ロジックが成り立つ事を確認してから公開しなければ!


 YouTubeで“バランセアントゥールナン”と検索してみたら10件程の解説動画が出て来たので全て見てみたのですが、ものの見事に全員が間違った動きと解説をしていて愕然としました。

 壊滅的なのは“パ”そのものが間違っている事と音取りが無茶苦茶な事です。

 回らない普通の“バランセ”との整合性も無ければ、“バランセ”特有の振り子運動も無く、時々つま先を伸ばして見せただけで、殆どつま先も膝も伸ばさないまま動くとか、一番酷いのは逆足から動き始めている事・・・、つまりロジックが成り立って居なかったのです。



 YouTubeで指導者として『解説します!』と銘打って動画を公開していれば素人(生徒)はおろか、レベルの低い指導者まで『これが正しい』と信じてしまうでしょうから、これは罪深い行為だと思うのですが、皆さんはどう思いますか?


 当事者達は『正しい事を広めなければ!』と云う気持ちで居る事は分かりますが、普段自分が何気なくやっている事が「本当に正しい事なのか?」「それが観客からは美しく見えるのか?」「同系統の“パ”と整合性があるか?(違う動きをしていないか?)」「音と動きが合っているか?」等を多角的に検証して行き、誰が何処からどう見ても破綻の無いロジックが成り立って居なければ、それは正しい事とは認め難く、本来なら曖昧な知識の物は他人に堂々と教える等恥ずかしくて出来ない筈なのです。


 この点でYouTubeにバレエのパの解説動画をアップしている人達は思慮が浅はかな人が多い印象を受けてしまいました。 もっと厳しく言ってしまうと、この様な間違った認識では指導者ではなく生徒レベルです。
 情報を受け取る方も指導者の言う事だからと鵜呑みにせず情報を精査する姿勢が無いといけませんね。
 生徒にも一人一人大きなレベル差がある様に指導者達のレベル差も大きいのですから、全員が一律で正しい事を教えられる訳では無いと云う当たり前の事に気付かなければ間違った事でも無條件で信じてしまいますから。 勿論、自分の知っている智識と違うからといって論理的裏付けも無く指導者の言う事を否定する事も頭の良い人の思考では無いので気を付けて欲しいと思います。




“バランセ”のロジック!


 “バランセアントゥールナン”とは“バランセ(スイング)”をしながら“アントゥールナン(回って行く)”すると云う物ですので、先ずは“バランセ”の型が崩れたら駄目だと云う事は分かりますよね。


 では“バランセ”をする時に普通は最初に身体を上に引き上げてから進行方向側の脚を大きく外に出して腰が放物線を描く様にトンベしますよね。 その後に二の脚を引き寄せてから反対側の動きに繋げて行くのですが、これで腰は8の字を描く様に動くのです。

 これは横への“バランセ”でも前後の“バランセ”でも同じです。

 音取りも足が床に付く瞬間にアクセントが来る様にするので必ず足で3度床を踏んでアクセントを取るから“バランセ”は三拍子の動きなのです。(※三歩目をハッキリと踏まない事もあります)




 YouTubeでの“バランセアントゥールナン”解説の最大の間違いは『身体を引き上げて最初の脚を大きく出す!』が出来ていない所です。 YouTubeでは大きく出すどころか出した脚を全員が引っ込めていたのです。 その為に本当ならカウントで1と2の間に来る筈の二の脚の“タンデュ”がズレて1の位置に来てしまい、その後は“パ”も音も全てが外れてしまうと云う事に。

 身体の向きを変えるタイミングも最初の三歩では身体の向きは表向きのままで、次の三歩の時に一歩ずつ90度、90度.180度と向きを変えて行きます。
 向きを変える時も“エカルテ”、“クロワゼデリエール”、“クロワゼドゥヴァンのトンベ”と一歩ずつ身体の向きに気を付けて観客からは常に美しい形が見える様に意識します。 勿論踵が後に引けてウチマタに見えない様に意識する事も当たり前です。

