効果は抜群だ。
スコットランド人は日本人に比べるとはっきり物申す国民性である。故にこちらが何かに誘っても乗り気でなければ「ごめん!全然興味ない!」とばっさり切り捨てられるが、「また今度」「考えときます」でのらりくらりかわす日本人に比べればある意味分かりやすくて付き合いやすいとも言える。さて、エリックの長兄ジムは既婚者なのだが、彼のパートナーである義姉は特に凄まじい切れ味を持つ女性である。なんせ生粋のスコットランド人の義母すら「あの子は時々はっきりと物を言いすぎる」と苦笑いしていたので尖ったナイフどころか刺身包丁クラスなのだが、そもそも私とこの義姉は出会いがすでに放送事故であった。それは今を遡ること6年前、義実家のクリスマスに私が招待された時のこと。この頃はまだ結婚していなかったのでエリックの彼女として初対面の義姉に紹介されたのだが、その時私は彼女へのクリスマスプレゼントとしてドイツのクッキー詰め合わせを持って行った。そしてそれを受け取った義姉が眉間に皺を刻みながら発した第一声が、「Oh, noooo, 私これ大嫌いなの!」である。部屋が一瞬で凍り付いたわ。今なら私も図太くなったので「そう?じゃあ持って帰って食べまーす」で済むのだが当時の私は口をぽかんと開けたまま雪像のように硬直するしかない。私の隣に立っていた義母も遠くを見たまま硬直しており、さらにその隣でフランシス義兄さんがやっちまったぜオイ・・・的な引きつった笑みを浮かべていたのがこのクリスマスのハイライトであった。さて、時は流れ2021年。私のドイツ人の友達が大量にシュトーレンを送ってくれたのでちょっとお裾分けしようかという話になった。エリック 「一つは僕の実家に、一つはジム義兄さんのところに持って行きましょうか。」私 「ジム義兄さんの好みは知らんが、義姉は確実に食べないぞ。賭けても良い。」エリック 「えー、そんなことないですよ。一応持っていけば良いじゃないですか。」私 「・・・・・私は止めたぞ。」と言うやり取りの末義姉宅にシュトーレンを持って行ったエリックだが、見事義姉の「私ドライフルーツ全般大嫌いなの。こんな物食べる人いるなんて信じられない。」「ドイツのお菓子ってどれも不味いわよね。」というコメントに玉砕していた。だから言うたやん。とは言え義姉は本当に誰に対してもこんな対応なので、まぁこういう人もいるよねという感じではある。+++++++++++++++ちなみに彼女は接客業(スーパー勤務)なのですが、クレーマー対応係として重宝されているそうです。