大日本後楽園大会 by megane1964
申し訳ない。最初に謝っておく。
最近、ワタクシが仕事多忙のため、ホールに行く時間がない。更新もとぎれとぎれである。まったく何が「熱闘」で「後楽園」だ、ってとこまで来ているのである。他の方々も多忙なようだ。欠番ばかりで、本当に申し訳ない。世間が夏休みに入ったら、何か対処を考えねばならんなあ、と思っているところである。しばしご容赦を。
さて、なんだかアベノミクスとやらで世間はかしましいが、本当に効果があるかどうかは、経済音痴のワタクシなんぞには分からんことである。ただ、今週末、各地のヒトデはすごかった。いや、海のヒトデではない。人出である。ついでに本日の後楽園ホールも大層な人出であった。
まあねえ。メーンがデスマッチヘビー、セミがストロングヘビーというダブルタイトルマッチ。これ以上のカードは大日本にはないのだから、当然かもね。ちなみにデスマッチヘビーの立会人はこの人←。いや、欠場中なんだけど、働きますなあ。
あ、ちなみに、本日は超満員でいつもより後ろの席なので、アイフォンではロクな写真は取れませんでした。こちらの方も謝っておきますね。もうひとつ。詳しい結果はこちら(http://www.bjw.co.jp/ )を見てね。本日のレポートはほぼ、二大タイトルに集中しますです。
メーンのデスマッチヘビーはインディー界の大巨人・石川にデスマッチキッド・竹田が挑戦。190㎝の石川と170㎝ちょっとの竹田では、普通に考えるとなかなか試合が成立しない。ヘビーとジュニア、というより、ヘビーとミドル、という感じだからねえ。だけど、アイテム豊富なデスマッチでは、その体格差を埋めることもできる。
本日は「ブラッドレイン デスマッチ」。「金の雨」じゃなく「血の雨」が降るのね。「ブラッディ―レイン?」とも思ったけど、まあ、そんなことは些細なことね。
グラウンドから打撃へ、と始まった試合だけど、さすがに「地上戦」では石川に分がある。ゴツンゴツンと頭をぶつけ、重い重い蹴りを竹田の腹に突き刺す。ただ、竹田もただやられているばかりではない。要所要所で蛍光灯をうまく使い、試合の流れを引き戻そうとする。
「ブラッドレイン」とは何かってのはよくわからなかったけど、アイテムは豊富だった。東西のロープに蛍光灯を結び付け(なんと東側はダブル!)、ニュートラルコーナーには片やガラスボード、片や長机with蛍光灯。ガラスボードと長机はご丁寧に場外にも設置してある。
竹田は長机、ガラスボードにたたきつけられそうになるのだが、うまく切り返し、逆に大巨人を机、ガラスのエジキにする。石川もずいぶん、アイテム使いがうまくなったけど、デスマッチ歴は竹田の方が長いからね。この辺は上手いモノ、なのだ。
デスマッチ運びのテクニックで、体格差を埋めていた竹田だが、最後はやっぱり石川のパワーが上回る。リング外のガラスボードへ投げっぱなしのジャーマンで竹田を打ちつけて、さらにリング上でスプラッシュマウンテンon蛍光灯。しかも、リストクラッチ式で受け身を取れなくしてのワザですよ。さすがにこれでは竹田もなすすべなし。いやあ、石川はいいデスマッチファイターになりました。