 またトンベの後に“バットマンタンデュ”をするのは単なる一形態で、そこが“クドゥピエ”であっても“バランセアントゥールナン”は成り立ちます。

 “バランセ”とは基本的に振り子運動をする物であり、往復する時は腰が8の字を描きます。 
 しかし“アントゥールナン”は腰が波打つ様に進んで行きます。 これは8の字を展開して見れば分かります。
 『∞』が展開されると腰の動きは『~~』上下上下となります。
 これら“バランセ”のロジックに矛盾しない様に“バランセアントゥールナン”は練習して行く事が大切なのです。

 最後にプロや指導者の方に言いたいのですが、どんな“パ”であろうと習ったままをやるだけではその“パ”は洗練されて行きませんし、他人に教える事は出来ません。 必ず自分自身で『より美しく、よりハッキリと』動ける様に考えてダブルスタンダードにならない様に気を付けて下さい。 そんな安易には正しい踊り方は身に付かないのですから。







 5月25日㈯に『めるもバレエスタジオ』で私の特別講習会が開催されます。 この機会に是非ご参加下さい。 遠方の方も会員登録の上でライブ配信にご参加頂けます。 今回も質問タイムがありますのでお楽しみに(^_-)-☆
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『魔法はイメージの世界だよ!』


 先日放送していたアニメ『葬送のフリーレン』の中で度々出て来た台詞がこの『魔法はイメージの世界だよ!』です。



 作中では自分でイメージ出来ない魔法は使えないそうなのですが、この台詞を聞いた時に私の脳内で鳴り響いた言葉が『バレエはイメージの世界だよ(^_-)-☆』でした。




 基礎的な動きにしろ、超難関なテクニックにしろ出来るイメージの無い動きが実現不可能なのはバレエでも同じ事なのです。

 細かい身体のコントロールとかも予め脳内でイメージして、各部の動きの連携やタイミング等が合っているか体幹を崩す事が無いかを動く前に脳内でチェックしてみるのです。 脳内でそれが上手く行けば次は実践です。

 実際に動いてみて、イメージ通りに動けるか、または動ける様に訓練をし、もしイメージが間違っていれば修正して、またその通りに動いてみるといった事の積み重ねが同じ事を反復して練習する事となり動きが洗練されて行き美しい踊りへと繋がって行くのです。


 何のイメージも無いまま取りあえず動いても、正しい動き方を再現する事は出来ませんし、毎回違う身体の使い方をしていては動きが安定しませんし筋肉も縮こまって太く短い身体へと育ってしまいます。


 脳内で正しい動きをイメージ出来るか否かが正しく踊れるかどうかを左右していると言っても過言ではありません。

 ですから考えるのが苦手とか同じ事をコツコツやるのは飽きる、とにかく何も考えずに動くのが好きといった人は安定して踊る事が出来ません。
 やはり身体の動きをイメージ出来る明晰な頭脳が無いと駄目なのです。


 ヴァリアシオン等を練習する時は必ず最初から最後まで止まらずに踊り切る事をイメージする事、特にパとパの繋ぎが上手く出来るかが重要なので、パが上手く繋がる様な動きをイメージ出来る様に脳内訓練をしましょうね。







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運動神経ではなく頭脳で踊る!


 バレrinaさんのブログからの引用ですが、『バレリーナに運動神経は必要ない!』とは本当にその通りだと思います。

 私個人としても球技や道具を使った競技全般は苦手でしたし、自転車を漕ぐのはバレエではあまり使わない筋肉を使うので直ぐに疲れてしまいます。

 知り合いには自転車に乗っていて上手く運転出来ずに側溝に落ちたと云う人も居ますが、そんな人でもバレエでは上手なんですよね。 そして、そう云う話は枚挙に暇がありません。


 逆に体育は得意で運動神経は抜群なのにバレエでは全然上手くならない人も結構居るんです。 テクニックは一通りこなしても目茶苦茶なのは上手いとは言えないですしね、


 また一般の人からは『バレエをやっている=身体が柔らかい、運動神経が良い』と云う様な印象らしいですが、我々からしたら全然当てはまりませんよね(笑)


 だってバレエをやっても身体は柔らかくはなりませんし運動神経も良くなりません。 バレエを踊る為に努力して身体をほぐしているから柔らかいのであって生まれつき柔らかい訳ではないのです。 もし努力しても柔らかくならないと言うなら、それは単に努力が全然足りないだけです。 脚を伸ばすとか美しく動くとかも運動神経とは関係がなく意識して気を付けると云う努力です。


