優への思いはどこか絶ち切れず・・・モヤモヤとしていたある日「女優のプロレス」をコンセプトとしたアクトレスガールズという団体ができることを知ります。女優をしながらプロレスを行えば視野が広がり糧にもなる。きっと現状打破になる!こうして2015年5月31日、1期生として新木場1st RINGで本間多恵という選手を相手にプロレスデビューすると同年は女優業にも復帰。再び活動を継続していくことになります。

 

しかしプロレスラーにはなったものの、それまでプロレスのことをまったく知らなかったという奈穂さんは、練習や自身への評価において厳しい"プロレスの洗礼"を受けることになります。まさに艱難辛苦、汗馬之労(かんなんしんく かんばのろう)。しかし諦めることなく続けアクトレスガールズで約5年半、様々な団体に上がりながらプロレスを行っていくと厳しくつらい中にも"楽しさ"を感じ始めます。こうして2020年10月に同団体を退団してフリーとなり同年11月から東京女子プロレスへ参戦。現在も舞台女優、プロレスラーとして活躍していると、いうことなんですね。


ということでですね、ちょっと説明がなつかしのルックルックこんにちはの「ドキュメント女ののど自慢」みたいになってしまいましたが、まあこう、あれですね~。プロレスラーになってからもそうなんですが、それ以前のですね、アイドル、女優へ転身するとなった頃ですよね。その頃にはご家族ともいろいろあったでしょうし、いざなったらなったで最初は予想外の仕事をさせられたりと、だいぶ苦労されたのではないかなと察します。大変な人生を歩んできたんだろうなぁ~と、そんなことをしみじみと感じました。


さて、お話を戻します。列をなしテール・トゥ・ノーズで体勢を整えるボクとKazuさん。本人の前に立つ寸前まで特典会のレクチャーを受け気持ちを引き締めます。なるほどなるほど・・・話し方はこんな感じで、こんな風に接すればいいのですね~。会話があんまり長かったり変なこと言ったりするとドラゴンストップばりに止められると、なるほどぉ・・・


やがて、並ぶこと数分。いよいよ順番が回ってきました。目の当たりにした奈穂さん。これがKazuさんを甦らせた人か・・・


その第一印象は"優しい"の一言。なんでプロレスを・・・?とすら思ってしまうほどでした。

 

お疲れ様です。実はKazuさんに教えてもらい初めて観に来ました。と、サインと共に入れてもらう名前の用紙を渡すと・・・

 

「あ~。Kazuさんがニューカマー連れてくるって言っていた方ですね~。ありがとうございます。お名前は、ええと・・・流星仮免二世さん?」

 

そうです。よろしくお願いし・・・ま!?


か、かりめん!?

 

ほよ!?

 

そ、そうか。用紙、変に下に詰めて書いてしまったので読みづらかったですね~。申し訳ないです。流星仮面二世なんですよ~、ははは・・・

 

「あ!あああ!!流星仮面二世さんですね」

 

すいませんね~。ちなみにかなり昔に本検までは終わっておりますです。なはは・・・

 

そんなやり取りのあと、笑顔でサラサラとサインを入れてくれました。


実のところ昨今のこういうイベントって知らなかったので、テレビで見るアイドルのそれのような、もっとテンション高めというか大げさでわざとらしい対応でやるものなのかと思っていたんです。いや、他の選手のことはわかりませんよ。でも、少なくともこの奈穂さんはトーンがすごい落ち着いていて自然なので、心地いいんですね。ファンの方がずっと話していたいってなるのも頷けると思いました。

 

そして、サインもいただいたので、お礼言って立ち去ろうとしたそのときでした。

 

「あ、撮影・・・1回できますので・・・」

 

ああ、撮影!!そうか、すっかり飛んでいてしまった・・・とスマホを出します。こうして撮影し自分の番は終わったのですが、そのときあの日の光景が頭をよぎったのでした。そう、あれは33年前。1991年初頭の茨城県の阿見町民体育館でブル様(ブル中野)にサインをもらったときのことです(女子プロレス列伝~愛しのブル様~)

 

そうあのとき、立ち去ろうとしたら「あの~握手を・・・」と、向こうから言ってくれたのがブル様でした。そして時を隔て今日は撮影をと・・・最後がこんな似てるなんて、なんか奇妙な、不思議なものを感じずにはいられませんでした。


