「蒼い月の本棚」~小説とハムスター(ハムちゃん日記はお休み中)~ -3ページ目

「蒼い月の本棚」~小説とハムスター(ハムちゃん日記はお休み中)~

趣味で小説を書いています。絵を描いたり写真を撮ったり、工作をしたり書道をしたり、趣味たくさんです。古典で人生変わりました。戦国時代&お城好き。百人一首とにかく好き。2016年、夢叶って小説家デビューできました。のんびり更新ですが、どうぞよろしくお願いします。




第1話はこちら↓






まぶたに感じる眩しさで目を開けると、朝になっていた。額には濡れた手拭いがのせられている。隣にいたはずの男の姿はない。

先に寝たと思っていたあの男が、私にこれを?

手拭いを取って枕元に置くと、床に手をつき、ゆっくり起き上がる。眩暈や頭痛はおさまっていた。囲炉裏の焚き火は、まだチロチロ燃えている。私は、小屋の中を歩いて回った。昨日は暗くてわからなかったが、小屋の中は整理されていて、棚には本がたくさんあった。


「起きたか!」

扉が開いて、男が駆け寄ってくる。

「あの…」

話そうとするのを遮るように、男の手が額に飛んできた。手のひらがパチンとくっついてから数秒。男は、口角をきゅっと上げて私に言った。


「よし、下がってる。話していいぞ」


フーッと大きく息を吐いた男は、手に持った桶を地面に置き、柄杓で水をすくってガブリと飲んだ。

「私にも…ください」

「ああ、ほら、飲め」

男は、水の入った柄杓を私に手渡した。それを一気に飲み干すと、今度は自分ですくって味わうように飲んだ。

「おいしい」

「だろうな、3日も飲まず食わずで眠ったきりだったから」

「3日?」

「ああ、そうだ。腹も減ってるだろ?」

そういえば、お腹もぺこぺこだ。

「もう少ししたら、メシが来るから待ってろ」

飯が来るって、出前のこと?私は、深く考えずに頷くと、水をもう一杯すくって飲んだ。






つづく









第1話はこちら↓ 





画面をよく見ると、右下に数字が表示されている。
これが規定時間だとしたら、急がなきゃ。もう一度サトシに会って話をしなきゃ。
私は、携帯を握りしめながら男を見る。
「聞いてもいい?」
「ダメだ」


「一緒にこの森に来た人がいるんだけど、その人が、今どこにいるのかわからないの」
「ダメだ」
「その人は男で、背はあなたぐらい。歳は…」
「おい、待て。ダメって言ってるのに、何で続けるんだ?」
「独り言だよ。聞いたらダメだって言うから」
「は?お前、ほんとに面白い女だな」
男は口角をきゅっと上げ、くすりと笑いながら言った。
「何度も言ってるが、まずは熱を下げてからだ」
「それでも…」
頼んでも無理ってわかるオーラをビンビンに感じて、しぶしぶ引き下がる。
「わかったわよ。こうなったら意地でも熱を下げてやるんだから」
私は、横を向いて丸くなり、ギュッと目をつぶった。
「俺も休むぞ。お前を相手して疲れた」
そう言うなり男は、私の隣にどっかり横になった。すぐにいびきが聞こえ出す。私もいつのまにか、眠りに落ちた。






つづく



★★★★★


おはようございます!
わーい、休みだーー\(^o^)/

もう少し書いて更新しまーす♡


ともえ




第1話はこちら↓





「の、飲みます」
男は私の手に苦い玉を置くと、椿の花が咲くように笑った。




「お前、めんどくさい女だな。結局飲むならさっさと飲めばいいものを」
皮肉たっぷりの言葉とは裏腹に、男の笑顔は思いのほか愛らしい。
「ほら、約束だからな」
男は、私に携帯を返してくれた。
「ありがとう」
愛らしい笑顔のおかげで緊張が解け、素直にありがとうと言えた。私が触れると大きく震えだす携帯。画面を見ると「トキメク」のルールが表示されていた。

▶︎「トキメク」はときめくことを担う。「トキメク」が「トキメカシ」を故意にときめかそうとしてはならない。
▶︎「トキメク」のゲージが100を超えたらステージクリア。ただし、規定時間までにクリアできなければ、ゲームオーバーとなる。
▶︎「トキメク」は「トキメカシ」を1度だけ変更することができる。変更後は規定時間がリセットされ、Re.スタートとなる。
▶︎これらのルールを「トキメカシ」に明かしてはならない。
▶︎規定違反をしたら、2度と元には戻れない。

