完結しました🙌
おひまなときに読んでもらえたら嬉しいです。
レビューや感想ノートもお待ちしております。
すっっごく楽しく書きました。
野いちごに飛べます
↓
こんにちは
訪問ありがとうございます。
ブログでは、趣味の小説を公開したり、写真や手作り品を発表したり、家族であるハムスターの様子を紹介したりしています。
コメント欄はありますが、私へのお手紙と捉えているので、記事への公開はしていません。
なので、周りを気にせず、気楽に書いていってくださいませ(*^ω^*)
<活動場所>
小説サイト野いちご→蒼月ともえのページ
<お願い>
このブログ内の小説、ハンドメイド作品などのコピー、転載はご遠慮下さい。
よろしくお願いいたします。
<おしらせ>
スターツ出版より「1495日の初恋」発売中↓
第16回星の砂賞審査員奨励賞受賞作品
「跳んで気になる恋の虫」星の砂文庫で公開中
「何が…あったの?」
「…理由を答えたら、さっき俺の言ったことをちゃんと考えてくれる?」
「さっきの話って…」
「俺がネズミのそばにいるって話」
私は数分前の出来事を思い出して、ボッと体が熱くなるのを感じた。私がカズナの言動に反応するたび、携帯が激しく振動する。
「そ、そばにって…今もいるじゃない」
「俺が言っているのは、そういう意味じゃない。ネズミの心に深く入りたいって意味だよ」
カズナは立ち上がり、ゆっくり私の前まで歩み寄ってくる。そして脚絆から携帯を取り出すと、私に画面を見せた。
切ったと言っていた電源が入っている。
「トキメカシを辞めた俺が、こうしてまたトキメカシに戻った。何故だかわかる?」
つづく
「そうか。電源を入れたら、隠しておくことはできないんだな。だったら、話すしかないよな。…ああ、そうだ。俺は、トキメカシだった」
カズナの告白を聞いて驚き、声が震える。
「『だった』って…昔はトキメカシだったってこと?」
カズナは、ちょっと笑って頷いた。
「ああ、俺もゲームでここに来たときは、トキメカシだった」
「なんで、言ってくれなかったの?」
「ネズミと会ったころは、トキメカシを辞めていたから」
囲炉裏の炭火を突きながら言うカズナの頬が、ボウッと再び勢いを増した炎に照らされ、赤く染まっている。
「辞めていたって…」
私は、自分の携帯をギュッと握りしめた。
「辞めていたって言えば、自分の意思で辞めたように聞こえるだろうが、そうじゃない。俺は、ゲームに参加できなくなっていた。だから、このままここにいるしかないと思って、電源を切っていたんだ」
つづく
すると、私の胸の高鳴りと共鳴するように、携帯がブルブル震えた。
サトシが呼んでる!
とっさにそう思った私は、カズナの腕を払って立ち上がると、ポケットから携帯を取り出した。
画面の文字を目で追った後、信じられないという気持ちでカズナを見る。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
トキメクはトキメカシに遭遇した
新しいトキメカシに
▶︎変更する 変更しない
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
新しいトキメカシって…。
周りを見てもカズナしかいない。どんなに考えてもカズナしかいない。でも、私がゲームの話をしたときは、何も言わなかった。どうして黙っていたの?
「カズナは、トキメカシ…なの?」
確かめるようにカズナに尋ねた。
「ゲームのこと、知ってたの?」
カズナは一瞬キュッと眉根を寄せたが、すぐにいつもの表情に戻ってフーッと息を吐いた。
つづく
「どうにもならないのか?」
私は、両手で顔を覆ったまま首を振る。
「…わからない。私だけじゃ…もう…」
森を吹き抜ける強い風が、すだれをカタカタ揺らしていた。カズナは立ち上がり、細く開いた窓をバタンと閉める。私は顔を両手で覆ったまま、絶望感に押しつぶされそうになっていた。長い沈黙を破り、囲炉裏の焚き火がバチンと大きく弾けたその時、
「俺がいる」
「俺が…ネズミのそばにいるから」
突然すぎる出来事に、私の心は大きく揺れた。カズナの優しい声と体温を近くに感じて鼓動が速くなる。
つづく
「それでさ、携帯の裏にSと書いてあったので、とりあえず"エース"と呼んでる」