ひとつの世界にして、あまりにもジャンルが細分化されているプロレス。そんなこともあり、自分の趣向とはかけ離れてしまっていて興味すらわかなかった東京女子プロレスという団体の角田奈穂というレスラー。Kazuさんが好きにならなければ一生知ることができなかった存在です。明日知らぬ世、定めなき世・・・だからプロレスはおもしろいんだと、しみじみ思いました。

 

こうして自分の番が終わると、どん尻に控えしはKazuさんです。ボクは後ろに下がり、ふたりが向かい合ったそのシーンを眺めました。


ああ、話してるなぁ・・・なんか、いいなぁ~。

 

ここで思うことは、お体のことでした。自分なんかはほんのわずかなのですが、これまでにKazuさんと同じようなご病気になった方を何回か見ています。そして、自分の祖母もそうでした。なので今のKazuさんのお姿は、みなさん本当にうれしかったんじゃないのかな・・・Kazuさんはそんなことないって言うかもしれませんけど、ひとりの人間を通して肉体も精神もここまで回復したという現実は、うれしく受け止めていると思います。楽しそう。本当に楽しそうで、よかった。本当に今日はいい経験、いいものを見ることができました。ありがとう。

 

こうして特典会が終わると、Kazuさん、ノリさんと反省会という名のミニ打ち上げ会を行うため両国駅前のサイゼリアへと足を運びました。

 

しかしその間、ノリさんは購入した遠藤選手のポートレートのやり場に困ります。素で手で持っては痛んでしまうし、プロレス会場出てから回りに見えてるのがどうも・・・という感じ。確かにこのまま電車乗って帰るのは大変そうです。そこでコンビニで封筒を購入。それに入れ持ち運ぶ事態となりました。


なるほどなぁ・・・改めてこういう現実を目にすると、最初にKazuさんからもらったケースは保存や持ち運びのグッズとしてかなり優秀だ。これはかなりの意味がある。利益云々差し置いても商品化してほしいと思いました。(って、ファンの金銭的負担が増えちゃうから、やっぱり言わない方がいいのかしら?)

 

ということでサイゼリアで打ち上げです。20代、30代、50代。世代を超越した長身の男3人ですが、それぞれが今日の達成感に満たされていて食事をはさみながらの会話は弾みます。Kazuさんの柴田の行ってたサイゼリア探したっけなぁ~からプロレス話は進み、趣味でレスラーのイラストを描いているというノリさんの作品を見せてもらったり。で、そのイラスト。これが生業にできるんじゃないかというくらいのうまさで・・・


ノリさんが描いた「ふたりはプリキュア遠藤・鈴芽バージョン」は、このクオリティ。素晴らしい!!


その後、話題はまもなくこの日の試合と特典会のお話になり、今日どんなこと話したの?見てこの撮らせてもらった画像。かわいいよなぁ~。花、よかったなぁ~。次、東京女子行くときは、いや行ける?いやぁ行くんでしょ~?次は何話す?もし推しのレスラーと仲良くなれたらどうする~?コクる?いや、マジいけそうじゃねぇ?と、まさに現場は修学旅行の夜のような盛り上がり。楽しい。聞いてるだけで顔がほころんでしまいます。カリオストロの城の庭師のおじさん風に言えば「なんて気持ちのいい連中なんだろう」です。

 

こうして楽しい時間はあっという間に過ぎ、お別れとなりました。


ご存知のとおり、ボクは古いプロレスファン。今のプロレスには知らないこと、わからないことがたくさんあります。だから、こんなプロレスがあって、こんな世界が展開されているんだなと思うと、プロレスの"楽しさ"は人の数だけ、まさに無限大なんだなとあらためて学ばさせてもらいました。いいトシしたおっさんですけど、またいつかご一緒させてくださいね~。


楽しい1日を、ありがとうございました。


至極の黙示録~東京女子プロレス観戦 その2~

その1からの続きです。


味わったことのない会場の空気に壊滅寸前に追い込まれた我が精神。まさかこの先、試合中もこうなのか!?ええぃ、もはや毒を食らわば皿までよ!!なんでもきやがレェー!!