ルールは、スタートごとに表示されるとある。
そういえば私、ゲームを始める時、ルールをちゃんと読んでいなかった。ルールが表示されているということは、今からまたスタートってこと?このゲーム、一体いつまで続くんだろう。






つづく


★★★★★


今日はここまでです。
いつもちょっとしか進まなくてごめんなさい。
書きたい気持ちがあっても、とにかく時間がない😢
でも、毎日一話でも更新できるように頑張ってみます。
今日もよんでいただきありがとうございました♪

ではまた。


ともえ








第1話はこちら↓




死ぬの?こんなわけのわからない場所で。うちの家族に伝えてくれるのかな。サトシのお母さんから預かってる月謝も返さないと。サトシのことは嫌になったけど、私が死んだら、それを伝えられるのはサトシしかいない。
「死ぬ前に…聞きたいことがあるんだけど」
「死ぬんだから聞いてもしょうがないだろ」
「気になって死ねない」
「死んだら気になんねーよ」
「でも…」
男は、あの苦い玉を差し出した。
「生きるか死ぬか、さっさと選べ。だが、死ぬを選んだら、今すぐここから放り出す」
外からは、オオカミの遠吠えが聞こえる。放り出されたら、腐る前に食べられちゃう。生きたまま食べられるなんてごめんだ。
「ほ、放り出さないで」
「だったら生きろ。これを飲んだら、なんでも聞け。ちゃんと応えてやるから」


どの道死ぬしかないのなら、今は、この男を頼るしかない。





つづく





第1話はこちら↓




ヒル、感染症、死ぬ…。
あまりにも唐突すぎて、パニックになりそうだ。
「いいか、よく聞け。死にたくなければ、熱が下がるまでは動くな」
男は私の腕を掴むと、布団へ引き戻した。
「でも…」

「でもじゃねーんだよ!」


戸惑う私に向かって、男の手が飛んでくる。反射的に目をつぶると、バチンとおでこに男の手のひらが張り付いて、そのままぐいっと押されて倒された。
「まだ熱がある。これを口に含んで寝ろ、話はそれからだ。それに、これも預かってるしな。言うこと聞かなきゃ返さねーぞ」
男の手には、私の携帯が握られていた。返してと言おうとして開いた口に、飴玉のようなものを一つ放り込まれた。
「っ、苦っ!」
「薬だ。さっさと飲み込め」
本当かどうかわからない。どんな薬かもわからない。私は、それを飲み込まずに吐き出した。
「お前、よくも…!まあいい、放っておいたら末端から腐ってどうせ死ぬ」






つづく






第1話はこちら↓




違う、サトシじゃない!
そこにいたのは、全く見たことのない男だった。
逃げなきゃ。
掴んでいた着物を羽織ると、男を起こさないよう、静かに慎重に体を起こして、ゆっくり立ち上がった。眩暈がする。頭も痛い。なぜだか体中がヒリヒリ痛んだ。それでも、焚き火の向こうに見える扉を目指した。
「待て」
背後から聞こえる鋭い声に、足がすくむ。

「お前、今動いたら死ぬぞ」


いつの間にか、私の前にその男はいた。上半身裸でステテコ姿。髪は銀色で、長い前髪の隙間から見えるアーモンド型の大きな目で、まっすぐ私を見ている。
「お前、ヒルに噛まれて感染症にかかってる」
「…ヒルに…」
「森を裸足で歩くからだ。自分の体を見てみろ」
言われて体を見てみると、あちこちに丸く赤い傷があった。
「この森にしかいないデカくて凶暴なヒルだ。噛まれたら必ず感染症を起こして死ぬ」





つづく


★★★★★


今日はここまでです。
セカンドステージに入りました。
新しい登場人物、謎の男は、アゴにほくろのあるあの人の声で再生してみてくださいませ。

今日は寒かったです。
明日はいつもより早いので、もう寝まーす。

おつかれさまでした。
今日も読んでくれてありがとうございました。
良い夢を。
ではまた。

ともえ





第1話はこちら↓








水色の幼稚園服を着たサトシが、雨の中で泣いている。私は、駆け寄って抱きしめた。
「こうすれば、あったかいでしょ」

…あったかい…背中が…あったかい…背中?

パチンと目を開けた。ふーっと息を吐いて、瞳だけを動かす。
ああ、夢か。
薄暗がりの中、焚き火がパチパチと音を立てている。


火の向こうに、私の部屋着が広げてあるのが見えた。意識がはっきりしてくると、私は下着姿で横を向き、背後から誰かに抱かれるようにして寝ていることに震え上がった。顔は見えないけれど、枕にしているこの腕は、明らかに男性の腕。

これは誰?どういうこと?