 例えば跳躍では高く跳ぶ事や沢山回転する、脚を広げる事が目的ではなく、空中での美しいポジションを見せたり、決められたポジションへ音もなく着地する事を目指しています。 スポーツならば着地で大きな音が鳴っても気にされませんがバレエでは着地で地響きを立てる等は言語道断ですから、その辺りはスポーツとバレエの大きな違いですね。



 私はバレエが上手になる為に必要なのは明晰な頭脳と根気強さと素直さだけだと思います。

 明晰な頭脳と根気があれば何か出来ない事があっても何が足りないのか、何をすべきなのかを考えて必要な事を自ら行う事が出来ます。 柔軟性が足りなければ必要なストレッチを十分な柔軟性が得られるまでするでしょうし、筋力不足なら確りと筋肉を引き伸ばして使う訓練を十分な筋力が付くまで毎日でも続けられるでしょう。 素直であれば新しい事を習った時に、例えそれが今までやって来た事と正反対だったとしても直ぐに受け入れて自分の物とする事が出来ます。

 これとは逆にバレエの基礎理論をわかり易く説明して上げても頭で理解出来ない様だと、どれだけ運動神経が良かろうと上手く踊れる様にはなりません。



 だから正しく美しく踊るのに運動神経より頭の良さの方が大事なんです。 頭が良ければ無駄な事に時間は割かずに必要な事だけ努力します。 だから早く上達するし目標を目指して頑張るのでコツコツした努力も苦にならないのです。 根性が必要となれば根性がを出すし、筋トレが必要ならば筋トレする、食生活を改善する必要があるなら、それを確実にやると云うのは頭が良ければ計画を立てて苦も無く出来る筈です。
 我武者羅に猪突猛進せずに確りと考えて聡明にバレエを上達して行きましょう。








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基礎とメソードは別物!


 『ロジック』(論理、法則、系統だった筋道)

 立つ、歩く、跳ぶ、回る、静止する、踊りでもスポーツでも何をするにしてもロジックがありますが、何故ロジックが必要なのでしょうか?





 それは毎回同じ動きを確実に再現させる為です。





 例えば“ピルエット”を一回転、二回転、三回転、四回転と自ら回転数と回転速度をコントロール出来るのはロジックに則って身体を動かした結果なのです。


 バレエのロジックに則って身体を動かす為の方法が“アンドゥオール”や“引き上げ”、関節の“プリエ”等であり、バレエの基礎とは身体を効率的に動かす為のロジックに従って作られたと言っても過言では無いでしょう。

 ですから基礎とは運動音痴の人でも、それに従えばバレエが踊れる様になる道具なのです。


 よく混同されますが基礎とメソードは意味が異なっていて、基礎とは全てのメソードに共通なモノで、メソードとは踊りの表現の仕方なのです。 つまり振付の土台にはメソードがあり、そのメソードの土台が基礎なのです。 また異なるメソードで踊ろうとしても、それは元の振付とは違う物になってしまいます。 だからヴァリアシオンはメソードをごちゃ混ぜにせずに正しく学び身に付ける必要があると言われるのです。


 しかしメソードの土台である基礎が確りと身に付いて居れば異なるメソードでも少しメソードを学べは対応が出来るのですが、最近はメソードと基礎の違いを認識せずに学んだダンサー、指導者が多く基礎レベルが低いまま活動している為にヴァリアシオン指導等で目茶苦茶なアレンジが起こる事が多くなっています。





骨盤の移動は難しい!


 身体を動かす際はロジカルな考え方をしなければ、直ぐに体幹は崩れてしまいます。


 例えば第5ポジションから前に“バットマンタンデュ”して第4ポジションに移行する時の事を考えてみましょう。


 第5ポジションから第4ポジションへの移行で問題となるのは骨盤の崩れです。 骨盤が崩れとは、骨盤の前後傾と骨盤の左右が対称位置から外れる事の二点です。

 骨盤の崩れが起きない様に動くには以下の通りの意識で行います。




 『先ず前後にバットマンタンデュ”をする時点で出す脚に引き摺られて骨盤の崩れは起こります。 骨盤が脚に引っ張られない様に、脚を動かす時は踵と小転子が引っ張り合って居て、骨盤とは切り離して考えなければなりません。