それでは試合です。


第1試合 15分1本勝負

宮本もかvs鈴木志乃

宮本(5分59秒 羅生門)鈴木


まずはオープニングマッチ。目を引いたのは宮本選手です。この選手は矢絣(やがすり)着物を模したコスチュームで、しかも空手の突き(伝統空手のようです)や合気の技?(これははっきりわかりませんでした)なんでしょうか?こう、武道の技を使うんですね。このあたり、令和の大正デモクラシー、現在の大正ロマンといった感じで相成り印象に残りました。ちなみにフィニッシュはミドルポジションのコブラツイストかと思いきや、足のフックを内側からするという独特なものでした。この個性はいいですね。女子プロレス界に文明開化の音を、ゼヒとも鳴り響かせてほしいと思いました。


一方の鈴木選手はまだキャリアが浅いようで、動きも、ん?というところはあったのですが、とにかく何かをやろうとしている姿がよかったです。試合ではスリーパーホールドを必要に見せましたが、相手にがむしゃらに食らいつく必死さですね。こういうあたりからものすごい熱意が伝わってきて、応援したくなりました。こういう子は伸びますよね~。何年後に化けるかもしれません。がんばってください!!


第2試合 15分1本勝負

上福ゆきvs凍雅

上福(6分9秒 片エビ固め)凍雅


これはですね、上福選手ですね。とにかく色っぽいです。フェロモン・ルネッサンス、背徳のお蝶夫人といった様相ですが、一転して試合は終始支配。むしろ凍雅選手をリードするような立ち回りだったのかなと、そんな気がしました。その凍雅選手は、ちょっとですね、何がしたいのか?どんなプロレスをやろうとしているのかが伝わってきませんでした。まだキャリアが浅いのかもしれませんね。体かあるので思いきったファイト、名前ある技なんていいので、まずは相手に体ごとぶつかっていくくらいのですね、そういう戦いに期待したいところですね。


第3試合 6人タッグマッチ 20分1本勝負

乃蒼ヒカリ、角田奈穂、上原わかなvs桐生真弥、風城ハル、大久保琉那

角田(9分5秒 肩固め)風城


さあ第3試合、ここでKazuさんの女神様、孤高の局地戦闘機といわれる角田奈穂選手の登場です。


この日は6人タッグということで戦いをじっくりは見れなかったのですが、フィニッシュにドラマがありました。ボクは会場の南側の後方にいたのでちょっと上から会場を見下ろすような形だったのですが、角田選手のフィニッシュがですね、Kazuさんのいるリングサイド側、もう目の前ですね。ここでKazuさんの方を向いて展開されたんですよ。この2ヶ月前、自身を連合軍と化し東京女子プロレスにひとりノルマンディ上陸作戦を敢行。その侵攻は功を奏し、今やご本人にまで認識されるようになったKazuさんへの、これは角田選手からのプレゼントだったのではなかったのかなと、ボクには思えました。


で、気になった選手なんですが、この肩固めに敗れた風城ハルという選手ですね。この子はまだデビューして間もない、年齢も15歳なんだそうですが体の使い方が非常に上手でしたね。技をするときのウェートの乗せ方がうまく、当てに行くタイミングも上手でした。この子はいい選手になりますよ~。これから楽しみです。


最後に、あれ?と思ったのが上原選手。その表情から女子プロレス界の相田翔子といった感が漂いますが、実はボクは釣りも好きで釣りの動画もよく見るんですけどね、この選手、先日釣り動画のお勧めの中に出てきてまして、あ~!となりました。アイドル、女優、釣りガールと、この団体は選手が他にもいろいろやっているのがひとつの特色なのかもしれないですね。


第4試合 15分1本勝負

ハイパーミサヲvsHIMAWARI

ハイパー(9分14秒 体固め)HIMAWARI


これはですね、ハイパーミサヲ選手ですね。ミサヲなだけに入場曲は殿さまキングスのなみだの操・・・ではなく、なんと甲斐バンドのヒーロー。いやはや、なつかしいです。そしてその身なりは緑を基調としたフェイスマスク、コスチュームに唐草模様のマントという出で立ち。リング上で展開される饒舌(じょうぜつ)も然り、まさに戦う東京ぼん太といった佇まいです。と、昭和を感じさせるフレーバーたくさんですが、それはおそらくボクが感じただけですかね。失礼しました。