セミファイナルのストロングヘビーは関本に河上が挑戦。長欠していた河上だけど、もともと石川晋也と同格だからね。岡林とあまり差をつけられてもいられないだろう。
こちらはいかにもストロングBJらしいゴツゴツした展開。「四天王プロレス」を思わせるヒジの打ち合いで幕を開ける。いやあ、驚いたのはこの打撃戦で河上が関本を上回ったこと。まずは河上に試合の流れが傾きかける。
まあねえ。そうはいっても、関本も先輩の意地があるからねえ。ラリアットを次々にぶちこんで、劣勢を取り戻そうとする。ハーフボストンクラブ、STF、ボストンクラブ、と得意の極め技で善戦する河上を痛めつける。
何度もその極め技を抜け、ヒジを叩き込み、ジャーマンで投げて、と河上も善戦したんだけどねえ。「フィニッシュホールド」がはっきりしないのよ。「最後の決め手」ってのがないのね。
その点、関本には「ぶっこ抜きジャーマン」があるわけで。最後の最後には、その差が出た。リング中央、両者消耗しているところ、関本が延髄斬りの3連発からクローズラインで河上をグロッキー状態にしておいて、必殺のジャーマン。さすがにこれは返せないよねえ。「これしかない」という決め手をどのように作っていくか。これが今後の河上の課題だし、そのあるなしは、見た目以上に大きいんじゃないかなあ。
本日7試合。もうひとつ何か足りないなあと思っていたら、例のご兄弟がお休みなのでした。調べてみたら、本職である「みちのくプロレス」の興行に参加している模様。それならば仕方がないけど、「バラモンの裁き」を楽しみにしているワタクシはちょっとさびしい思いがしたのでした。
次の更新はいつになるかなあ。広い心でお待ちください。
What are you doing 2013 by Steve-k
2月の後楽園以来、4ヶ月ぶりのDDT観戦。
先週末あたりから「重大発表を行います!!」と煽りに煽るため
気になって仕方がなくなり、今回はGMにチケットをお願いしました。
試合結果はこちら。
▼ダークマッチ 10分一本勝負
●福田洋&遠藤哲哉 vs ワンチューロ&アグレソール◯
南米から来た二人組は、まだまだプロレス発展途上。
技術の無さを客イジリで誤魔化すので、福田&遠藤が可哀想。
GMの前説で、前回の武道館大会のスポンサーだった「人間力革命」の部長さんが宝物の書を持って登場。
そういえば、昨年の武道家で背中に「人間力革命」と書かれたTシャツを来ている多くの方々が
いらっしゃったので、あらぬことを考えてしまったのですが
塗装や不動産などの会社だったと知って、逆にビックリした記憶が。。。
宝物の書は、部長さんの親戚の「美輪明宏」さんが書かれた門外不出の書だそうで、丁重な扱いで立派な額に入っておりました。
両国2DAYSにお披露目することが決定。
部長が一言「手に触れない様お願いします、大切な書なんですから」
▼オープニングマッチ 30分一本勝負
高木三四郎&●平田一喜 vs 男色ディーノ◯&大石真翔
進藤リングアナ「男色ディーノ選手と大石真翔選手はホモです!!」って、いつの間にか、大石がホモになっている(笑)
内容はDDT恒例の生尻合戦。ディーノは試合そっちのけで遠藤に襲いかかる。
平田は観戦中の家族の前でケツ出し。大人げない大社長も全開!!