 次に骨盤の移動では軸脚側の小転子が動脚側の踵と一緒に移動する事で骨盤の左右位置が対称のままで骨盤を移動させる事が出来ます。

 最後に骨盤は常に垂直を保たねばなりませんが、この時に腸腰筋群等の柔軟性の不足から骨盤が後ろ脚に引っ張られて前傾が起きやすいので坐骨を前に押し出す様なコントロールで腸腰筋群を引き伸ばして垂直を保つ必要があります。

 更に両脚は確りと張って膝関節等に緩みが出ない様にアンドゥオールを意識し、全身も引き伸ばし(引き上げ)ながら行わなければなりません。』




 骨盤を移動させる(ポジションチェンジ)とはこれだけの動作を意識しながら行うのです。 この全ての動きを完璧に、それも一瞬の内に行うのは至難の業ですよね? 実際に私でも物凄く慎重に骨盤の移動を行っていますし時間を掛けています。 ストレッチ等のウォームアップ無しにこれを行う事も私には不可能です。

 全身を引っ張り続けているので力も必要ですし意識を集中して疲れます。


 さて、これだけの動作をしていながら、その後に脚を踏み変える事が可能でしょうか? と云うか必要ですか? それが美しいのでしょうか?


 本当に基礎通りのロジカルな動きをしたら踏み変えは絶対に不可能なのです。



 最近ブログで話題に上がった“踏み変え問題”ですが、良い悪い、正しい誤っていると云う問題ではなく実際問題として踏み変えを行う事は

  不可能なのです。



 つまり両脚の踏み変えを教えている指導者はバレエの基礎を理解しておらず、指導としてはまだまだ半人前と言えます。

 ここまで言い切ると反発を受けそうですが、そう云う方は踏み変えを行わなければならないロジックを説明すれば良いのです。 因みに『バーからの距離が・・・』と云うのは合理的な理由にはなりません。

 それはバーレッスンとは自分の脚で自立して行う物でバーに頼らなければ立てない様なレッスンではバーレッスンとは呼べないからです。 またセンターでやらない様な事はバーレッスンでもやっては駄目なのです。



 踏み変えについて合理的なロジックがある方はコメント下さい。 皆さんと検証しますので(^_-)-☆







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全体像を把握する事が大事!


 私が生徒に与える注意と正反対の注意をする指導者はとても多いです。

 私と正反対の注意をすると云う事は私とは異なる論理の下に問題点を導き出して注意をしているのでしょう。

 しかし本来は同じ動きを教えているのですから、与える注意もほぼ同じになる筈ですが、なぜ正反対になってしまうのでしょうか?






それは動きの全体像を見ていないからです!




 たとえば回転系なら回転直前からしか見ておらず、最初の第5ポジションからの一連の動きを全て見ていない、跳躍系ならつま先は見ていても上体や腕のポジションは見ていない、移動系なら片脚しか見て居らず反対脚が伸びて居なくとも気付かない、“バットマン”で脚を伸ばし切る所は見ていても、それを第5ポジションに戻す所は見ていない、、動脚は見ていても軸脚は見ていない、つま先や甲が伸びているかは気にしても脚全体の筋肉が引き伸ばされて居るかは見えていない等です。

 部分的な事は素人でも見えるし、そこが問題の現象である事は理解出来るのですが動きの全体像を把握して居なければ、どこに気を付けたら、その現象が解決するのかは理解出来ません。


 例えば、後ろに“バットマン”をする時に肩も後ろに動かしてしまう生徒が多いのですが、『肩が後ろに動いた』と云う現象に対して『肩を前に出して!』と云う注意は間違いなのです。 これは肩や腕しか見えていない為に『何故、肩が動いたのか?』と云う現象が起こった理由が理解出来ていないのです。

 肩や骨盤が動いてしまう理由は唯一つ、横への張りの意識が足りないからです。 肩と腕の横方向への張り、骨盤を横方向へ張る意識があれば、脚を何処へ動かそうとも肩も骨盤も揺らぐ事はありません。

 しかし起こった現象の逆方向の動きをすると横方向への張りの意識は足りないままなので、今度は逆方向への崩れになってしまうのです。

 動きの全体像を見て何が起きたかを把握して居れば、どの様な対処をするのが正解なのかが自ずと解る筈なのです。

 身体が引き伸ばされて居ないのに『バランスを探して!』等と注意するのもバランスが取れる条件を無視した注意で全くのナンセンス(無意味)なのです。





解剖学は補足の立場!