ちなみにKazuさんから教えていただいたところ、このミサヲ選手は茨城県出身、鹿嶋市の出で、なんと団体唯一の既婚者なんだそうです。おおお、それはなかなかツボるなぁ・・・って、まったくプロレスの話してないですね。すいませんっ。


第5試合 タッグマッチ 20分1本勝負

瑞希、鈴芽vs中島翔子、鳥喰かや

瑞希(11分29秒 片エビ固め)鳥喰


さあこちら、流星仮面二世の推し(ということになっている)鈴芽選手です。


ということで調べてみましたらですね、なんとウチの娘と同い年。で、この選手も茨城県出身なんですね。しかも誕生日がブルース・リー先生と同じ11月27日というですね、なんとも素晴らしい事態となっております。そしてリングネームなんですが、これはスズメバチのイメージから、なんだそうなんですね。そのためリングコスチュームもハチを模したものになっているようです。


しかしながら24歳には見えない童顔とツインテール、体の細さからくるかわいらしさがどうしても優先してしまい、スズメバチというよりはミツバチ的な印象。ですがそのファイトは切れ味があります。機敏で何するにも無駄かない動きをする感じですね。そこからの攻めがいいですが、やられっぷりがまたいいです。まさに殺戮のみつばちマーヤ、ひとり熱殺蜂球といった感じが伺えます。


で、瑞希選手。この選手はもはやプロレスやる筋肉すらないのではないかと思わせるほどの体の細さなんですが、いざ試合が始まると迫力と力強さのある攻めで驚きました。軽量なんですけど、動きに合わせ体を活かせてるので軽量というのを感じさせませんね。で!!最も驚いたのはフォールされたときブリッジしてですね、そのまま相手をすり抜けながら立ち上がるという、そういう動きを見せたんですよ。これですね、ジャガー横田が昔よくやった動きなんですよ。なかなかできる動きじゃなんですよ。こういうのを知って取り入れているというのがいいですね~。ボクは古いファンなんでたとえが古くなっちゃうんですけど、今回見た選手の中では一番全女を彷彿させる選手だったな~と思いました。


最後に中島選手。これはいい選手ですね~。ボクはこの団体初めて見たのですが、序盤の細かな攻防から大きな動きまで全選手の中で一番キチッとしていて、トータルバランスが一番いい選手だと思いました。かなり小柄ですが、その分ものすごい努力しているんだと思います。この日はタッグだったので見せてない技がまだあるかもしれません。シングルも見てみたいですね~。


第6試合 6人タッグマッチ 20分1本勝負

辰巳リカ、渡辺未詩、遠藤有栖vs愛野ユキ、らく、原宿ぽむ

遠藤(時間切れ引き分け)愛野


この試合は遠藤選手がよかったですね。得意技がですね、キャメルクラッチなんですよ。これをフィニッシュにするという技のチョイスがすでに素晴らしいんですが、この入り方がよかったですね~。キャメルクラッチは背後から相手の両腕を足にのせてアゴをこう、やりますよね。これがですね、ピョンと一度に両腕取らないで、片方の腕だけかけて、ちょっとアゴを決めながらもう片方の腕をジワーッと、こう引き寄せてのせて入るんですよ。片方かけて、まだ技の完成度が70パーセント、もう片方かければ完璧だ、どうだ、相手も踏ん張る、させない、どうだ、お、でものせた!!入った!!というですね、決まるまでに攻防というドラマがある、実に素晴らしい入り方でした。同じ技でも入り方でファンの感情がまったく変わってくるわけですよね。リングで何を、どう表現するか?何を見る人に伝えるか?これは大事なところですよね。そういう意味でこれはよかったと思いました。


それと愛野選手。この選手はショルダーアタックが得意で、これを出しながら試合するんですが、まず純粋にショルダーアタックがうまいというのと、この技を活かした試合が現在のプロレスで見れたということにうれしさがこみ上げました。それとフェイバリット・ホールドがサイド・スープレックスのようなんですが、この投げ方がですね、ハーリー・レイスやテリー・ファンクのそれを彷彿させましたね。こう滞空時間かけてゆっくり大きく投げるんですよ。今のプロレスで見れなくなってしまった技がフィニッシュに用いられていたというのは、これはうれしかったですね~。