▼第二試合 アイアンマン・バトルロイヤル・フォー・ザ・ヘビーメタル・タイトルマッチ 10分∞本勝負
◯DJニラ vs MIKAMI● vs マサ高梨● vs 中澤マイケル● vs ゴージャス松野● vs 松永智充● vs 高尾蒼馬● vs 大鷲透● vs ヨシヒコ●〈962代王者※試合開始時点〉
控え室での映像が流れ、高尾くんが一言「僕ら余り物ですから」直後、松野さんがヨシヒコをフォールし、王座移動。
全員がリングに登場し、ドタバタで王座が目まぐるしく移動。
最後はニラが、綺麗な孤を描くジャーマンでヨシヒコをフォールし王者に。
部長さんが再登場し「宝物の書」と記念撮影。
ニラがベルトと「宝物の書」を持ち上げた瞬間下敷きになり、すかさず松井レフェリーがカウント。
「宝物の書」が第972代アイアンマンヘビーメタル級王者となりました。
▼第三試合 30分一本勝負
HARASHIMA&◯KUDO&ヤス・ウラノ vs 宮本裕向&木高イサミ&FUMA●
ウラシマクドウとヤンキー二丁拳銃の絡みは刺激的、ジェットコースターのように局面が入れ替わる。
最後は粘ったFUMAがフォール負け。面白い試合でした。
ヤンキー二丁拳銃の100回防衛の相手に、HARASHIMA&KUDOが挑戦したら面白そう。
両国でやらないかなぁ、次回の後楽園でもいいかも。
▼第四試合 KO-Dタッグ選手権試合 60分一本勝負
◯佐藤光留&坂口征夫〈47代王者組〉 vs 彰人&竹下幸之介●〈挑戦者組〉
前回、皮肉を込めて
「武道館でのデビュー戦にてエル・ジェネリコに対してと初々しさの欠片もない試合運び」の驚異の高校生
と書いた竹下幸之介が因縁の佐藤光留と激突。
昨年、竹下がブログで「新人らしさってなんですか」と問うたことに、光留は「新人らしさ」とは、抑圧である」と回答。
まとめはこちら
試合は坂口と彰人スタート。
彰人のアマレスムーブの中に「私は余裕を持っていますよ」っていう仕草のような
スルスルっとした足捌きというか、独特の間の取り方が私のお気に入りです。
そういえば、彼は昨年天龍プロジェクトのトーナメントに出場し、14K相手に余裕の試合運びで圧倒しました。
後日、出場していたカブキさんに彰人の印象を聞いたら
「若いんだから、変に余裕見せないでガンガン行かなきゃ!」と仰っていました。
そんなことを思い浮かべていたら、リング上は光留と竹下が対峙。
突然、竹下が強烈な張り手を光留に繰り出します。
不意を付かれた光留は腰からダウン。
首を振って回復した光留は、倍返しの張り手を見舞う。
竹下はひるまず張り手をお返し。
上記ブログのやり取りの延長戦を、リングで展開しているのがわかります。
竹下「オリャー!!」
光留「コノヤロー!」
竹下「チクショー!!」
光留「この高校生がぁ!!」
後ろの席のお兄さん
「クソ生意気な新人に負けるな、光留!!」
完全に感情移入しています。
光留と坂口が追い込みますが、竹下は反撃します。
ダメージが蓄積しているのに、すごい跳躍力のドロップキックやハイキックを炸裂したり
初代タイガーマスクのデビュー戦でダイナマイト・キッドに放ったようなジャーマンには圧巻。
最後は、光留のジャーマンからの逆エビ固めに竹下タップ。
光留の逆エビ固めは説得力満点でした。
試合後も光留に突っかかる竹下、悔しいのでしょう。
私たちの持っている経験や固定観念というフィルターを通して。
勝手に決めている「新人はこうあるべきだ」という思い込みを、
竹下は試合で見事に木っ端微塵に破壊しました。
末恐ろしい存在です。
休憩前にGMより
・坂口憲二の来場
・9月の金曜日「DDTプロレスのオールナイトニッポンゴールド」放送決定!!