 踊りは先ず俯瞰して全体像を把握し、その全体像に沿って必用な部分を直す事が最初にあり、その後に補足として細かい部分の直しが入ります。
 逆に細かい部分から直しを入れて行くと最終的にあちこちで矛盾が生じて全体がまとまらなくなり、目的の全体像が出来上がらなくなるのです。

 解剖学等は、そう云う細かい部分を分析する学問なので、それをメインにして教えると上記の様に矛盾が生じてしまうので良くありません。
 あくまでも全体像を補足する存在として利用しなければ、解剖学を学んだ事で間違った教え方、踊り方をしてしまいます。
 最近は解剖学が間違った使い方をされる事が度々見受けられるので、本当に危惧しています。


 正しく踊り、指導する為にも全体を隅々まで全て見通せる様に集中力を高めて毎回のレッスンに臨みましょう。







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甲出しは脚を太くする!


 『甲を出して、つま先を綺麗に伸ばしたい!』


 本当にこう思うのでしたら、つま先や甲を無理矢理押して矯正したり力を入れて伸ばそうと意識するのは今日から止めましょう。

 その意識はつま先を丸めて膝が緩みやすくなり、その結果外腿の筋肉が大きくなり脚が太くなる筋肉太りを起こします。


 所謂『甲を出し訓練』と云うのはデメリットばかりでメリットが殆どありません。 何故ならつま先を伸ばす事も膝や脚を伸ばす事も脚(足)の裏側を引き伸ばして行く事なのですが、足を上から押すと云う訓練は表側の意識を強くして裏側を縮めてしまい、裏側を伸ばすと云う正しい方法を出来なくするからです。


 甲の出ている足は確かに美しく見えますが、それも全身の引き伸ばしの先にあるから美しく見えるのであって、足先だけ甲が出ていても脚や身体の筋肉が正しく引き伸ばされて居なければ逆に美しさを損なう事だってよくあります。
 『甲を出したい、つま先を綺麗に伸ばしたい』と願うのでしたら足先でなく、体幹からの引き伸ばしを意識して、特に骨盤辺りからつま先までが出来るだけ長く引き伸ばされる様にして脚の一体感を感じる様に訓練しましょう。




『無理を通せば道理が引っ込む』


 甲の出具合や開脚や前屈、脚を上げられる高さ等は訓練したとしても個体差が大きく、訓練しても物凄く甲が出る事はありません。 自分の持てる能力の最大値を出せるだけです。 能力の最大値を超えて無理矢理伸ばそうとすると故障したり脚が曲がったりして結果的に脚はより伸びなくなります。

 ですからレッスンでもストレッチでも自分の最大値まで使い続ける事を頑張れば良いのです。

 『無理を通せば道理が引っ込む』と云う諺の通り無理な理論を押し通してはいけません。 それは正しいバレエから遠ざかる事に繋がる事になります。

 綺麗なつま先や甲と云うのは体幹から膝までの意識で殆どが決まるので、足先の事ばかりに意識が囚われない様に気を付けましょう。






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バランスを取り易くする条件とは?!


 『バランスを取る』事がどの様な事なのか殆どのダンサーが、プロでさえも勘違いしています。 勿論多くの指導者でも誤った認識で指導していると思います。

 先ずは『バランスを取る』と云う事がどの様な事を指して居るのかが正しく理解出来ていなければ正しい理論など理解出来よう筈も無いので、その事から話して行きたいと思います。




 皆さんは子供の頃に手のひらや指先にどれだけ長い時間棒を立たせて置けるかと云う遊びをした事はありませんか? 手を上手く動かして棒が倒れない様にバランスを調節しながら誰が一番長く箒やバット等を倒さずに居られたかを競って遊んだ覚えは私にもあります。
 しかしどの様な棒でも立たせられる訳ではありませんよね。
 ①ゴム製など柔らかくてゆらゆら揺れてしまう様な物
 ②長さが短過ぎる物
 ③棒の重心位置が下方にある物
 ④軽過ぎる棒等は手の上で立たせる事が非常に難しいです。


 ですから上記の逆が手の上で立たせ易い棒と云う事になります。
 それは、
 ①剛性が高く確りと形を保っている事
 ②ある程度の長さがある事(より長い方が良い)
 ③高い位置に重心がある事(より高い位置が良い)
 ④ある程度の自重がある事
 以上が手の上で立たせ易い物となります。


 実は身体を上記の棒の様にする事がバランスが取り易い身体の条件なのです。




“引き上げ”が出来ていれば全てがOK!


