新稀少堂日記 -941ページ目

第25回「ハサミ男」(ミステリー)

 第25回は、「ハサミ男」(ミステリー)です。最近、女子高生殺害事件が連続して、発生しました。残念ながら、いずれの事件も、未だ未解決です。このハサミ男も、女子高生殺人事件を扱っています・・・・。


 かって、アガサ・クリスティは「アクロイド殺し」で、掟破りの叙述ミステリーを書きました。ミステリー・ファンには、評判が悪いと思います。しかし、クリスティは多くのトリックを遺してくれました。


 「ハサミ男」では、犯人は一人称で語ります。ある意味で、犯人は最初から分かっています。捜査陣につきましては、三人称による叙述です。章割りにつきましては、犯人サイドは、「××」と数字で表記され、捜査陣につきましては、「第××章」と印されています。


 これが、アクロイド殺しとは一味違うトリックを構成しています。そして、「18」は、最大のトリックを駆使しています。私は、.ルール違反と考えますが・・・・。そのため、この章につきましては、ラストで、詳細に引用されます。


 犯人は、多重人格者です。「医師」という別のキャラクターが存在します。犯人のキャラクターがリアルなのです。こういう事件が、実際起こりましても不思議ではありません。ミステリーではなく、一般的なクライム・ノベルとして書きましたら、大変な傑作になったと思います。


 それでも、この作品は記憶に残るミステリーとなっています。未読の方には、おすすめミステリーです。犯人のターゲットに対する事前調査には、現実の事件を想起させるものがあります。

(5月23日捕捉)小説は、犯人が第3の「ハサミ男」事件を計画することから、始まります(犯人は、「ハサミ男」として既に二件の殺人を犯しています)。平日は、小規模出版社で、アルバイトしています。正規社員になろうという希望はありません。会社の繁忙期を避け、休暇を取り、犠牲予定者の身辺・日常行動を詳細に調査していきます。犯人は、自殺常習者です。もう一つの人格である「医師」から、自殺に失敗するたびに、揶揄されます。


 調査段階で、「ハサミ男」の模倣者により、同様の手口でターゲットの女子高生は殺されます。「ハサミ男(犯人)」は、現場にやってきたもう一人の人物と共に、第一発見者となります。別人格の医師は、犯人探しをそそのかします・・・・。こうして、ハサミ男の模倣犯探しが始まります。女子高生の葬儀のシーンは、手を抜かず描かれています。それも、犯人サイドと、捜査サイドとの両面から描かれています。トリックは、叙述です。

第24回「ザ・チェイス」(映画)

 第24回は、「ザ・チェイス」(映画)です。ほとんどの映画は、DVDで観られます。しかし、数少ないのですが、DVD化されていない作品があります。私が望むDVD化作品としては、この「ザ・チェイス」と「おかしなおかしなおかしな世界」です。


 アメリカでは、ヘリコプターと数多くの警察車両が、犯人の自動車を追跡するシーンが、テレビで放送されるようです。日本でも、ニュース番組とか、バラエティで放送されています。


 主人公(チャーリー・シーン)は、無実の銀行強盗の罪で有罪判決を受けた男です。彼は脱走し、コンビニにやって来ます。しかし、彼の不運は終わっていませんでした。ここでも、強盗と間違われます。偶然コンビニに居合わせた女性を人質に、脱出行が始まります。彼女は、ビリオネアー(億万長者)の娘だった・・・・。


 目指すは、メキシコ。大量のパトカーと、放送局のヘリコプターが、執拗に犯人達を追跡します。ついに、彼は追い詰められます。警官たちの拳銃が火を噴きます・・・・・。よくできたカー・アクション映画です。そして、ハッピー・エンドです。


 何故、DVD化されていないのか不思議な、傑作エンターテイメント映画です。写真は、レーザー・ディスク版のものです。

第23回「ごくせん スペシャル」(ドラマ)

 第23回は、「ごくせん(第1シーズン) スペシャル」(ドラマ)です。現在、第3シーズンが放送されてます。木村拓哉さんの「CHANGE」を押え、4-6月期で人気ナンバーワン・シリーズです(平均視聴率25.1%)。このドラマの面白さのひとつは、仲間由紀恵さんだけでなく、生徒たちのヤング・スターたちの魅力です。私の高校生の時代、カッコいい人って、レアでした。現在の高校生の方が、圧倒的にイケメンです。


 別の要素としては、親身に生徒たちを気遣うヤンクミに対する共感でしょうか。多分、現在の高校生たちと親たちの勘違いは、かっての教師たちは熱血的な教育をしていたと思っていることです。私の高校生時代も、ヤンクミ的な存在はいませんでした。ほとんどの教師は、サラリーマンでした。違いと言えば、塾に行かなくても学校教育で、受験をクリアーできる少数の教師の存在でしょうか。