パーソナリティ争奪バトルロイヤルを両国で開催。
・両国参加アイドル枠の発表
がありました。
大社長「ANNといえば、鶴光です!!」と絶叫!ここでたけしと言わなかったのがミソ。
▼セミファイナル KO-D6人タッグ選手権試合 60分一本勝負
飯伏幸太&ケニー・オメガ&●伊橋剛太〈3代王者組〉 vs アントーニオ本多◯&星誕期&火野裕士〈挑戦者組〉
伊橋が狙われ、モンスターアーミー奪取、アントン一人舞台。
▼メインイベント KO-D無差別級選手権試合 60分一本勝負
◯入江茂弘〈45代王者〉 vs 石井慧介●〈挑戦者〉
前回、大社長の「石井、お前には何かが足りない」という謎かけの最中で
私は石井を
「いかんせん石井くんがショボイ。
「驚異の新人」竹下にもある「説得力」が、石井くんには無いのです。
突き詰めていくと、肉体的にも雰囲気もレスラーらしさが無いのです。
従って、がむしゃらに肉体改造してマッチョにしたり、イメチェンするしかないでしょう」
と酷評しました。
正直今日も、石井には期待していていませんでした。
しかし、予想は裏切られました。
入江の顔面を思いっきり下から蹴り上げた瞬間から
友人同士の試合が「お前には絶対負けないぞ!!」という気迫の塊の攻防に変わりました。
最後は、入江のバックフリップで敗れましたが、
石井は全身で「感情のプロレス」をリングで魅せました。
石井は四天王プロレスの大ファンだと聞きます
なにか、今日の試合でわかるような気がしました。
彼が目指すのは、川田なのか小橋なのか(田上ではないのは確かです)
どちらかといえば、川田スタイルが合っているかもしれません。
戦っていくうちに「説得力」が身についてくるから
変にスタイルにこだわるより、ガムシャラに突っ込んでいく。
それが「石井カラー」になっていくはずです。
いやぁ、石井と竹下のことを見損なっていました。
ごめんなさい。
さて、防衛後ヘロヘロの入江のもとに
「いつでもどこでも挑戦権」を持った佐々木大輔が
モンスターアーミーを従え入場。挑戦権を行使。
▼いつでもどこでも挑戦権使用試合 KO-D無差別級選手権試合 60分一本勝負
◯入江茂弘〈45代王者〉 vs 佐々木大輔●〈挑戦者〉
モンスターアーミーは、プリンス・デヴィット率いる「バレットクラブ」のように
試合に介入やレフェリーにちょっかいを出し
あわや佐々木がタイトル奪取か!の場面がありましたが、入江が防衛。
会場の一部でブーイングが起きていましたが、会場では悪の連携がイマイチ受けなかったなぁ。
それは、ヒールではないから、みんな良い人すぎるのです。
逆に観客に伝わるのがDDTらしい。
モンスターアーミーを例えると、WWEやWCWの悪のユニットではなく
ジェリー・ローラーのテネシーやアラバマなどの
いにしえのアメリカ南部のプロレスのユニットみたいで、個人的には好きなんだけど
ファンには中途半端に見えるかもしれません。
精魂使い果たして防衛してリング上で動けない入江。
突如、BJWメインテーマが館内に鳴り響き
「いつでもどこでも挑戦権」を持った岡林裕二が登場。
GM「何時やるの??」
岡林「いま?いやいや。。」
のやり取りがあり、次回の後楽園でタイトルマッチが決定。
岡林が「後楽園で叩き潰す、わかったか! 俺が両国のメインに立つ!」
と言い残しリングを去ります、岡林オーラビンビン!!
すると入江が「高木さんと名古屋でタイトルマッチがしたい」と発言。
GMが既に大社長がトーナメントにエントリーしているため、不可能と説明するが
入江は幼稚園児のように、足をバタつかせる「やる!やる!やる!」
大社長登場
「お前の夢を叶えてやる、トーナメントは辞退する」と宣言。
大社長「ただし、両国のメインに立つのは、俺様だ!!」
最後に「重大発表」
スクリーンにDDTの各選手の尻出しヌード写真が次々と映し出される。
「レスリー・キー氏撮影のDDT写真集」の発表がされました。
観客の反応は様々、男は白けて、女性は興奮しています。