 では、それを踏まえた上で身体をバランスが取り易い条件に変えて上げましょう!

 先ず④の自重に関しては風船の様に体重の軽い人は居ないので考えなくとも良いです。
 ③は頭が元々重いので初めから重心位置は高いのですが、もっと高い位置に頭を上げる事で更に重心位置を上げる事が出来て条件が良くなります。
 頭が高い位置に上がると身体が引き伸ばされて筋肉が張り身体が歪み難くなるので自然と①と②の条件が良くなって行きます。

 つまり正しく“引き上げ”が出来ていれば身体は既にバランスが取り易い状態になっているのです。 それでも中々バランスが取れないと云うのは“引き上げ”をやっている積りでも身体が伸び切らずに居て、その為に歪みが出ていると云う事に他なりません。

 “パッセ”でバランスを取る時に瞬時にバーを離して自立出来ない人は、それが海外の著名な国立バレエ団の団員であったとしても正しく“引き上げ”が出来ていないのです。




バレエレッスンとは崩さない様に動く!


 『バランスを探して!』と云う注意は良くない指導の典型と言えます。

 この注意は「腰や頭の位置を動かしてバランスを探る」と云う事ですが、これは身体が緩む事を意味しています。 正しい位置の周囲で身体が動く訳ですからゆらゆら揺れていると言っても良いかも知れません。

 つまり前項で上げた①の「身体の形を保つ」が崩れてしまうのです。 そして長さも最大ではありませんし、重心も最高の高さにありませんから②③の条件も悪化します。

 この様な状態でも極一部の感の良いダンサーならバランスを探すのに時間は掛かりますが普通に立ててしまいます。 しかし、この様なバランスの取り方は美しく見えないのでバレエ的には嫌われるのです。





 バレエでは『バランスは保持し続ける物』で探す物ではありません。 ですから最初から身体を正しく引き伸ばしてバランスを取ったら、それを崩さない様に動く訓練を積むのです。 それを本当のバレエのレッスンと言います。







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エクスプレッションとは?


 顔と腕の動かし方、呼吸、身体の向き等、踊る時に気にしなければならない事は沢山あります。 しかし、やり過ぎてしまうと踊りでは最も大切な「エクスプレッション」が失われる事になります。


 身体条件が良く基礎も出来てテクニックにも秀でているダンサーでも「エクスプレッション」に欠けると魅力、存在感共にエクスプレッションのある下手なダンサーに劣る事もあるのです。


 では「エクスプレッション」とは何なのでしょうか? 踊りの世界で使われる「エクスプレッション」は日本語で一言で表すのは難しいのですが「全身での表現」とでも言うべき物で、顔の表情だけでなく、呼吸での表現、背中での表現等、一概にこれだとは言い切れない程広い意味での表現になります。

 ※参考にこちらを御覧頂けると良いかと↓


エクスプレッションの無い踊りは魅力ゼロ!


 何かを踊るのに表現無しの踊りはあり得ません。 もし無表情で踊れと指示されても、そこには振付家の意図があり、無表情で表現したい物があるからなのですから、ダンサーは顔は無表情のままでもその他の部分ではエクスプレッションを出す事が要求されます。

 よく「笑顔で踊って!」と注意される事があるかと思いますが、あれもエクスプレッションを見せて欲しいが為の注意なのです。 ただ笑えばエクスプレッションが出るかと云うとそんな事はありませんが、エクスプレッションに欠ける踊り手に少しでも表現させる為の苦肉の策と言えます。


 鏡ばかり見て踊っているダンサーは自分がどう見えているかばかりに意識が偏り「自分が表現したい物は何なのか?」と云う事に意識が行かずにエクスプレッションに欠ける踊りをし勝ちになります。 これはダンサーとしては致命的と言うべき欠陥で、舞台上でこれ程つまらない踊りは無いと云う位見る価値の無い物になってしまいます。 ですからスタジオには必ず鏡があるにも関わらず多く指導者が「鏡を見て踊るな!」と注意をするのです。





考え、解釈して、表現する!