最後に渡辺未詩選手です。この選手、例のアップアップガールズで最初に出てきて踊ってたんですけど、そのときは大丈夫なのかな・・・と正直思ったのですが、とんでもない。パワーがですね、すごいんですよ。なんとボディスラムはワンハンド。そしてカナディアン・バックブリーカーを使うんですが、この日、確か2回目のカナディアン・バックブリーカーを愛野選手にかけたときだったと思うんですが、その上げ方がすごかったです。愛野選手はこの団体で見る限り体重ある方だと思うんですけど、こう・・・こういうのは言っちゃいけないかもしれませんが、持ち上げるときですね、ほぼ相手に跳んでもらってないんですよ。はじめからグワーっと、フルで持ち上げたんですね。で、カナディアン・バックブリーカーって上げたあと後ろに重心いくんですが、上げきった瞬間も下半身ブレませんでしたね。これはたいしたもんですよ。ザ・パワーステーションって感じでした。恐れ入りました。


ということで総括しますと・・・まず気づいた点ですが、違和感を感じたのはフォールされたときの返し方ですね。これ、ワン、ツーで体を跳ね上げて返すのではなく、体を横にして片方の肩を上げるだけ、だったんですね。ほぼ全選手です。これはですね、どうなのかなと・・・試合も終盤に差し掛かり、もう体力も限界点。というときにこの返し方ならわかるんですが、はじめから終わりまで常にこれというのは、ちょっと不思議な感じがしました。


一方、感心したのが試合の組み立て方でした。何かというと、他のプロレス団体のような派手な技や大技がですね、とにかく出ないんですよ。出た大技といえばサイド・スープレックス、水車落とし、ブレーンバスター、サイドバスター、河津落とし、カナディアン・バックブリーカーで、しかもこれらは試合の後半戦からで前半はというとボディスラムくらいしか出ていません。で、飛び技はドロップキックは全試合ほぼ平均して出ていましたが、あと使用されたのはフライングボディアタックのみです。ロープに振ってのカウンターもトップロープからも場外へも、使用された飛び技はフライングボディアタックだけでした。なのに、試合内容が薄いかといえば、まったくそんなことはないんですよ。細かな技や動きを軸に試合を構成しフィニッシュへと持っていくのでオーソドックスな技でも光るんですね。現在では当たり前となってしまった派手な技や大技を使わないで試合を成り立せる。これはなかなかできませんよ。この団体のカラー、スタイル、素晴らしいですね。本当にすごいことだと思います。


ただ、すべての試合がその限りとは言えませんでした。キャリアという点では仕方ないのかもしれませんが、選手によっては首をかしげざるをえない状況も多々ありました。


それはそう、たとえば指導者がいて、で、実戦練習したり技の練習したりすると思います。で、それらを試合で発揮していくわけですが、そこで問いたいのは「教わったことをやる」のと「教わったことを理解してやる」このちがいとは何なのか?というところなんですよ。


たとえばこの日、全体通して使われていたのですが、ロックアップですね。ロックアップはなぜするのか?なんですよ。教わったから、ただやってるのか?それとも教わり、やってみて自分のやっている姿を映像で見てみて、組んだ瞬間の形はどうなのか?腕の位置、足の位置、体重のかけ方は合っているのか?わからなければどうするのか?という、そういうところだと思うんですね。


選手によって動きに大きなちがいが見られることがありましたが、その差こそ、こういった点なのではないかなと思います。細かな技や動きを軸に試合を構成しフィニッシュへと持っていくからオーソドックスな技でも光るんです。だからロックアップやヘッドロック、バックを取る動きが大切なんです。と、ボクは思ったのですが、みなさんはいかが思われますでしょうかね?


若くてかわいい子が多いし、それぞれが他に類を見ないような個性を持っています。なので見た人へ与える印象はかなり強いと思うんですよ。人の記憶に残るというのはプロレスラーとしての真骨頂、いいことです。でも、それなら・・・プロレスラーなら、やっぱり「プロレスリング」で印象に残りたいじゃないですか。お、かわいいレスラーだな。コスチュームも個性的でいいなぁ。と思ったら、おお!?プロレスもうまい!!できるじゃないか。この子、すごいなぁ~。この団体は若手からちゃんとしているな!!ってなったら・・・最高じゃないですか。ね?