ポスターの前で写真を撮っているのは、ほとんど女性。
そうそう、両国初日のメインが飯伏VSディーノ
いま、世間に響くレスラーとしてマッチメイクしたそうです。
今日の興行のテーマは「固定観念なんてぶち破れ」
今までのプロレスと同じ事をしていたら他と変わらない。
自分が少年時代に観たプロレスとは、時代や環境が変っているのに
同じフィルターを通してみていたら、明日は来ない。
「プロレスはこうあるべきだ」なんてルールや形はないのです。
そういえば、大社長のツィートで
「「プロレスは首都圏だけではなく地方でやりましょう」「1000人以上の会場でやれば団体として認めます」なんて簡単に言う専門誌の編集長もいるけど… 」というのがあったけど、これこそ固定観念。
あの専門誌の編集長は、今だにハンセンブロディや維新軍の頃の感覚で、プロレスを見ているのは明らか。
過去に浸りたいのなら、レジェンドプロレスに行けばいいのです。
細野晴臣氏は語ります。
「あのね、人は未来が見えなくなると過去にこだわるようになるんだ」
振り返ることが、決して悪い訳ではないけど、意固地になることは、何も徳にはならないのです。
昨日ネットの掲示板で
「DDTはプロレスファンから離れて行く」
「一般大衆には届かないから、プロレスファンに目を向けろ」
と書かれていました。
これは、既存のプロレスオタクには理解できない次元に動き出した証拠。
プロレス固定観念をぶち破ったわけです。
あらゆる意味で、DDTから目を離せません。
みちのくプロレス20周年イヤー記念大会 by megane1964
試合開始直前、リングの上には、←こんなオジサンふたりがいた。見りゃわかるけど、ザ・グレート・サスケと新崎人生、みちのくプロレスのトップ2である。肩甲骨骨折のサスケはともかくとして、あれまあ、人生センセイまで足にギプスを付けている。聞けば、練習中に骨折したのだそうだ。せっかくの20周年大会、なのに「飛車角」抜きの布陣。いやあ、大変ですねえ。
本日は6試合。北側の後ろを締めて少し座席数をコンパクトにした会場は7割程度の入りである。「飛車角」抜きにしては健闘、というべきだろうか。
みちのくの後楽園大会は大体年に2,3回である。冬は「宇宙大戦争」なので、通常興行は1,2回ということになるが、見ていて感心するのは、ちゃんとプロレス興行のスタンダードにのっとったマッチメークをしてくれることだ。この日もそう。詳しい結果はこちらの公式サイト(http://www.michipro.jp/ )を見てほしいが、初心者からコアなファンまで楽しめるカードがそろっているのである。
第一試合の小柳vs郡司は典型的な若手の試合。地味なグラウンドとガツンガツンと音が響いてきそうな打撃を中心にした質実剛健な試合。まあ、ところどころでみちのく=ルチャ・リブレらしい飛び技も入ったが。
第二試合は「楽しいプロレス」。ヤッペーマン1~3号、めんそーれ親父、カツオ、男盛りが、それぞれネタを披露しあう。→こちらは、親父の拝み渡りだが、ここ何か月かでこの姿を何回見ただろうか。まあ、それだけ、親父がいろんな団体で重宝されている、ということの証拠でもあるけどね。
ちなみに第一試合はエルボーから延髄斬りのコンビネーションで郡司を捉えた大柳が腕を極めてギブアップを奪い、第二試合は、ヤッペーマン1、2号が、男盛りのナマケツに圧殺されたのであった。
第三試合は中堅、ジュニア実力派の試合。ラッセ、剣舞の場外ダイブから始まった試合は、タイガー・ジェット・シンのミニミニ版みたいな「サーベルを持ったインド系」のアリが正統派のファイトをし、日向寺がラフファイトをする、という華やかな展開。アリの決め技がキャメルクラッチというのも、何となくオールドスタイル。
で、休憩前の第四試合、南野タケシの復帰試合は、あのバカ兄弟が登場したのであった。
バラモンが登場した、ということは、問答無用、阿鼻叫喚のハードコアマッチなのであって、交通標識やらイスやらラダーやら、いろんなものが飛び出しての大騒ぎ、な試合である。