 私自身の教育に対する希望は、「しつけ(生き方)」か、「学力」のいずれかで、教師がその能力を発揮すればいいと思います。当然、両方クリアーできれば、それに越したことはありませんが、それは「ないものねだり」です。私の子どもの頃も、「いじめ」はあったと思いますが、いじめにあった人がいじめと感じていない人も多かったと思います。程度が軽いことと(子供心ながら、追い詰めなかったと思います)、屋外の遊びで鍛えたたくましさがあったと思います。


 ヤンクミの教育方針は、スジを通すことと、3年D組全員を脱落者なく卒業させることです。これは、全3シーズン通して、同じストーリーです。そして、ギャグ満載です。第1シーズンで、ヤング・スターとして活躍しましたのは、松本潤さんと、小栗旬さんです。


 今後も、続いてほしいシリーズです。

第22回「ババ・ハゲと、となりの家の前のゴミ」(時事問題)

 自己紹介でも書きましたように、「古書店 稀少堂」を三年余開店していました。高松の私鉄駅前の店でしたので、周辺では随分ゴミが落ちています。駅利用者とご近所の人が落としていくわけですが、割り切って掃除をしていましたし、「レレレのおじさん」気分で、結構楽しめました。


 ですが、物によっては処理に困るものもあります。吐瀉物とか、犬のフンとかが、最たるものでしょうか(高松では、飼い主が処理することはまれです)。一方、件数的に多いのが、タバコの吸殻とかパッケージです。しかし、これは大した手間はかかりません。


 そんな中で、特異なものとしては、使用済みの生理ナプキンです。二度ほどありました。路上に棄てていることに、奇異さと世の中の変化を感じました。処分自体は簡単です。ですが、御近所のオバサンたちも気付いていたはずですし、通勤中の女性たちも気付いていたはずです。当然、捨てていった女性も・・・・。


 2時間ほど立ち話をするオバサンたちは、珍しくありません。ですが、ヒマなバアサンたちの掃除行動は、自分の家の前だけです。小さなゴミを、家に持ち帰る人は、三年余にわたり、見かけたことはありません。それが、世の中の常識さ、といえばそれまでですが・・・・。


 一方、私が子どもの頃、あまり見かけなかったが、最近珍しくなくなったことの一つが、バアサンたちのハゲです。今も昔も、決して少なくないと思います。かっては、抜け毛を取っておき、たぼしん(髪の量を補う髪)に使っていたように記憶しています。現在では、部分カツラでしょうか。


 時代の変化は、かって「灰になるまで、女は女」と言われていましたが、肉体的にはハゲを恥じず、精神的には、人の見ていない所では、決して隣家の前のゴミは拾わない。こういう女性たちが、日本を大きく変えたように思えます。こう感じているのは、私だけでしょうか・・・。

第21回「沈黙の艦隊」(コミック)

 第21回は、「沈黙の艦隊」(コミック)です。


物心がついたころから、週に一度か二度、夜中に目が覚めます。目覚めが極めて爽やかなのです。90分程度の睡眠なのですが、完熟睡がもとらすものでしょうか。その後、眠りを必要としませんし、日中眠くなることもありません。このような方は、私だけではないと思います。私は、35歳以降は、体質と割り切って、無理に寝ようとは考えなくなりました。


 そんな時に、朝まで過ごす方法の一つが、読書でした。40代以降は、長編コミックを読むようになりました。この「沈黙の艦隊」は、全32巻です。読みごたえがあります。そして、面白いのです。再読に値します。このコミックも、眠りを必要としない夜に、再読しました。


 海上自衛隊・潜水艦「やまなみ」は、圧潰し沈没します。海江田艦長以下、乗員70名は全員死亡・・・。しかし、これは新たな日本の幕開けでした。死亡したとされるクルーは、日本初の原子力潜水艦「シーバット」に乗艦するためでした。日本では、専守防衛を理由として、原子力潜水艦は保持できません。そのため、米第7艦隊に所属し、シーバットと呼ばれたのです。


 対潜水艦魚雷も、核ミサイルも搭載しています。海江田艦長以下クルーは、試験航海に乗り出します。しかし、海江田には、ある考えを持っていました。潜水艦を奪取し、潜水艦を国家とした独立体性を作ること。日本国にとってはクーデター、アメリカにとっては核を持った極めて危険な潜水艦です。


 海江田艦長は、シーバットという名前を、「やまと」と改称します。やまとの全世界を相手とした戦いが始まります。潜水艦対潜水艦、潜水艦対駆逐艦、戦闘だけではありません。極めて政治的な闘いが始まったのでス・・・・。


