おはようございます。
「眠る男」終演から早四日(!)ブログやメールで舞台の感想を頂いて、その返信をする度に「眠る男」では、いち演者として本当に恵まれた中でお芝居をさせていただいたんだと痛感する。
楽隊さん、踊り手さん、役者陣の先輩、後輩、同い年、技術さん、制作さん、そして演出の吉野さん。
全ての人が「いいもののために」という方向に全力だったのだと終演してからの日々で感じている。
舞踏家である点滅さんが「いい現場だったよね」とおっしゃられていた真意が段々と分かって来ている。
「いいものを」って思うのはどの舞台でも当たり前なんだけど、
稽古スケジュールがタイトだったり予算が…とかどうしようもない後輩がいたりとか、演出家さんが忙しいから、とか終演した後にふと考えると何かしらの妥協点をそれぞれが無意識に見つけてしまっていたことが多いように思う。
でも今回は、大先輩である服部さんが一番台本を読み、演出の吉野さんが体力と精神力をギリギリまで削って演者に対し、主役の井上雄介さんが大先輩と向き合うために必死に役を担い、衣装美術さんが体調を押して気配りをし、さらに妊婦さんが無茶をしてまで作品に没頭し…
そんなのを見てる中で若手が手を抜けようか!
前を走る人達に追いつこうとするだけでどんどん作品に対して向かっていけた。
「それぞれの体が赤布で繋がってます。だからそれぞれがそれぞれを担ってください。全員が全シーンを担ってください。」
と言う吉野さんの言葉があったから、全員の作品に対する必死さを未熟な頭でも気付けたと思っています。
その中で役をもらい、シーンをもらい、相手役に助けられながらも演じさせてもらえたことは本当に幸せなことだったなと思う。
そしてもっと演出に応えられる役者になりたいと思った。
自分が先頭を走れる人間になりたいと思った。
なんだか「眠る男ショック」がまだ抜けないなー…
次に向かわなければ。
かなりの回数が満席に近い状態で、札止めになった回もあったみたいで。
今朝方まで打ち上げをし、まだ2時間も寝てないのに目が覚めて「
そして終わったことが寂しくて眠れない。
そうゆう作品でした。
このまま「眠らない男」にならないようにしよう。
…でも今日は今日とてオーディション行ってきました。
「眠らない男」となるために。
「やったことをない事をする」
ってのんびりしてると多分ほとんどなくて、(実は、本当は、毎日が過ごしたことのない日、なんだけど)すごく貴重な事なんだと思う。
舞台に出演したことがある→YES
岸田理生作品を演じたことがある→YES
舞踏やダンサーさんと一緒に舞台に出演したことがある→YES
生演奏での舞台を経験したことがある→YES
これだってほんの一年前にはほとんどがNOだったんだけど。
今回の「眠る男」は多分これからも経験することのない場所になるんじゃないかと思う。
それは経験値とか台本の内容はさて置き、物理的に。
出演舞台を宣伝する時に「面白いと思う!」って言うのは勇気がいるし面白さには個人差があるしって思うけど、今回の舞台は「多分観たことないような事すると思う!」ってはっきり言えるからすごい。
状況劇場や天井桟敷なんかは毎回の公演がそうだったんだろうな…(・ω・`)
でもすごく変わってます。
今回の舞台。舞台?
そして筋肉痛です。
(たぶん)観たことないものが観たい方は是非。
でも絶対初めて!そうはっきりも言い切れないところも、舞台の凄さなんだよな。
怖いな。舞台。
リオフェス2014参加作品
吉野翼企画『眠る男』
原作◎岸田理生
構成・演出◎吉野翼
「岸田理生の幻の処女作『眠る男』を渾身の舞台化。演劇、ダンス、舞踏、生演奏で紡がれる、岸田理生の原点へと回帰する風刺劇。私の瞼を閉じる者は父。眠るためには父を探せ。父は観客席に…居る。」
日時◎全9回公演
6月
11日(水)19:30
12日(木)14:00&19:30
13日(金)14:00&19:30
14日(土)14:00&19:30
15日(日) 13:00&18:30
開場は各開演の30分前となります。
チケット料金◎
(日時指定自由席)
前売り・当日 3,000円
学生割引 2,500円(学生証提示)
会場◎
PerformingGallery&Cafe 絵空箱
(有楽町線江戸川橋駅1b出口徒歩2分・東西線神楽坂駅2番出口徒歩9分)
Tel&Fax
03-6265-0825
URL http://www.esorabako.com/
◆出演
服部吉次 (劇団 黒テント)・井上雄介 ・鋤柄拓也 (メインキャストプロダクション)・坂本大河・都築星耶(劇団 三日月湊)・田島謙太(猫舌コンプレックス)・升望(プロ・フィット お茶の間ゴブリン)・澤木柚季江・田中良・楓ありす・石井舞・佐々木美綺・森田彩乃・椿屋蜂(32号室)・羽瀬文野(劇団ポストマン)・点滅・太田翔子(UNFIGURE)・山羽真実子(ソらと晴れ女)
◆生演奏
那須寛史・那須健二(QooSue)・西出真理
10日目の升ノ山関の取り組みはすごかった。
升ノ山関は心臓疾患の為に長い相撲が取れない。他の力士よりも軽い稽古しかできない。スタミナは普通の人以下と診断された。
それでも幕の内にいる。
十両になれずに辞めていく力士がたくさん居る厳しい角界で。
当然どの力士も升ノ山の疾患は知っているだろう。
過酷な星の取り合いの中でその弱点を責めない余裕はないだろう。
立会い、升ノ山の強烈なぶちかましからの押しに体格で劣る双大竜は横に横に回り勢いをいなし引き落とそうとする。それでも自分の、文字通りの生命線である「速攻」「押し相撲」を変えない升ノ山。
パワーと勢いだけでなく、足も良く動いている。食らいついて行く。
何度も何度も土俵際に追い詰められながらも、その度に双大竜も絶妙の間で巧みに体を入れ替える。
10秒経ち、20秒経ち、長い相撲になる。
チアノーゼで真っ赤を通り越して真紫になった升ノ山の顔。それでも猛然と押す。
少し勢いが弱まったのを見逃さない双大竜はいなす作戦から四つ相撲へと切り替えようとする。
胸を張り升ノ山のぶちかましを受けいい形でまわしをとりにいく双大竜。
いい形でまわしを取られた刹那、ほとんど意識も飛んでいるであろう升ノ山は両腕で双大竜の左下手を抱え力任せに投げた。
崩しも体重の入れ替えもないブサイクな小手投げだった。
客席からすごい歓声が浴びせられた。
取り組みを終えた升ノ山は天を仰ぎ明らかに過呼吸気味な息遣い。
真紫色の顔で膝に手をつき息も絶え絶えに喘いでいた。
めちゃくちゃかっこよかった。