さすがみちのく、と思ったのは、試合途中から「和桶」が登場したこと。「宇宙戦争」を見たことがある人なら、サスケ先生が和桶をかぶって走り回っている姿はおなじみだよねえ。バラモン兄弟も大日本に定期参戦しているうちに、すっかりアイテムの使い方も手慣れたものになってきて、ホームリングのこちらでも、イスを持ってのチャンバラやら、相手選手の股間にスーツケースを押し付けて、さらにボーリングのボールを転がしてぶつけるやら、おなじみのムーブが次々に飛び出した。
で、最後は本日の主役、タケシがバラモン・ケイをラダーの上にパワーボムで打ち付けてKO。復帰戦はめでたしめでたし、で終わったのだった。
前半4試合は、こんな風にエンタメ色が強かったわけだけど、後半は打って変わってマジモード。そりゃそうだ。セミファイナルはみちのくタッグ選手権、メーンはみちのくジュニア王座戦なのだから。
とはいっても、セミの方は、ウルティモ・ドラゴン&気仙沼ジローラモが王者で、挑戦するのがスペル・デルフィン&シーサー王なのだから、カラフルなルチャ仕様である。ちなみにシーサー王は、けがをした人生の代役。
ジュニアの3人に囲まれると、体重140㎏のシーサーはデカいよねえ。ウルティモ校長も「これは反則だろう」という顔。といっても、正確な表情はマスクの下なので、わかりませんけどね。最後はジローラモがデルフィンを抑え込んで3カウント。それにしても、デルフィンは今や普通にみちのくに上がるようになったのね。2年前、ディック東郷の「みちのくラストマッチ」で後楽園ホールにサプライズ登場したときは、なんか感慨深いものがあったんだけどねえ。
で、メーンが王座戦。トップ2がいないみちのくを支えるのが、フジタjrハヤトである。対戦するのは金本浩二のアニキ。
このふたり、新日本のスーパージュニアとかで何度も闘っていて、「手が合う」ことは十分わかっている。離れて蹴り、近づいて絞め、という基本的なスタイルはよく似ているし、小柄だけどもんのすごく気が強い、というところもよく似ている。バチバチの蹴り合いがみられるんじゃないかなあ。
…と思っていたら、いきなり最初からグラウンドの攻防でした。これはこれで、スタイル的にナットクできるところはあるけどね。目についたのは、アニキの気合いが入っていることで、この人が本気を出すと、リングに「血の匂い」が漂ってくるのである。クールでハードボイルドな、ゴルゴ13のような殺戮マシーンのたたずまい。いきなり出すアンクルホールドに、アニキのホンキが感じられたのだった。
ロープ際のブレンバスターでハヤトを場外に叩き出し、ファルコンアローで床にチャンピオンをたたきつける。リング上に戻ったハヤトの左足に、絡みつくようなアンクルホールドをかけ続ける。何とかハヤトは打撃で流れを取り戻そうと、蹴り10連発で反撃するが、ヒジの打ち合い、蹴りの入れあいを続けるうちに、アニキがペースをつかんでいく。
全日本マットに上がるようになって、往年の輝きを取り戻してアニキだけど、この試合も内容ではチャンピオンを圧倒してたね。みちのくMANIAの間からも、「ハヤト、お前チャンピオンだろ」というヤジが飛ぶぐらい。ハヤトのフロントチョーク、つまりKIDを返して、そのままアンクルホールドに持って行ったあたりは、本当に「血の匂い」の凄味があった。
試合は終盤、顔面への膝蹴り、つまりヘルムを連発したハヤトが何とかペースを取り戻し、最後もヘルムでアニキをフォールしたのだけど、まあ、それは結果でね、本日の主役がどっちか、ってのは、見ていたヒトみんながわかっただろう。
トップ2がいない今、団体を双肩に背負ったハヤトは、プレッシャーだとかなんだとかいろいろあるんだろう。だけど、ハヤトのプロレスは、これまで戦ったレスラーたちの「記憶」も背負っているんだから、それに負けずに頑張ってほしい。じゃないと、「やりすぎぐらいがちょうどいい」のタオルが泣くぜ。大変なのはわかっているけど、みちのくのエースはハヤトしかいないんだから。