選手の一生懸命がこれほど伝わってくる団体は、そうありません。ここは、もっとおもしろくなる可能性を秘めていますよ。今後も楽しみにしたいと思います。勉強になりました。ありがとうごさいました。


ということで、このあと特典会に並びます。


その3へ続きます。


至極の黙示録~東京女子プロレス観戦 その1~

どうも!!流星仮面二世です!!

 

といことで今回は6月4日に行われました東京女子プロレス「TJPW LIVE TOUR IN SPRING '23 両国KFCホール」行ってきましたので、その観戦記をお送りします。

 

って、何!?流星さんが近代女子プロレス!?昨年の同じ日、ちょうど1年前はスターダム観戦に行って今年は東京女子プロレスって・・・どうしちゃったの!?

 

こう思う方も多々いらっしゃると思います。仰せの通り、これまでにその団体名を聞くことはあったものの、つい2ヶ月程前まではまったく興味もわかない、それこそ内容も知らない未知の領域でした。

 

しかし、ある男の日々のTwitter、そしてブログを見ていくうちその団体が気になっていって仕方なくなったのです。(角田奈穂“公認”応援ブログ~今日のブログ後のテー マはえいえいおーです~)

 

その男はK.Kazuといいました。


聞いたことのない名・・・だがしかし、特長のある文章に他に類を見ない怒涛の勢い。そして相手の魂を揺さぶる熱きハート。そう。もしこの男がボクの知っている人物なら、かつてはあるレスラーの大ファンとして有名だった、あの男のはずなのです。その男とは・・・



もしその男なら、年齢こそボクよりも遥かにお若かったですが、しかしプロレスの知識と理解は深かったため世代を越えていても通じ合えた仲間でした。

 

でもあるとき、男は病魔に襲われてしまい長い闘病生活を送ることになります。命の危機、これからの生活、そして人生のこと・・・一旦は完全に姿を消してしまいましたが、徐々に回復していくと再びネット上に現れ、声を発するようになりました。

 

こうして以前と変らない超絶ぶりを発揮するようにまでなりましたが、ここに至るまでにはボクらでは計り知れない、大変な苦悩や心の葛藤があったはずです。よく戻ってきてくれたなぁ・・・本当にそう思いました。

 

やがて、その男が姿を消したのちKazuさんは現れました。そして「人は変れる」とツイートしたことがありました。

 

変わった。Kazuさんがボクが知っていたその男だったなら、確かに変わった。というより"甦った"と、そう思いました。言動も行動も・・・一時期のツイートには暗闇で何かを探しているような、どこかにそんな空気があるようにボクには感じられたからです。

 

でももう、そんなことを感じることはなくなりました。でも、なぜ・・・?


Kazuさんは、変われたのはこの東京女子プロレスにいる、あるレスラーのおかげなんだと言いました。ひとりの人間の人生を、これだけ変えることができたレスラーとは・・・?それはどんなレスラーで、どんな団体にいるのだろうか?見てみたい。そう思い、今回の観戦に至ったのです。

 

でも今回の観戦には、それ以上に思うところがありました。

 

Kazuさんがボクの知っているその男だったなら、初めて知ったのは2014年。レガさんのブログで紹介されてからでした。(腕ひしぎ逆ブログより 素敵な記念日)

 

それをキッカケにその男のブログを読むようになりました。やがてコメント欄を通じ、ボクともやり取りが始まったのです。

 

そして・・・それはボクがレガさんに会いに二度目に北海道を訪れようとしたときでした。

 

ボクはその男の魂を伝えるため「THE WRESTLER」のTシャツを着ていきました(別の僕を夢見てた本当の僕~再会という名の前編~)

 

そして、いつか実際にお会いしましょうと交わしたのです。

 

そう、いつかお会いしましょうと・・・



あれから約7年。時間が流れ、お互いにいろいろなことがありました。世の中も、いろいろなことが変わりました。でも!おれは社交辞令って言葉が大嫌いなんだ。だから会うと言ったら、会う。今回、一番楽しみでうれしいこと・・・それはあの男、そうあの男!!Kazuさんに会えることです。

 

こうして当日。Kazuさんと両国駅で待ち合わせします。どんな感じの人なのかな?半ばコスプレで、みたいな容姿でと謎めいたことも言っていましたが、はたして・・・そんなことを考えながら改札の中で待っていると、間もなく改札の外側に着きましたとのLINEが届きました。

 

来たか~。と、緊張と興奮で改札を出ると、そこに立つ長身のひとりの男性が。お互いに目を合わせ距離がつまっていくと我々にしか聞こえない、魂の音が共鳴し合うのがわかりました。まちがいない。この人だ!!