 加齢現象でしょうか。今年に入りましてから、90分睡眠が発現する頻度が減ってきました。平均睡眠時間は5時間程度だったのですが、よく眠るようになりました。最近では7時間程度眠っているのではないでしょうか。しかし、覚醒時の爽やかさは、ほとんど感じられません・・・・。

第20回「ファイブスター物語」(コミック)

 第20回は、「ファイブスター物語」(コミック)です。時空を超えるSFコミックです。巻末に年表がありますので、読者に混乱はありません。作者は、永井護さんです。宮崎駿氏のコミック版「風の谷のナウシカ」のような、線描風な作画です。彼の絵は好きです。


 ストーリーは、アマテラスによる星団の統一で、始まります。そして、過去に遡ります。モーターヘッド(人型ロボット、ガンダムに似ています)、ヘッドライナー(モーターヘッドのオペレーター)、ファティマ(モーターヘッドを制御する人工生命体)の全盛期です。


 それは、アマテラスと敵対勢力の戦いの歴史です。ファティマは女性の形をしています。そのため(???)、ラブ・ストーリーでもあります。章の冒頭に、タイトルと星間歴が記載されていますので、巻末の年表を参照しますと、ストーリーが良く理解できるに構成されています。また、冒頭に口絵が数ページありまして、キャラクター紹介となっています。


 現在、12巻(3部構成)まで出版されていますが、外伝も構想しているようです。五千年以上にわたる歴史氏を扱っており、アマテラスは不老不死と言う設定です。また、延命(若返り)処置も、可能な未来になっています。面白いシリーズです。


 なぜか、アニメ化されなかったシリーズです。ただ、角川映画で劇場版1作が制作されました(内容は、コミックのVol.1のプロローグを除く部分です)。全編、アニメ化して欲しい作品です・・・・。

第19回「テレビとパソコンとケータイと、ガラパゴス現象」(時事問題)

 第19回は、「テレビとパソコンとケータイと、ガラパゴス現象」(時事問題)です。一切外界から閉ざされた空間で、独自の進化を遂げることがあります。それが、有名なガラパゴス諸島です。ダーウィンが、生命の進化を確信した島です。


 「ガラパゴス現象」とは、閉鎖空間内での独自進化を、他の現象にも敷衍した表現です。日本で言えば、まさしく携帯電話が挙げられます。iモード以来、ケータイは独自の進化を遂げました。世界標準から突出した進化を遂げたのです。


 今や、ケータイでは何でも出来ます。テレビの機能も、パソコンとしても、携帯ゲームとしても、当然通話も、・・・・。では、世界の人々が、日本の携帯電話に感心しているかと言いますと、それは否定的です。日本メーカーのモバイル市場に占めるシェアはきわめて低いのです。それが、世界の評価です。


 画像は、テレビで見ればいいのです。小さい画面でサッカーを見るよりも、私なら自宅の42Vのデジタル・テレビで観ます。ネットを参照するのであれば、パソコンを使います。では、電話するのであれば、・・・・。それこそ、ケータイです。通信機能には、それぞれ長所・短所があります。


 最適の機器を使うことが、ベストです。それが、人生を楽しむ最良の方法です。それをNTTを中心とした通信企業が、日本のメーカーとして協力して開発したのが、ガラパゴス携帯です。それは、日本の携帯電話メーカーの海外進出を阻害してきた要因です。


 何でも出来るとは、何もできないことに通じます。ケータイで暇つぶしをすることは悲しいことです。欧米の人たちに共通する特性は、「人生をいかに楽しむ」かです。通信機器の見直しの時期に来ています。ケータイでメールをうったりゲームをしている人を見ていますと、「猿のノミ取り」を連想します。ガラパコス現象は、ガラパゴス人種を生み出しました。それは、進化というよりも、退行現象ではないでしょうか。

第18回「FREEDOM SEVEN(完結編)」(OVA)

 第18回は、「FREEDOM SEVEN(完結編)」(OVA)です。昨日、一昨日の2日にわたり、ヤフーから無料配信されました。FREEDOMシリーズの完結編です。爽やかなシリーズです。キャラクター・デザインは、大友克洋氏ですので、「アキラ」の雰囲気がありますが、ハッピー・エンドですので、大友ワールドとは若干違います・・・・。


 前回までのストーリーは、月世界エデンに住むタケルとカズマは、管理社会の抑圧の中で、スピード・バギーに生きがいを見出しています。地球は既に自らの愚かさのため、滅んでいます。エデンは、火星のテラフォーミング(環境の地球化)のために造られた月都市です(これが、完結編の大きな伏線になっています)。


 勤労奉仕で、都市外に出ていたタケルとカズマは、偶然宇宙からの飛来物と遭遇します。何枚かの写真が散乱しています。それは、地球から月世界へのラブ・コールでした。少女が写っています。地球は滅亡していなかったのです。フリーダムの「じっちゃん」の協力を得て、タケルとカズマは、地球行きを決意しますが、カズマはエデン政府の妨害のため、月世界に残ります・・・。