私は、体に掛けられた着物を掴んで胸の前で握りしめると、恐る恐る振り向いた。





つづく






第1話はこちら↓






【セカンドステージ】


いつの間にか雨が降っていた。
怒りに任せて走った私は、ぬかるんだ地面に足を取られ、転んだ拍子にスリッパはどこかに飛んでいってしまった。
「痛いし、寒いし、もう、ほんっとムカつく!大っ嫌い」
サトシのバカ。許さない。こんなところに来てまで、あんたとケンカするとは思ってなかった。
湿った匂い。深い森。厚い雲に覆われた空。雨は私の体を冷やしていく。


もう動けなかった。私は、膝を抱えて丸くなる。そのまま目を閉じた。


どのくらい時間が経ったのだろう。現実なのか夢なのか、朦朧とする意識のなかで、足音を聞いた。それはどんどん近づいて、私の後ろで止まった。
サトシなの…?





つづく





第1話はこちら↓





「たしかに、最低だよな…」
サトシは、手に持った携帯の画面を見て呟いた。



画面には、サトシが担う「トキメカシ」のルールが表示されている。

▶︎「トキメカシ」は「トキメク」をときめかすことだけを担う。万が一「トキメク」よりも「トキメカシ」の方が多くときめいてしまった場合、何らかのペナルティを科す。
▶︎「トキメカシ」は「トキメク」に恋愛感情を持っていたとしても、打ち明けてはならない。
▶︎「トキメカシ」は、ステージクリアごとに「トキメク」のゲージを「0」にしてからスタートしなければならない。
▶︎「トキメカシ」のルールを「トキメク」にあかしてはならない。
▶︎禁止事項を破ると、2度と元には戻れない。

サトシの携帯に「トキメク」のゲージが「0」になったと知らせが届いた。すなわち、ハルがサトシを嫌いになったことを意味している。
ちくしょう!ゲージを「0」にするには、嫌われるしかないじゃないか。弟としか見てくれていなかったハルが、俺をやっと男と認識して、ときめいてくれたって言うのに…。

「ほんっと、マジでクソゲーだぜ」
サトシは、携帯をポケットに捩じ込むとハルの後を追った。





つづく




★★★★★


こんばんは。
カッペリーニのイタリア語部分を何度も見てしまう ともえです。皆さまいかがお過ごしでしょうか。

今日はここまでです。
忙しかったです。なので、更新も少なくなっちゃいました。
が、今回の更新は、お話の大事なポイントとなる部分でした。

明日も更新できたらいいな。
疲れたので早寝します😪

いつも読んでくださりありがとうございます。
皆さまとここで久しぶりに交流できて、とても嬉しいです。
では、また。


サトシの夢を一緒に見ましょう✨
ともえ



第1話はこちら↓




私の心臓がドキンと跳ねた。見たことのないサトシの姿に鼓動が速くなる。
「どう…したいの」
質問に質問を返すのは卑怯だけれど、私はこんな状況でも、主導権を握ろうと必死だった。そうでもしないと、この得体の知れない感情の渦に飲み込まれてしまいそうだから。私が聞き返すと、サトシは声に出さずに口をパクパクさせた。聞こえない、何て言ったんだろう。私が首を傾げると、サトシは表情を固くして
「いいんだ、なんでもない」
と言って私からスッと離れた。びくともしなかったサトシの腕が、真夏の雪みたいに呆気なく溶けてしまった。立ち尽くす私に、サトシは着ていたシャツを脱ぎ、肩にかけてくれた。
〰︎〰︎ 〰︎〰︎ 〰︎〰︎ 〰︎〰︎
ポケットの中で、携帯が大きく震えている。取り出して画面を見ると「ファーストステージクリア」と表示されていた。



「やったぞ、クリアだ!」

サトシが、私の携帯を覗き込んで言った。

「よかった。ハルには全然効かないと思ったんだけど、いろいろ試してみてホントよかった。ねえ、何が一番ときめいた?教えてよ、次のステージでもそれを繰り出すから!」

…え?それってどう言う意味?
もしかして、今までのは全部、ゲームをクリアするために、意図的にやったことなの?

ちょっとでもサトシに揺らいだ心が恨めしい。無邪気に笑うサトシを見ると、無性に腹がたった。
「あんたって…最低」
私は、サトシのシャツを地面に叩きつけると、その場から走り去った。




つづく