 

「○○○さんですか?」

 

と問うと

 

「あー流星さんですね!!」

 

とガッチリと握手を交わしました。

 

初めて見たKazuさん。かつてラグビーをしていたと聞いていたのでガッチリしているのかなとは思っていましたが、自分がイメージしていたよりさらに体が大きく、しっかりとしていた方でした。


会えた。あ~会えたんだなぁ・・・


今日までの日々。それを思えば込み上げるものがないはずがありませんでした。よかった。本当に今日を迎えられてよかったと、心からそう思いました。

 

こうしてKazuさんと一緒に歩きながら学生の頃の話や職歴の話、スピアーへのこだわり、昨今のプロレスの話、現在の体の調子の話などをしながら両国KFCホールへと向かいました。

 

今回の会場となる「両国KFCホール」なんですが、KFCという敬称からフランチャイズ大手のケンタッキーフライドチキンが管理してる建物なのかな?なんて思ったんですが、実は無関係。由来は国際ファッションセンター株式会社が所有する国際ファッションセンターという25階建という大きなビルの中にある貸し会議場の略のようなんですね(東京の貸し会議室・貸しホール KFC Hall & Rooms)

 

ここは非常に大きいビルなのでホテルや飲食店も完備されています。ということで敷地内の第一ホテル両国にあるアゼリアというレストランでKazuさんと試合開始前にお茶をしながら改めてご挨拶となりました。

 

そして間もなく、おみやげをいただきました。ひとつは東京女子プロレスの本です。これを読めば現在の東京女子プロレスのことが把握できる、しかも各選手の練習風景なども見ることができるオールカラーのスグレモノです。そして、そのとなりのケース。これは・・・?

 

はて・・・?

 

「これは特典会でサインをもらったポートレートを入れるものなんです。クリアファイルでも折れたり曲がったりしてしまうことがあるので、これに入れるといいんですよ。自分も使ってます」

 

なるほど。これなら折れや曲がりはもちろん雨濡れも防げるし、なにより書いてもらったサインが擦れて消えてしまうという心配から解消されます。それにしてもポートレート。これまでにも何度か手に入れたことはありましたが、こういったケースに入れるという発想はありませんでした。試合後の特典会でもらうサイン入りポートレートが選手とファンのひとつの生命線となる、この団体ならではの独特な文化だと思いました。


で、余談なんですが・・・ちょっと思ったのですが、これ、各選手の専用ポートレート入れを作り「選手のポートレートは専用のポートレートケースに♪」なんて販売してみたらどうですかね?AタイプとBタイプで2種類くらいで販売して、半年に1回くらいデザインも変えれば、なかなかの利益になると思うんですが・・・商開部門の方、いかがでしょうかね?(なんてことは言わない方がいいのかしら?)

 

その後、この東京女子プロレスと、その人生をも変えた推しである角田奈穂さんのお話など、Kazuさん節を全開にたくさん聞けました。こうして楽しい会話が進み、開場時間も迫ってきたのでホール内へ入ることにしました。


その入り口でチケットを切り、少し進むと

 

「これなんですよ」

 

とKazuさんが指すものがありました。それは2段のフラワースタンドでした。そう、これは先ほどレストランで話を聞いたお花・・・Kazuさんが角田奈穂選手のデビュー8周年に贈ったという祝い花でした。

 

豪華できれいです


昨年はあったのに今年ないのはさみしいじゃないですか。と話していたKazuさん。そしてこの先9周年、10周年と贈れたら・・・という気持ちを聞いて、心から感激しました。ご本人もうれしかったと思います。いいお話をありがとうございました。

 

かくして、お花を後に物販へと突入します。その建物のロビーにズラリと並んだ各選手のポートレート。ここで事前に好きな選手のものを購入し、試合後に行われる特典会といわれるサイン会でサインを入れてもらうという、そういう仕組みなんだそうです。