 踊りの上手下手に関係なくダンサーの踊りに目が釘付けになる事がありませんか?

 「基礎的には粗さが目立っても何か惹かれる物を感じて好きになる、理由なんて無い、ただ何となく好き!」

 こう云うのはそのダンサーのエクスプレッションが素晴らしくその世界観に引き込まれてしまったからかも知れません。 「情熱的な踊り」と表現しても良いかも知れませんね。 どんなに完璧な踊りでもエクスプレッションに欠けると急に魅力が失せて行きます。

 しかし無闇矢鱈に表現をすれば良い訳ではありません。 余りにも自分本位な表現は観客から押し付けがましく感じられて嫌われてしまいます。 そう云うのはエクスプレッションではなくただの目立ちたがりで観客は辟易してしまいます。


 エクスプレッションを身に付ける為には的確な指導を受ける事は勿論ですが、結局は自分で何を表現したいのかを考えて、それが観客に伝わる様に練習するしかありません。 でも観客からどう見えるかは自身では分からない為に指導してくれる者が必要です。 だからバレエ団で踊っていると云うだけで「もうプロだから指導の必要はない」と考えては駄目なのです。 ダンサーの事をより良くしたいと思っている指導者程厳しい注意をしますが、それを否定的に捉えて反抗するのでは伸び代が消されてしまいますから。



 何歳になろうと独り善がりの踊りではなく本当に観客に喜ばれる踊りが出来る様に慢心せずに頑張りたいですね。








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貴方はステアリングホイールを動かしますか?それともタイヤを直接動かそうとしますか?


 車や自転車等を運転していて車体の方向を変えたい(曲がりたい)時に、貴方ならどの様な動作をしますか?



 ・ステアリングホイールを手で回しますか?


 ・タイヤの方向を直接手で変えようとしますか?



 勿論全員が「ステアリングを手で回す」と答えるでしょう。 その位タイヤを直接手で動かして車体の向きを変えようとする事はかなりの力技であり現実的では無いと皆分かり切っているのです。

 でもどちらの方法でタイヤの向きが変わっても結果として車体の向きが変わると云う事には変わりがないので、結果だけを見るとどちらを選択してもいい様に感じてしまいますが、誰一人としてタイヤを直接動かそうと云う人は居ませんよね。

 だってステアリングを回せばタイヤは楽に動いてくれる事を皆知っているから。



 しかしバレエ教育の場では、タイヤを直接動かす様な不条理な方法で身体を動かせと指示する指導者が多いのです。


 例えば「内転筋を使って脚をアンドゥオールして!」と云う様な指導法です。 個々の筋肉に直接働き掛ける様な指導はタイヤを直接手で動かそうとする事と等しく荒唐無稽でしかありません。






視点が違う!


 何故この様な荒唐無稽な、方法論がまかり通ってしまうのでしょうか?

 それは動きを見る視点が異なるからです。


 異なる視点とは、例えば動く車を「運転席から見る」か「車外から眺めている」かの違いになります。


 運転席(車内)からの視点では、『ステアリングを回した結果として車体の向きが変わった』となりますが、車外からの視点だと『タイヤの向きが変わった結果車体の向きが変わった』と見えるのです。 同じ事象でも車内と車外で捉え方は大きく変わります。


 言うまでもなく車外からの視点しか持っていない人は車体の向きを変える為には「タイヤの向きを変えれば良い」と考えてしまいます。 何故ならステアリング操作が見えていないから外から見える事象しか分からないからなのです。


 逆に運転席からの視点を持っている人はタイヤの動きは見えませんが、ステアリング操作したら車体の向きを変わると知っていてステアリングを操作しています。 でも動きは見えずとも結果的にタイヤが動いて車体の向きを変えています。




 何故この様な話を長々としているのかと云うと身体のコントロールもこれと同じだからです。


 「ステアリングホイール=意識」「タイヤ=筋肉」「車体の動き=体の動き」と当てはめて考えてみて下さい。


 体を動かすには筋肉をコントロールする必要がありますが、筋肉そのものに直接働き掛けてもタイヤを直接動かす様な物で余計な力ばかり使うのです。 それどころか自分の意図した動きとは正反対の方向に筋肉が働いてしまう事が殆どです。