 地球に飛び立ったタケルとビス(彼は偶然乗り合わせただけです、実は行きたくなかったのです)は、ついに写真の少女アオと出会います。地球には、フリーダムの伝説があります。金色の星(月)からやってくるフリーダムと呼ばれるものにより、地球再生がもたらされると・・・・。タケルとアオは、わずかに残っていたロケットを補修し、月世界に向かいます。


 そして、完結編です。青春をバギーに求めていたカズマは、エデン政府により、洗脳され、体制側の存在です。タケルとアオは、カズマたちに囚われます。しかし。カズマは脱出し、かっての仲間たちと接触します。そして、やはり「じっちゃん」です。じっちゃんは、「フリーダム・シリーズ」の真実を話します。火星行きの数台のロケットには、いつでも出発できます。また、火星改造の機材が積まれています。これこそが、フリーダム計画だったのです。


 タケルの説得により、カズマは昔の熱い男に戻ります。カズマとタケルは、地球行きを決意します。地球を再生させるために・・・・・。じっちゃんがカッコいいのです。こういう年のとり方は、難しいです。生きてきた人生が、そのままシグマ(総計)されています。


 面白いシリーズです。のりの良い主題歌は、宇多田ヒカルさんが歌っています。面白いシリーズです(通して観ますと、4時間弱です)。


第17回「HERO 劇場版」その2(映画)

 第17回は、「HERO 劇場版」その2(映画)です。昨日、書ききれませんでしたので、続いて書きます。


 連ドラの映画化作品は、随分あります。代表作が「踊る大捜査線 THE MOVIE」でしょうか。観客にとって、キャラクターの説明は必要ありません。冒頭から、映像世界に入っていけます。連ドラの映画化には、是非はあるか

と思います。しかし、「踊る大捜査線」では、大成功でした。


 「HERO」の主人公は、検事・久利生公平です。最初の赴任先は、東京地検城西支部です。彼は、マイペースで仕事を進めていきます。送検されてきた事件に、自分自身が納得しませんと、自ら調査することも辞しません。それが彼の正義です。


 彼が担当しますと、検察業務が停滞しますので、他の検察官・検察事務官から、反発も生じます。しかし、彼のひたむきな姿勢が、次第に周囲を変えていきます。それが、連ドラのテーマでした。毎回、明白な事件だと思われたものが、久利生の活躍で、事件の闇と真実が暴かれていきます。


 そういう意味で、ミステリーですし、木村拓哉さんが演じていますので、熱血青春ドラマでもあります。では、映画化作品は、  ??? 検事に転勤は付物です。しかし、彼は、城西支部に再任されます。かってのメンバーと再会します。同僚検事が起訴した公判の担当が、久利生に回ってきます。簡単な事件だと思われていたものです。


 しかし、裁判が始まりますと、被告は否認します。全面的に争うことになったのです。しかも、被告には敏腕弁護士が、・・・・。久利生は、変わっていません。真実を求めることが、彼の正義です。彼の戦いが始まります。という展開です。テレビのスペシャルでも、十分表現できると思いますが、結構好きな映画です。


 「GMEN '75」からぐらいでしょうか、タイトル・バックにレギュラーが横一列に並んで歩くシーンって多くなりました。連ドラ版もそうなっています、では映画版は、  ??? 御自分の眼で御確認下さい。(写真は、後刻貼り付けます)


 

第16回「HERO 劇場版」(映画)

 第16回は、「HERO 劇場版」(映画)です。


 浅倉啓太は、小学校教諭です。ぼけっとしているため、生徒からからかいの対象となります。まるで、漱石の坊ちゃんです。しかし、彼には最高の美点があります、美形なのです。


 そんな彼は、星が好きで、父親の元を離れています。父親と兄が飛行機事故で亡くなります。父親の職業は、与党の政治家。彼に、父親の地盤を継ぐように要請されますが、・・・・。選挙戦が始まります。選挙まで後2日となった時、父親のスキャンダルが公表されます。


 対立候補のサクラの野次の中、彼は父親の非を認め、聴衆に謝罪します。浅倉の選挙は、投票以前に終わったように見えます。


 選挙速報でも対立候補の優位は、揺るぎません。終に、対立候補の「当確」がテロップで流れます。しかし、・・・・。エンディング・ソングは、マドンナの「MILES AWAY」です。浅倉が、政治が、チェンジするドラマのようです。


 このストーリは、「HERO」ではありません。本日から始まったドラマ「CHANGE」の第一回です。主演は、同じく木村拓哉さんです。HEROの主人公は、久利生公平です。職業は、検事。本日、書ききれませんでしたので、続きは明日書きます。