ポートレートの他、このような用紙が手渡されます。この用紙に前もって名前やメッセージを書き、サイン時に渡せばそれを書いてもらえるんだそうです。なるほどねぇ~

 

Kazuさんのお話では、全試合終了後、試合が早く終わった順から各レスラーが特典会場に立ち、順次行われていくそうです。が、人気のある選手は列が長くなるのでなかなか終わらず、逆に並ぶ人が少ない選手の場合は早めに終わってしまうんだそうです。

 

うむぅ・・・サインがもらえ写真も一枚撮れて、少々の会話もできる。ファンにしてみたら楽しくて仕方ないイベントだが、一転すると自身の人気が目に見えてしまうという、選手にとってはサドンデス的な要素を含むイベントでもあるんだなぁ・・・ここにもまた戦いがあるんだな。そんなことをふと思いました。

 

その後、中に入るとKazuさんが足を止め、誰かと話しています。ご紹介されると、鶴ヶ城の最終兵器、褐色の飯伏幸太といわれるノリサイトーさん(Twitter:ノリサイトー)というKazuさんのプロレス仲間、お友達の方でした。

 

以前からそのお名前はTwitterで目にしていましたが、交流はなくお会いするはもちろん初めて。その印象は礼儀正しく腰も低い20代の好青年。背も高くなかなかのイケメンです。ということで今日は20代、30代、50代という異次元なファン構成での出陣。もはや試合後の打ち上げの方も楽しみになってきました。

 

さあ、期待を胸に席に着きます。ざっと見渡すと、会場内は後楽園ホールをひと周り小さくしたような感じ。南側が長広く高く設置されていて形状もなかなか似ていました。そして非常にきれいです。客層は9割が男性。女性はほぼいないですね。年齢層は全体的に高めな印象です。

 

こうして時間も迫り、いよいよリングアナにより大会中の試合の説明と対戦カードのアナウンスがされました。そして、お待たせしましたとばかり「アップアップガールズ」というアイドルとプロレスを併用しているグループの歌のコーナーをコールしました。

 

リング上での歌。これは1970年代に全女のマッハ文朱から始まった女子プロレスの伝統。今日ここで行われても何も不思議なことはありません。が、はたして今どきの女子プロレスラーの歌とは、一体どんなものなのだろうか?まったく想像がつきませんでした。


そんな思考の中、アップアップガールズが元気いっぱいに入場。リングインしてきます。どうやら4人組のグループのようです。


歓声を受け、笑顔で応えるアップアップガールズ。しかしここで、なんだか場内が自分がこれまでに経験したことのない空気へと変わっていくような、何か不思議な感覚に見舞われていったのです。


「(なんか、うーん・・・?)」


しかしそんなボクの思いをよそに、ついにアップアップガールズの歌が始まりました。

 

「アップ アップ アップたたかえー いどみつづけるぜ ふぁいてぃんぐがー♪」

 

歌と共に繰り出される軽快なダンス。そして会場からは曲に合わせられた掛け声が高らかに飛びます。その掛け声と共にキラリキラリと視界に入ってくるのは、それはアイドルグループのコンサートでもよく使われる光る棒、サイリウムライト。その光る棒を持ちノリノリで手拍子するファン達・・・そして、その光る棒の合間を縫って見られるのは500~600ミリはあろうかという望遠のついたデジタル一眼レフで写真を撮るファンの姿です。

 

「(!!・・・ぬ・・・!?・・・!!)」

 

その刹那、KazuさんからLINEが入ります。

 

「大丈夫ですか?息してますか?」

 

息ッ!!おれは今、息を・・・!?

 

本当に今、固まっていました。呼吸すら飛び、何もできなくなっていました。なぜって・・・理解できないかもしれませんが、今、起こったことをありのまま話します。


そう、おれは今日プロレスを観にプロレス会場に来たんだ。だが気がつくとライブアイドルがイベントやってる観客席にいたんだよッ!!

 

ゴゴゴゴゴ・・・

 

深く深呼吸し呼吸を整え我に返ると、ハッと頭を過りました。

 

ま、まさか!?この先ずっとこんな感じなのか!?

 

試合開始直前に受けた東京女子プロレスの洗礼。このあと、おれはどうなってしまうんだろうか・・・

 

その2へ続きます。