 しかし正しい意識を持って体を動かそうとすると筋肉の動きは認知していなくとも筋肉は正しい使い方になるのです。


 凄く矛盾している様ですが筋肉は使おうと意識すればする程正しく使えなくなります。 それは筋肉を正しく使う為には先ず正しく使える条件を整えてからでなければ思う様には動いてくれないからです。

 ですから解剖学で説明している様な筋肉の使い方と云うのは正しい意識で動いている身体の状態を説明したに過ぎず、筋肉の動かし方を教えてくれている訳ではありません。


 これが解剖学の知識がそのまま指導に使える訳では無いと云う理由になります。 それに解剖学で説明されている事柄自体がバレエ的には誤っている事もしばしば見受けられるので全てを鵜呑みにする事にも高いリスクがあると承知して置いて下さい。






指導するとは?


 踊りを教えるとはタイヤ(筋肉)そのものの動きを説明する事ではなく、ステアリングホイール(体を動かす意識)の操作法を生徒が発見出来る様に導く事です。


 視点が誤っているとその視点からはある程度の論理が成り立つので、誤った方法論が正しいと云う結論に達してしまい正しい指導が出来なくなるので気をつけたいですね。


 でも誤った方法論と云うのは必ず何処かで整合性が取れずに論理破綻していますので確りと見極めればそれが間違っている事は見破る事が出来ますので生徒側も習った事を直ぐに鵜呑みにせず論理を理解しようと努めて下さい。





 





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足を捻るのは間違い!


 先日ブロ友さんの記事に


『土踏まず辺りから足を捻る様にアンドゥオールしたら踵が前に出て綺麗に見える様になるのでは?』


と云う物がありました。 ↓




 鎌足を直す為に考えられた様ですが、実はこの方法だと鎌足が酷くなります。 この様な考え方をしてしまう人は少なくないと思いますが、何故駄目なのかを解り易く説明したいと思います。




形を変えて考えてみましょう!


 足を伸ばした状態だと捻りが入っても余り違和感が無いかも知れませんが、その足をフレックスしたらどうなるのかを想像してみましょう。


 土踏まず辺からアンドゥオールすると云う事は小指側が親指側より押されると云う事ですよね。 これをフレックスしてアテールに立とうとすると小指から踵までが床に触れて親指側は浮いてしまう事になります。


 ↑ これって完全に鎌足ですよね!

 しかもこの状態で立ったら捻挫しそうですよね? そして脚の外側の筋肉が緊張して全体がO脚方向に働いてしまいます。 これが膝関節と股関節の軟骨に良い訳はありません。



 また同じ様な足の捻りに通称「フィッシュ」と言われている物があります。 “アラベスク”等で足首を緩めてつま先を上に上げてアンドゥオールに見せ掛ける物ですが、これは先程の「土踏まず辺から捻る」のと逆の作用がある動きです。


 こちらは親指側を小指側より強く押す状態なので、フレックスすると小指側が浮いてしまいます。


 これは所謂「土踏まずが落ちた」状態で、先程とは逆にX脚側に筋肉が働きます。

 しかしX脚で喜んではいけません。 これは医学的なX脚ですからぜったいにダメな奴の方ですからね。

 


X脚とO脚の参考画像



 バレrinaさんのロシア人ダンサーの旦那さんも『足は真っ直ぐに伸ばす以外はダメ!』と仰っていたそうですが、全くその通りで少しでも足に捻りが入ったら「鎌足」や「土踏まずが落ちる」事に直結していて、それは行く行くは怪我や体の歪みになって行くので絶対にやっては駄目なのです。


 “脚のアンドゥオール”は股関節の位置で大腿骨だけが外旋すれば、その先にある全てが回るので、部分毎に外旋を考える必要はありません。 逆に足先等で誤魔化そうとすればする程に基礎とは正反対の方向に行ってしまうのです。 日本では多くの指導者がこの様な間違った方向での指導を行っている場合が多く生徒側も気を付けなければ怪我をするので、間違った考え方でレッスンしない様にして下さい。







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